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第21回 2024“超”モノづくり部品大賞
電気・電子部品賞
ファナック/αiーⅮ series SERVO ACリアクトル
高調波押さえ ノイズ低減
ファナックの「SERVO ACリアクトル」は、工作機械の入力電源部に設置される高調波電流抑制のためのACリアクトル。商用電源とアンプの間に挿入することで、電流の高調波抑制やノイズ低減の役割を果たす。独自の六角形の構造を採用し、小型化と損失低減を実現した。これにより工作機械の制御盤の小型化と省エネルギー化に寄与する。
一般的な内鉄構造のリアクトルとは異なり、当社で製造・販売している同期電動機や誘導電動機の固定子の設計思想をベースに、鉄心に独自の正六角形の外鉄構造を採用した。これにより漏れ磁束を大幅に低減し、従来のACリアクトルに対して重量比でのインダクタンス値を向上した。また三相分のコイルや鉄心をそれぞれ120度の等角度で配置することで、相間のインダクタンスのバラつきを抑えた。カーボンニュートラルの実現にも貢献する。
オリエンタルモーター/AZシリーズ直交軸FCギヤードタイプ取付角寸法35mm
省スペース・小型化 実現
オリエンタルモーターの「AZシリーズ直交軸FCギヤードタイプ取付角寸法35mm」は、フェースギアを採用した小型の直交軸ギヤードモーター。負荷軸に対してモーターを直角に配置することができるため、装置からのモーターの張り出しを抑えて、省スペース・小型化を実現する。市場で高まる省スペース・小型化のニーズに応えた。高精度なステッピングモーターを用いた直交軸商品としては業界最小サイズとなる取付角寸法35mmをラインアップに追加した。
駆動ピニオンとかみ合う歯車に、円盤状のフェースギアを用いて出力軸を直交に変換した。直交にすることで、軸方向の張り出しを抑えて、スペースメリットを出すことができる。また、フェースギアの小型化で、従来品に比べて扁平(へんぺい)・軽量化を実現した。3種類のギア減速比を用意し、幅広いトルク帯に対応する。また高強度で許容ラジアル荷重が大きい。
コーセル/スイッチング電源装置「TEPS/TECS」
電力変換の損失50%減
コーセルの「TEPS/TECS」は、交流(AC)から直流(DC)に変換する小型・高効率のスイッチング電源装置。半導体製造装置をはじめとする産業機器やエレベーター制御など多様な電気機器に組み込まれている。脱炭素を進める上で課題となっている各種機器の電力損失を抑える有力な手段として注目されている。
次世代半導体である窒化ガリウム(GaN)半導体や独自のトランス(変圧器)構造の採用などで、電力変換時の損失を同社従来品よりも約50%低減することに成功。無負荷時の待機電力も0・2ワット(230ボルト入力時)に抑えたことで、各種機器のエネルギー消費を大幅に減らせる。
スイッチング周波数を高周波化し、電源内部の部品であるトランスやフィルターの小型化を達成。設置面積を従来品比65%低減し、産業機械や電気機器の小型化に寄与する。
フジキン/半導体ガス濃度計
ガス濃度変化、高速測定
フジキンは半導体製造に使うプロセスガスの濃度をリアルタイムに高精度で測定する濃度計を開発した。紫外(UV)光を照射する発光ダイオード(LED)光源を使い、プロセスガスの光の吸収率から濃度を算出する。赤外光や超音波を使う市販の濃度計の検出時間が秒単位であるのに対し、同製品の検出時間は0・01秒以下で、濃度変化を高速に測定したいというユーザーニーズに対応する。原子層レベルでの成膜やエッチングを行う最新の半導体製造プロセスでの採用を見込む。
ガス供給ラインに設置できる小型装置で、測定部を内蔵するガスユニットは150度Cの耐熱性を持ち、インジウムなどの金属を原料にしたプロセスガスの測定に対応できる。ガスの流路内で不純物の発生要因となるゴムリングやロウ付けなどを使わず半導体製造工程のクリーン度を保つ。
魁半導体/小型真空プラズマ装置用交流高圧電源「PKM-VP20」
100キロヘルツで駆動、樹脂にも対応
プラズマ装置メーカーとしての知見を生かし、卓上サイズなどの小型真空プラズマ装置用として最適な特性を備えた交流高圧電源。
プラズマ技術の用途は半導体や医療、バイオなどに広がり、樹脂の処理ニーズが高まっている。受賞製品は親水化や接着性向上といった機能を付与するプラズマ処理を、熱に弱い樹脂にも施しやすい100キロヘルツ前後の周波数で駆動できる。従来電源より周波数が高く、プラズマ装置の電極が絶縁体に覆われていても影響が出にくいうえ、プラズマ密度も高くでき、樹脂の表面改質処理効果に優れる。
幅100ミリ×奥行き50ミリ×高さ55ミリ、重さ200グラムと従来電源より小型でかなり軽い。マイコン制御でモード切り替え、自動シャットダウン、電力値モニター出力といった機能を持つ。自社装置への採用に加え、同業他社にも販売している。
プロテリアル/高強度・高耐摩耗トロリ線「SNH合金トロリ線」
強度1・3倍、メンテ削減
プロテリアル(旧日立金属)は、スズ・インジウム系銅合金を適用した「SNH合金トロリ線」を開発した。
トロリ線は高張力で線路上に架設されており、強度と導電性を要するほか、最近ではメンテナンス性を考慮した耐摩耗性も求められている。パンタグラフとの摺動で摩耗するため定期的な交換を要するが、工事業者数減少により長期間使用してメンテナンス頻度を減らすニーズが鉄道業界で高まっている。
トロリ線の張り替え基準は張力およびトロリ線の引っ張り強度によって決められるため、高強度化により、長期使用が可能。さらに耐摩耗性の向上は、張り替え基準になる期間の長期化につながる。
SNH合金トロリ線の強度は、一般的なスズ入り銅合金線の約1・3倍、かつ摩耗量も低減しておりメンテナンス工数削減を実現する次世代トロリ線であり、鉄道網へのさらなる貢献が期待される。
ダイヘン/ユニット型パワコン
ユニット単位 柔軟に構成
ダイヘンの蓄電池システム向けパワーコンディショナー「ユニット型パワコン」は、ユニット単位で柔軟にシステムを構成でき、高エネルギー密度の蓄電池への接続を可能にした業界初の製品だ。構成機器を削減し設置面積も減らせ、課題だったコストの大幅削減につながる。社会の脱炭素化の流れから、再生可能エネルギーのニーズは高まる。再生エネを最大限活用できるパワコンは注目され、同製品で市場拡大を狙う。
出力容量170キロワットごとにシステム構成が可能だ。系統用蓄電池や自家消費型太陽光発電など幅広い容量のシステムが組める。炭化ケイ素(SiC)半導体を採用し、1500ボルトの高電圧設計を施した。高エネルギー密度の蓄電池につなげれば、蓄電池の設備台数が減らせ、コスト削減になる。省スペース化に貢献でき、屋外使用も実現した。