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2026 京滋の有力企業20(トゥエンティー)
地政学リスクを踏まえた経営判断がますます重要になることを示すような出来事が相次ぐ中で始まった2026年。今年の干支「丙午(ひのえうま)」は情熱や活力、変革といった言葉をイメージするが、世界や日本を取り巻く情勢をみると昨年に増して物々しい雰囲気が感じられる。 そういった中ではあるものの、進取の精神を持つ京滋企業を巡ると、国が打ち出す成長政策に期待を寄せる声をはじめ、年始から明るい声が数多く聞かれた。同じ業種であっても好不調が分かれる時代ではあるものの、一歩も二歩も先を見据えて先手を打つことに余念がない。 最先端技術が披露された昨年の大阪・関西万博でも目の当たりにした時代の変化を契機とし、世界に示したポテンシャルをさらに高め、日本のけん引役となることが京滋地域には求められている。注目の京滋企業トップに、明日への一手を語ってもらった。
近江鍛工/宮木電機製作所/魁半導体
グループの連携強化/近江鍛工社長 坂口 康嗣 氏
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近江鍛工社長 坂口 康嗣 氏
交流深めシナジー創出
―多様なサイズ・素材の鍛造リングを手がけ、自動車や新幹線、建機、船舶、エネルギーなど、幅広い市場に展開しています。市場環境は。
「全体的に冷え込みが続いている。中国の景気低迷で、好調だった大型ダンプトラック需要も鈍化。中国経済の冷え込みをきっかけに同国の鉄が海外に流出し、それに引っ張られて韓国内の競争が激化して、影響は日本にも伝搬している。また、建機業界では近年、日系企業が重要パーツから撤退し、風力発電も洋上風力が見通しにくい。2026年も厳しいと見ているが、グループ企業の連携強化などで売り上げアップを目指す」
―具体的には。
「昨年買収した機械加工メーカーの顧客は当社と重複しておらず、相乗効果が見込める。交流を深めてグループシナジーを創出し、当社の鍛造品の販売拡大にもつなげたい。国内外を問わず、M&A(合併・買収)なども通じた持続的な成長、体制整備は今後も強化していく。政府が掲げる造船業の再生の動きは、まだ見えない部分がある。造船業は自動車産業などと同じく裾野が広く、当社は川上に位置する。サプライチェーン全体での取り組みが重要だ」
―企業成長には人材の育成や確保も重要です。
「教育にかなり力を入れており、教育費は過去と比べて増えたが、社員の成長を日々感じている。外国人を現場だけでなく技術スタッフにも採用した。ただ、あらゆる費用が上がっており、今年は全社員でいま一度、コスト意識を持って取り組むようにする」
誠実・丁寧なものづくり/宮木電機製作所社長 三橋 伸乃映 氏
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宮木電機製作所社長 三橋 伸乃映 氏
品質・信頼で企業価値向上
―2026年の見通しは。
「25年11月期は前期の配電盤受注の好調で過去に例のない受注残を抱えて始まり、主要パーツの先行手配や倉庫の計画的活用で着実な消化を図った。防爆カメラも好調に推移。売上高は計画値と前年実績を大きく上回った。ただ、物価高騰で利益面は課題を残した。26年11月期は前期より受注残が少なく、厳しい年度初め。原材料価格や国際情勢に留意し、デジタル変革(DX)による業務効率化や工場原価の精緻な把握で利益重視の経営を徹底して、着実な受注確保で業績伸長を目指す」
―各事業の成長施策は。
「配電盤は高圧配電盤の設備更新に加え、低圧盤関係の設備投資も期待したい。特に低圧コントロールセンターの受注拡大と既納盤の改造更新が成長のポイントだ。防爆機器は防爆カメラの受注が堅調で売り上げが前期を上回る見込みのほか、周辺機器メーカーと協力して販路拡大を図る。ソーラー関連は厳しく、新規の取り組みが喫緊の課題」
―25年4月の社長就任から1年近くが経過しました。
「改めて認識した当社の強みは、高い技術力と誠実なものづくりへの姿勢にある。一方、事業規模拡大や新規事業創出が継続課題。配電盤受注拡大に向けた工場拡張、新たな防爆製品の開発、ソーラー関連製品に続く新規事業参入を重点施策とし、中長期的な成長を実現する。創業者の言葉『製品は人格の片鱗(りん)を示すものなり』を重んじ、誠実かつ丁寧な顧客目線のものづくりで、品質と信頼を基盤とした企業価値の向上に努める」
プラズマ装置の販売伸長/魁半導体社長 田口 貢士 氏
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魁半導体社長 田口 貢士 氏
表面処理技術の共同開発
―市場環境は。
「さまざまなところで半導体が伸びていると言われたが、それは人工知能(AI)関連で、それ以外はこれまで良くなかった。だが、これからスマートフォン業界向けなどがどんどん動き始める。すでに複数の案件が寄せられているが、当社は準備が整っており、製造設備向けのプラズマ処理装置の販売が伸びる。半導体分野向け以外でも、医療関連機器の生産ラインなどで複数のオファーがある。2026年7月期の黒字転換で前期の赤字分まで取り戻し、27年7月期に大きく飛躍する」
―部材の表面改質や親水・撥水化、洗浄などに使うプラズマ装置の製造販売に加え、レンタル事業も始めました。
「小型装置がすでにたくさん出ているほか、大型装置も複数案件が動いていて、高評価を得ている。顧客の初期コスト低減、試作、導入ハードルを下げる、装置受注につなげるなどの目的で始めたが、それだけでなく、プラズマ表面処理技術の共同開発をしたいというオファーも複数受けている。楽しみな案件がたくさんあり、今年は共同開発で複数の柱をつくっていきたい」
―営業体制の強化に取り組み、一定の成果を得ました。
「25年は外部的にも内部的にもジャンプするための準備期間だった。営業部門で培った新人の垂直立ち上げのノウハウは、増員を考えているプロセス開発や技術開発にも横展開していく。海外では、台湾の半導体産業関連向けでの販売拡大に向けて複数社と協業し、海外では初めてとなる拠点設置も検討している」
