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2026 京滋の有力企業20(トゥエンティー)
地政学リスクを踏まえた経営判断がますます重要になることを示すような出来事が相次ぐ中で始まった2026年。今年の干支「丙午(ひのえうま)」は情熱や活力、変革といった言葉をイメージするが、世界や日本を取り巻く情勢をみると昨年に増して物々しい雰囲気が感じられる。 そういった中ではあるものの、進取の精神を持つ京滋企業を巡ると、国が打ち出す成長政策に期待を寄せる声をはじめ、年始から明るい声が数多く聞かれた。同じ業種であっても好不調が分かれる時代ではあるものの、一歩も二歩も先を見据えて先手を打つことに余念がない。 最先端技術が披露された昨年の大阪・関西万博でも目の当たりにした時代の変化を契機とし、世界に示したポテンシャルをさらに高め、日本のけん引役となることが京滋地域には求められている。注目の京滋企業トップに、明日への一手を語ってもらった。
ニューリー・土山/NKE/山科精器
基板検査 リピート注文増/ニューリー・土山社長 野口 雅人 氏
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ニューリー・土山社長 野口 雅人 氏
社員教育を拡充
―電子部品実装基板の検査機や治具を手がけています。足元の状況は。
「米国の関税政策など、外部環境はそれほど良くなかったが、2025年9月期の業績は非常に良かった。車載やスマートフォン向けは例年通り堅調で、事務機器や電子機器製造受託サービス(EMS)など向けが好調だった。これまでの着実な納品実績が評価され、既存顧客から治具のリピート注文が増えている。競合の中小企業が事業承継せずに廃業し、当社に注文が来るケースも出始めている」
―22年から滋賀県周辺の企業向けに「お困りごと解決事業」を展開しています。
「基板検査には安全性や効率化などに関する多くの工夫が詰め込まれており、基板検査で培った知見を地域企業に還元しようと、事業を始めた。地域企業の困りごとを効率化・自動化設備で解決する。徐々に結果が出ており、案件数が増えている。今後数年で、当社の柱になるよう育てていきたい」
―人材育成の方針は。
「社員教育を充実させている。階層別研修に加え、組織の体力を底上げするため、経理やビジネスマナーといったポータブルスキルの向上にも注力している。社員教育の充実は、当社が永続するための一つの手段だと考えている」
―労働人口が減少する中、業務効率化も重要です。
「AI(人工知能)の利用を検討している。東京大学発のスタートアップと協業して当社の業務の中身を精査・分解し、AIで効率化できるところがないか模索している」
電池の薄物搬送に期待/NKE社長 中村 道一 氏
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NKE社長 中村 道一 氏
低露点での部材テスト開始
―自動車業界をはじめ、多様な工場向けの自動化機器、搬送設備を展開しています。2026年の見通しは。
「米国の新政権発足や関税政策などで25年は年初から事業環境が良くなかったものの、25年11月ごろから受注が戻ってきた。自動車業界は様子見や先送りの状況から抜け出し、止まっていたエンジン車関連も、急ブレーキがかかった電気自動車(EV)向け電池関連の投資も動き出した。この流れでしばらくは安定推移し、厳しかった25年と比べて26年は良くなるとみている」
―自動車以外の状況は。
「物流量増加や人手不足で自動化投資が増え、コンベヤーや段積み・段ばらし機、無人搬送車(AGV)など、物流関係の引き合いが増えた。当社が不得手な大型品や大型ワークの物流を得意とする企業と協業して受注対応し、顧客ニーズに応える幅を広げる。当社のコンベヤーと協業先の伸縮コンベヤーを組み合わせ、荷物を倉庫や工場からトラックの荷室の中までダイレクトに運び、荷役を軽減して荷室を最大限活用するコンベヤーラインの提案も始めた」
―注力ポイントと課題は。
「期待は次世代電池向け薄物搬送。低露点環境の再現設備を本社工場(京都市伏見区)に整え、自動化機器の部材テストを始めた。一方、懸念は日中関係。11月ごろから磁石を使った単純な部品が調達しづらくなった。今年の干支は丙午(ひのえうま)。こういう時こそ基本に立ち返り、本質を貫き、人のための自動化機器というものを真剣に考え、価値を提供していきたい」
工作機械の製品拡充/山科精器社長 大日 陽一郎 氏
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山科精器社長 大日 陽一郎 氏
造船業再興 追い風
―工作機械や熱交換器を手がけています。事業環境は。
「受注や売上高が増えているにもかかわらず、思ったほど利益を伸ばせていないのが全社的な動向だ。インフレやコスト増の影響を受けており、増収減益傾向にある」
―顧客ニーズに合わせて設計した、専用工作機械を得意としています。
「人手不足を背景に需要が増えており、今後も楽しみだ。標準化した自社製品にも力を入れており、段ボール開梱機やバターカッター『バタスラ』の引き合いが多い。バタスラは開発にあたり、当社で初めてプロダクトデザイナーに参画してもらった製品。おしゃれでユーザーフレンドリーな使いやすさを実現した」
―熱交換器の事業戦略は。
「日本の造船業再興に向けた機運が高まっており、当社の熱交換器の売上げも伸びている。ただ造船業界の人手不足を背景に、想定よりは伸びていない。船舶関連ではグリーン燃料への転換も進んでおり、当社でも次世代燃料のアンモニアに対応した熱交換器を開発した。エンジンメーカーの試作品に当社製熱交換器を提供済みで、量産品へ採用してもらえるよう進めていく。核融合炉向けでも、熱交換器の技術を生かして貢献したいと考えており、情報収集を進めている」
―メディカル事業の成長戦略は。
「これまで医工連携を軸に事業展開してきたが、売り上げ拡大に時間がかかる。魅力的なスタートアップが増えているため、出資や共同開発にも力を入れている」
