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化学産業
日本化学会、化学工学会、新化学技術推進協会、日本化学工業協会の化学4団体は1993年、化学の啓発と化学産業の社会貢献への理解促進を目的に「夢・化学ー21」委員会を創設。同委員会は若い世代に化学の持つ面白さ、不思議さを理解してもらい、化学の世界に興味を持ってもらう目的で「夏休み子ども化学実験ショー」や「なぜなに?かがく実験教室」などの活動を行う。さまざまな活動で化学の魅力を伝え、化学人材の育成に貢献している。
水素・アンモニア 脱炭素社会へ事業化加速
脱炭素社会の実現に向け、水素やアンモニアを巡る技術開発と事業化の動きが加速している。発電、燃料、化学原料と幅広い用途が期待される一方、製造、貯蔵、輸送の各段階でコストやインフラ面の課題も残る。こうした中、化学メーカーを中心に、水素キャリアや電解技術、資源循環を活用した実証・設備投資が相次いでいる。水素・アンモニア技術の社会実装に挑む企業の最新動向を追う。
メタノール水素発電推進
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レゾナックは使用済みプラスチック由来の水素を原料とし、低炭素化する
三菱ガス化学は富士電機と協力し、メタノールから水素を生成し発電するまでを効率的かつ低コストに行う「メタノール改質型水素燃料電池システム」の商用化に向けた実証を検討する。同システムは、三菱ガス化学の二酸化炭素(CO2)を資源として循環させる仕組み「カーボパス」によるグリーンメタノールの利用で、メタノール改質時に水素とともに発生するCO2をオフセットできる。データセンターや工場などの停電時のバックアップ電源用途などの市場開拓を推進する。水素燃料電池は、CO2を排出しないクリーンな発電方式として期待される一方、水素の貯蔵や輸送に関する技術やコスト面での制約が課題。水素キャリアであるメタノールは、常温常圧下で液体であるため貯蔵・輸送が容易で既存インフラの活用も可能なため、メタノールを用いて消費地で水素を生成する手法が有力な選択肢として期待されている。
レゾナックは川崎事業所(川崎市川崎区)のアンモニア製造で、使用済みプラスチック由来の水素のみを原料とし、アンモニアの低炭素化を図ることを決めた。2030年4月の設備稼働を計画する。現在は使用済みプラ由来の水素に加え、都市ガスを改質して得られる水素も原料にしてアンモニアを製造・販売している。既存プロセスをベースに新たなプロセスを開発し導入する。24年から使用済みプラに加え使用済み衣料も原料とする実証実験を始めた。アンモニアの誘導品であるアクリロニトリルを繊維メーカーへ供給することで、衣料の資源循環の実現も目指す。
電解用枠・電解用膜の新工場 年産能力3ギガワット超
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新工場を建設する旭化成の川崎製造所
旭化成は川崎製造所(川崎市川崎区)でクリーン水素製造に用いるアルカリ水電解システムと、塩素・苛性ソーダ製造に用いるイオン交換膜法食塩電解プロセスの両事業に対応した電解用枠・電解用膜を併産できる新工場建設を決めた。新工場は電解用枠と電解用膜をそれぞれ年間2ギガワット超の生産能力を備え、28年度の稼働を予定。これにより、既存の食塩電解プロセス向け設備と合わせ、年間3ギガワット超の生産能力を構築する計画だ。
旭化成は今後立ち上がりが見込まれるクリーン水素製造用の水電解装置市場においてキープレーヤーを目指すべく技術検証と事業性評価を続けており、25年度には事業化フェーズに移行した。
また、1月には旭化成が製造する水素を用いた日揮ホールディングスのグリーンアンモニア実証プラントが始動した。旭化成は隣接する福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R、福島県浪江町)で20年に10メガワット級大型アルカリ水電解システムを稼働し、同実証プラントに供給する水素を製造する。供給された水素は、脱炭素社会の実現に向け燃料用途や化学原料として期待が高まるグリーンアンモニアの原料となる。実証を通じ、将来的な大規模化や商業化に向けた技術的知見の獲得を目指す。
実証・設備投資 相次ぐ
日本触媒と三菱重工業は、アンモニアを水素キャリアとする水素供給網構築に向けた技術開発として、水素需要地の近くで中規模・分散型のアンモニア分解技術の開発を進める。低温活性型アンモニア分解触媒に使用される貴金属を用いず、独自開発の低温で高活性かつ高耐久性を備えたアンモニア分解触媒を用いて、蒸気や排ガスを利用したアンモニア分解技術の開発を推進。三菱重工は実証プラントの基本設計を、日本触媒はアンモニア分解触媒の耐久性検証を中心とした要素技術の開発を担う。両社の知見・技術を融合し、脱炭素技術の早期確立・社会実装を図る決意だ。
