-
業種・地域から探す
続きの記事
2026 京滋の有力企業20(トゥエンティー)
地政学リスクを踏まえた経営判断がますます重要になることを示すような出来事が相次ぐ中で始まった2026年。今年の干支「丙午(ひのえうま)」は情熱や活力、変革といった言葉をイメージするが、世界や日本を取り巻く情勢をみると昨年に増して物々しい雰囲気が感じられる。 そういった中ではあるものの、進取の精神を持つ京滋企業を巡ると、国が打ち出す成長政策に期待を寄せる声をはじめ、年始から明るい声が数多く聞かれた。同じ業種であっても好不調が分かれる時代ではあるものの、一歩も二歩も先を見据えて先手を打つことに余念がない。 最先端技術が披露された昨年の大阪・関西万博でも目の当たりにした時代の変化を契機とし、世界に示したポテンシャルをさらに高め、日本のけん引役となることが京滋地域には求められている。注目の京滋企業トップに、明日への一手を語ってもらった。
中嶋金属/大阪ウェルディング工業
水素・脱炭素需要取り込み/中嶋金属社長 中嶋 哲也 氏
-
中嶋金属社長 中嶋 哲也 氏
めっき技術でレアメタル回収
―分析装置や医療機器、半導体、電池、航空機など向けにめっき加工を展開します。
「当社はあらゆる業界の顧客にメッキ加工を展開しているが、総じてどの業界向けも2025年の売上高は前年比で微増だった。先行き不透明な世界情勢や材料費の高騰など前例のない事態が起きており、当社が置かれる事業環境が良いのか悪いのか判断が難しい。26年については水素・脱炭素関連や電気自動車(EV)向けが、欧州向けで25年に引き続き伸びる見通しだ」
―地政学リスクの高まりへの対応策は。
「レアメタル(希少金属)の自国生産に向けた動きが日本でも起こると考えており、当社もメッキ技術を生かして貢献できないか模索している。当社はレアメタルのメッキ加工も得意で、溶液からレアメタルを取り出すのにメッキ技術が生かせると想定している。現在は試作段階だ。中国産レアメタルよりコスト高になるが、為替の円安が進んでいるため、ビジネスとして成立するかもしれない」
―成長戦略は。
「水素・脱炭素関連など成長分野を取り込むため、生産能力の強化を図る。ここ数年、年率20%以上のペースで生産能力を引き上げており、26年も継続する。顧客ニーズが多様なため、独自にカスタマイズした設備を増やす。開発面では新技術確保のため、あらゆる業界での顧客ニーズ対応を継続する。全業界で技術革新の波が一斉に来るわけではない。自動車向けに開発しためっき技術が数年後に半導体向けで生きるかも知れない」
溶射需要ますます増加/大阪ウェルディング工業社長 魚谷 徹生 氏
-
大阪ウェルディング工業社長 魚谷 徹生 氏
AIと機械融合・省人化で
―産業機械向け部品の耐摩耗・耐腐食・耐熱性を高める溶射加工を手がけています。
「少量多品種生産で年間件数は約6000件以上。足元で飛び抜けて好調というジャンルはないものの、どの業界からも受注を獲得しており、この流れは2026年も続くとみる。AI(人工知能)と産業機械の融合や、人口減などで自動化・省人化が加速する中、部品を長寿命化し、機能も高める溶射の需要はますます増える見通し。業界全体のキャパシティーが足らないという見方もある。2025年はエネルギーや部品・部材、消耗品などの値上げに対して価格転嫁が追いつかず、厳しい状況にあったが、年の半ばからの交渉や見直しで、顧客の理解も得て価格適正化に取り組み、改善を進めた」
―海外事業の状況は。
「成長著しく、若者も多いインドは魅力的。インド工場ではアルミダイカストマシン向け部品を手がけているが、どんどん伸びる印象だ。自動車向けのアルミは、クルマの電動化でエンジン向けが減るとされているものの、モーターや車載機器の保護用途などで新しいアルミの需要もあり、長寿命なアルミダイカストマシン向け部品のニーズも増えていくと予想している」
―中国は2工場あります。
「上海近郊の工場が昨今、厳しかったものの、昨年半ばまでの改善活動と経営体制の見直しで安定し、利益体質に改革して余力もできた。山東省の工場も移転増強しており、さらなる成長に向けて、これまで以上にグローバルで受注活動に取り組んでいく」
