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工作機械産業
[8面] IMTEX Forming 2026リポート
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写真1 IMTEX Forming2026の会場では500台のマシンが並んだ
インド・カルナータカ州ベンガルール市のバンガロール国際展示場で1月末に、インド工作機械工業会(IMTMA)主催の金属成形展示会「IMTEX Forming2026」が開催された(写真1)。プレス、曲げ加工、レーザー加工、溶接、自動化、ロボットなど鍛圧分野の最新技術が集まる2年に1度のイベント。会場には約500台の機械が並び、最先端の鍛圧や関連製造分野の展示と、ユーザー側である製造業関係者による商談が日を追うごとに熱を帯びた。
成長市場インド 存在感/金属成形展 今年は規模1・2倍
「Make In India、 Make for the WORLD(インドで作る、世界のために作る)」—これはナレンドラ・モディ首相が掲げる製造業振興のスローガン。会場はこの構想をまさに体感できる、インド市場における機械製造とユーザー業界の進化を一段と促進する機会となった。
今回は24カ国・地域から714社・団体が出展し、前回(2024年)の625社から約1・2倍に拡大。溶接技術を紹介するweldexpoや金型関連展示のMoldex Indiaも同時開催され、会場は連日多くの来場者でにぎわった。
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写真2 オープニングのINAUGURATIONでの点灯式(右から4番目がモヒニ・ケルカーIMTMA会長)
オープニングでIMTMAのモヒニ・ケルカー会長(写真2)は、24—25年度の金属フォーミング分野の消費額が913億9000万ルピー、生産額は269億6000万ルピーに達する見通しを示し、同分野がインド工作機械市場の約29%を占めると説明。今後数年間でさらなる拡大が見込まれると述べた。
ユーザー側からは電動スクーターを手がけるAther Energyの共同創業者であるタルン・メータCEOが登壇。創業当初は多くの部品を輸入に頼っていたが、機械や金型メーカーとの協力で国産化を進めてきた経緯を紹介し、「製品イノベーションには製造技術の革新が不可欠」と出展者を鼓舞するように強調した。さらに電池セル、ネオジム磁石、パワーエレクトロニクス、半導体などを今後の重要技術として挙げ、精密プレスやハイドロフォーミングなど高度成形技術の必要性を訴えた。
またエンジンバルブメーカー、Rane MadrasのS・Rajkmarプレジデントは、物品・サービス税(GST)減税による自動車需要拡大で生産能力増強が進んでいると指摘。「内燃機関車は少なくとも20年は続く」との見方を示した。設備面ではインライン検査、プロセス安定化、高精度コンピューター数値制御(CNC)、IoT(モノのインターネット)接続、省エネルギーなどへの要求が高まっているとし、人材育成と技術力向上の重要性を強調した。
このようにオープニングから、インドは製造ラインだけでなく、「製造技術そのものを自国で持つ段階に来ている」という共通の明確なメッセージが発せられていた。
実力上げる現地メーカー
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写真3 Suresh Indu LasersのVardhamans Shahダイレクター
展示会にはドイツ、イタリア、日本、台湾から各国・地域のパビリオンも設置され、国際色豊かな内容となった。ただ会場内で最も存在感を見せるのは、インドローカルで実力派のマシンメーカー達だ。その一社であるレーザー加工機メーカー、Suresh Indu Lasersのブースを訪ねた(写真3)。
同社は国内販売が約7割を占める一方、欧米や中東にも輸出している。Vardhamans Shahダイレクターは、「IMTEX Formingは最も重要なイベント。ここでの受注が2、3年分のビジネスに相当する」という。
創業者であり、同氏の父である故Sureesh Shah氏は、CO2レーザーやファイバーレーザーなど各種加工機を生み出した。装置のCNCにはファナック製を採用し、日本やドイツのメーカーの品質を常にベンチマークしているという。また「研究開発(R&D)に時間はかかるが、新しいテクノロジーを追求していく。少なくとも100年企業を目指している」とし、技術志向のメーカーとしての矜持を語ってくれた。
日本勢、ハイエンドで攻め
海外企業の中でも日系企業の出展も数多くあった。日本からの出展は15社だが、現地法人で出展している分を含めると約30社程度が参加したとみられる。
板金機械メーカーのアマダはレーザー加工機やベンディングマシンなどを展示。ハイエンド市場への訴求を強化した。コマツ産機は小型プレスを出展し、4輪、2輪、エアコン、スマートフォン関連向けに新たな顧客提案を図った。アイダエンジニアリングはサーボプレスを展示し、長期的な市場開拓への意欲を示した。
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写真4 協働ロボットを見せるブースは来場者の注目を浴びた
会場内では日系ロボット関連の出展とにぎわいも見られた。人口が多いインドにおいても、製造業の人手不足や品質要求の高まりから、現地では急速にオートメーション化需要が増している。
ファナックは協働ロボットや産業ロボットを全面に押し出した展示を行った(写真4)。コロナ禍以降、インド企業の自動化需要は急速に拡大しているという。
川崎重工もアーク溶接・塗装ロボットを出展し、現地でのブランド認知向上を図った。
日本鍛圧機械工業会 中小企業共同ブースを初設置
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日鍛工のブース
日本の周辺機器や金型関連企業など中小企業の意欲的な動きも目立った。スクリュープレス機の榎本機工、ベンガルール近郊で工場建設を計画するミナミダ、超硬金型部品の冨士ダイスなどが出展。また理研計器奈良製作所は日本計測システムと共同出展した。
日本鍛圧機械工業会は、インド市場開拓を目指す中小企業向けに出展・視察ツアーを初めて企画し、6社が共同ブースでポスターやワーク展示を行った。相沢鉄工所や阪村ホットアートなどが参加。帰国後のアンケートでは視察・出展の目的達成度について「非常に達成できた」と「達成できた」が合わせて80%となり、多くの企業がインド市場への手応えを感じたという。価格競争の厳しさを指摘する声もあったが、市場成長への期待は大きく、今後の戦略検討につながる成果となった。
熱気、IMTEX2027に続け!
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会場は街の中心部からメトロでアクセスが可能。IMTEX Formingのラッピングがされた車両も走った
同展示会場では2027年1月に工作機械や工具を扱う大規模展示会「IMTEX2027」が開催予定されている。会場は広く、回りきるには相当な計画が必要だ。
日本の円借款などで基盤が整備されたベンガルール・メトロは落ち着いて運行されている。グリーンラインの「Madavara」駅は展示会場近くにあり、渋滞が激しい車でのアクセスよりもメトロの活用をおすすめしたい。
