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化学産業
日本化学会、化学工学会、新化学技術推進協会、日本化学工業協会の化学4団体は1993年、化学の啓発と化学産業の社会貢献への理解促進を目的に「夢・化学ー21」委員会を創設。同委員会は若い世代に化学の持つ面白さ、不思議さを理解してもらい、化学の世界に興味を持ってもらう目的で「夏休み子ども化学実験ショー」や「なぜなに?かがく実験教室」などの活動を行う。さまざまな活動で化学の魅力を伝え、化学人材の育成に貢献している。
化学品の安定供給に貢献
【執筆】化学産業企画 代表取締役 高橋 英晴
世界情勢の急速な変化が続く中、産業活動に不可欠な役割を担う化学品物流の重要性は一段と高まっている。関連3団体の会長に、現状の課題と展望を語ってもらった。
日本危険物コンテナ協会 会長 大森 寿明 氏/危険物コンテナ 産業・生活の生命線
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日本危険物コンテナ協会会長 大森 寿明氏
物流は人体に例えると血管内をめぐる血液にあたり、危険物コンテナは的確にモノを届けるという意味でヘモグロビンのような存在だ。安心・安全への配慮は基本的な責務であり、産業と生活を支える化学品を確実に送り届けることが我々の重要な役割となっている。
国際規格であるISOに基づき製造されたタンクコンテナ(ISOタンクコンテナ)は国際海上危険物規程(IMDG)に基づいて運用され、その普及は化学品物流の安全性向上に寄与する。当協会では人材育成のためIMDGに関する勉強会を定期的に実施している。
現在、半導体産業向けの化学品など世界的に高付加価値の荷貨が増加したことで、小回りが利き安全性の高いISOタンクコンテナの需要が一段と高まっている。温度や液量を測定する機器を備えた高機能型の導入も進む。国内では、化学品の生産統合によって供給拠点の集約が進んでいる。それにより、供給網の組み直しなどの対応もみられる。
一方で、人手不足が業界全体の課題となっており、今後のロボットの開発・導入などによる省人化への取り組みに期待がかかる。今年4月には港湾手続きのデジタル化が始まり、ペーパーレス化やトレーサビリティーの向上が期待される。
日本危険物倉庫協会 会長 瀬戸口 仁三郎 氏/危険物倉庫 構造変化対応の運用を
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日本危険物倉庫協会会長 瀬戸口 仁三郎氏
危険物倉庫業界では近年、運用形態の多様化に伴い同業者が増加しているほか、内陸地域で倉庫建設が進むなど構造変化が起きている。当協会の会員数も直近2ー3年で数社増加した。
その背景として、リチウムイオン電池や半導体向けの化学品など、危険物倉庫の使用が義務付けられる品目の流通需要の拡大が影響している。そうした中、最新の状況では電気自動車(EV)需要の伸びが鈍化してきたことを背景に、内陸地域の倉庫需要に緩和傾向がみられるようになった。
一方で、大都市圏や主要港湾エリアでは慢性的な倉庫不足の状態が続いており、業界全体として最適な倉庫運用を図るために、協会会員同士の協力が重要なカギとなっている。
当協会では、危険物倉庫の運営に必須な消防法など関連法規に関する勉強会などを定期的に開催しつつ、会員間の情報交換を促進するため交流会も実施している。
今後の課題は、安全性をより一層高めるために、AI(人工知能)を活用した倉庫オペレーションの構築にも期待が寄せられている。
日本タンクターミナル協会 会長 宮川 靖嘉 氏/タンクターミナル 多品種少量化にも対応
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日本タンクターミナル協会会長 宮川 靖嘉氏
当協会はタンクターミナルを保有する会員企業で構成される。タンクターミナルは液体化学品の保管に不可欠な設備で、船舶やローリーなどへの積み替えのほか「小分け」や加温といった加工業務にも対応している。運営上、法令で定められた危険物を含む液体化学品や燃料を安全に取り扱うことを責務としている。
ここ数年、汎用化学品などの輸入が増していることを背景に、国内のタンクターミナルの稼働率は極めて高い状態が続いている。そのため、設備の増強が求められているものの新規用地の確保は難しく、増設は一定程度にとどまっている。
そんな中、保管する化学品の種別需要が少量多品種へとシフトしていることから、老朽化したタンクを小ロットの保管に適した設備にリニューアルする動きもみられる。
また、タンク内の温度・圧力・内容物量をリアルタイムでモニタリングする技術を導入し、人手による目視確認を省力化するなど、自動化・デジタル化への取り組みも進んでいる。
今後はAIを活用したタンクターミナル設備全体の業務の最適化なども視野に入れた取り組みにも期待がかかる。
