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第21回 2024“超”モノづくり部品大賞
機械・ロボット部品賞
京セラ/ミーリング工具向け新PVD材料PR18シリーズ
加工寿命2・5倍 実現
京セラのミーリング工具向け「PR18シリーズ」は、同シリーズ向けに開発した物理気相成長(PVD)コーティング技術「メガコート・ナノEX」により、同社従来品比2・5倍の加工寿命を実現した。特徴の異なる2材料をサブミクロン(1万分の1ミリメートル)オーダーで多層化し、耐摩耗性と耐欠損性を両立。耐摩耗性や耐酸化性に優れる窒化アルミニウムクロム(AlCrN)系材料と、靭性や耐熱性に優れる窒化アルミニウムチタン(AlTiN)系材料を多層化した。鋼板とゴムをミルフィーユ状に重ねる免震ゴムの構造を参考にしたという。
PR18シリーズは加工の安定性が向上するため、無人運転での機械加工がしやすく、省人化に貢献する。またメイン材料に添加する元素の工夫により、1000度Cを超える高温下での耐酸化性や硬度を向上した。
伊東電機/フレキシブルノイズレスローラ FNR
搬送の衝撃低減・低騒音化
伊東電機の「フレキシブルノイズレスローラ FNR」は、小物・軟包装品の仕分け・搬送向けに開発した衝撃吸収ローラー。ローラーに弾力性のある樹脂素材を採用し、内部に空洞を設けることで、搬送物への衝撃低減や搬送時の低騒音化を実現した。
装置設計ではローラー同士を千鳥状に配置して、搬送面の隙間を埋める工夫を施した。これにより、ローラーやコンベヤー装置間の隙間に搬送物が挟まるのを防ぐことができ、電子商取引(EC)物流の増加で需要が高まる小物や薄物の仕分け・搬送に対応した。
DC24ボルトのブラシレスモーター搭載モーターローラーが駆動源となって搬送ローラーを回転させるため、エア機器が不要。搬送に必要なエリアのローラーのみを駆動させる「ラン・オン・デマンド搬送」により、常時稼働する搬送システムと比べて、消費電力の大幅な削減に寄与する。
NACOL/水圧用スプール式電磁切替弁 DSWシリーズ
高さ半分、水漏れ解消
小型・低コストの水圧電磁弁であり、高さを従来品の半分ほどに抑えた。スプール方式は小型・多機能を特徴とするが、水を流体とした水圧型に採用するのは困難とされてきた。
基幹部品の方向制御弁(スプール)の設計や弁内部の構造、シールをそれぞれ見直し、同方式の水圧電磁弁の課題である水漏れを解消した。NACOLによると水漏れを抑えたスプール方式の水圧電磁弁は世界初。
また、機能ごとに使い分けていた電磁弁を一つにまとめられ、コストを削減できる。流体の流れや方向を多様に切り替えられて一つで複数の機能を担う。電磁弁の使用個数の削減や実装した装置の省スペース化に寄与する。水圧型は油圧型に比べて現場環境を清潔に保てる。食品や薬品、化粧品の製造に使う機械などに向く。
椿本チエイン/超小形ローラチェーン エプシロンチェーン ステンレス仕様
世界最小クラス、長さ半分
椿本チエインの「エプシロンチェーン ステンレス仕様」は世界最小サイズを実現した伝動用ローラーチェーン。ピッチ長は1・905ミリメートルで、同社従来品の最小ローラーチェーンの約半分の長さとなる。日本産業規格(JIS)準拠のローラーチェーンと同じ機構となっている。狭小スペースでの動力伝達が可能で、産業用ロボットのハンドや医療機器向けで小型化・高精度化に貢献する。
産業用ロボットのハンドや医療機器では、ベルトやワイヤなどを用いた動力伝達が主流だが、駆動時にワイヤが滑るなど、動力伝達の確実性に課題がある。エプシロンチェーンの採用でその課題を克服できる。
1メートル当たりの重量は17グラム。引っ張り強さは360ニュートン。摩耗低減による長寿命化も実現。世界最小サイズのローラーチェーンとして2024年9月に、ギネス世界記録に認定された。
スギノマシン/ロボットバリ取り用 スピンドルモーター「BRQーEZ01」
ワーク 削り過ぎ防ぐ
スギノマシンの「BRQーEZ01」は、ロボットでバリ取りを自動化する際に生じるさまざまな問題を解決するスピンドルモーター。刃先を加工対象物(ワーク)に倣わせるフローティング機構を備えたことで、ワークの削り過ぎやバリの取り残しを防ぎ、ティーチング作業時間も大幅に短縮できる。加工時のロボットに対する反力を5分の1程度に抑えられるため、刃具の突発的な欠損も起きにくく、設備の省スペース化やコストダウンが見込める。
先端のフローターを交換することで、裏バリ取りや、アルミニウム製ワークの糸面取り仕上げに対応可能。消耗部品をワンタッチで交換可能とし、設備の停止時間が短くなるだけでなく日常のメンテナンスも容易になる。
今後は、同社バリ取り研究所「デバラボ」で同商品を活用したバリ取り技術を開発し、バリ取り自動化の実現に貢献する。
ソディック/溶融せん断粘度測定装置「Nendy-E」
成形材料の粘度、現場で測定
ソディックの「NendyーE(ネンディ)」は成形材料の溶融粘度を成形現場で測定できる装置。射出ノズルを外して装着するアタッチメント方式の測定装置で、溶融粘度測定機器「メルトインデクサ」や同「キャピラリーレオメータ」と同じ機能を射出成形機で実現できる。
仕組みは長さの異なる二つの流路を切り替えることで、それぞれの流路に溶かした樹脂を流した際にかかる圧力をセンサーで測り、圧力損失の差から溶融せん断粘度を測る。
材料の変化を現場で見極めることができれば、成形不良や品質のバラつきが起きた際に原因の迅速な追求が可能なほか、事前に予防策も講じられる。
一方、脱炭素に向け再生樹脂の活用が広がるなか、再生材の劣化度の指標となる粘度測定の重要性が高まる見通し。手軽で安価な測定手法で、再生樹脂の用途拡大や環境負荷低減に貢献する。