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埼玉県川口市
にぎわい創出 拡充する路線
川口企業海外へ—市政運営で成果
川口市は駅周辺の街づくりによるにぎわいの創出と、駅停車路線の拡充による交通利便性の向上に取り組んでいる。5月には川口駅東口に大型商業施設「ららテラス川口」が開業。地域商店街の活性化にもつながっている。さらに川口市とJR東日本は、上野東京ラインの川口駅停車に向けて基本協定を結んだ。奥ノ木信夫市長は「駅を中心とする街づくりが大きな一歩を踏み出した」と自信を見せる。川口商工会議所の細野博隆会頭は、ららテラスのオープンにより「波及効果と地域の連携による活性化に期待している」と将来を展望する。
川口市長 奥ノ木 信夫 氏/駅を中心とする街づくり 大きな一歩
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川口市長 奥ノ木 信夫 氏
—市はJR東日本との間で、川口駅への上野東京ライン停車に向けた基本協定を締結しました。
「JR東日本からは今年度以降、測量や設計を順次開始すると聞いており、本市では基金をつくるための条例も制定した。市の玄関口である川口駅を中心とする街づくりが大きな一歩を踏み出したと感じている。また、川口駅西口に集約した文化・芸術エリアでは、川口総合文化センター・リリアの大規模改修や美術館の建設を進めており、上野東京ラインの停車により、東京都内や群馬県、栃木県などからも来やすくなるため、市外や県外からの来訪者が増えると見込んでいる。さらに、羽田空港アクセス線が開業すると、本市へのアクセス性がより向上するため、海外からも多くの人が川口に訪れる機会も増えると期待している」
「ららテラス川口」開業を歓迎
—川口駅前では5月に「ららテラス川口」がオープンしました。
「旧そごう川口店の閉店後は、川口駅の『顔』ともいえる施設が長期間活用されていなかったため、街の活気が失われたようであったことから、『ららテラス川口』の開業を大いに歓迎している。再び街のにぎわいを呼び、駅周辺の回遊性も高まり、川口に買い物に来る人も増えたと感じている。引き続き駅周辺の活性化に寄与してもらえることを期待している」
—2026年2月に市長の任期満了を迎えますが、3期12年の成果は。
「新庁舎建設事業、赤山歴史自然公園整備事業、川口市立高等学校建設事業という3大プロジェクトが完成したことは、非常に感慨深い。具体的には18年に市立高校3校が統合したことにより、教育環境が充実して大学進学率も大幅にアップした。22年には赤山歴史自然公園が『イイナパーク川口』の愛称でグランドオープンし、市内外から多くの人が訪れる人気の公園になっている。また、新庁舎は20年の第一本庁舎完成に次いで、今年6月には第二本庁舎が完成した。災害に強く、市民が利用しやすく、さらに職員も働きやすい環境を整えることができた」
—財政力も高まりました。
「私が市長に就任した2014年度の一般会計当初予算は1732億円であったが、25年度は2737億円となり、11年間で累計4459億円を増額することができた。また、市税収納率は13年度に90・6%であったが、24年度は98・3%まで向上させ、累計収入額は11年間で882億円増とするなど、財政健全化に力を尽くした」
かゆいところに手が届く市政に
—今後の川口市の将来像をどう展望していますか。
「12年間で川口市に必要不可欠な基盤となる政策のレールは敷くことができたため、十分にやりきったという思いはある。次の世代でもこれまでの取り組みを引き継いで、市民のために『かゆいところに手が届く市政運営』を心がけてもらいたいと思う」
川口商工会議所 会頭 細野 博隆 氏/波及効果・地域連携の活性化に期待
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川口商工会議所 会頭 細野 博隆 氏
—川口市内企業の景気の現状をどう見ていますか。
「4月に実施した1—3月の景況調査では、24年10—12月期と比較して改善傾向は見られるものの、全業種でマイナスとなった。製造業は足元の需要は安定しており、売上高はわずかながらプラスだった。業種を問わず、仕入れ単価や人件費、輸送費の上昇と高止まりが継続している。度重なるコスト増を事業の前提条件と捉え、価格転嫁をいかに戦略的に進めていくかが重要なポイントとなっている。先行きも全業種でマイナス予想となった。消費低迷に加えて設備投資の計画中止も増え、足元の需要が減少していることから、売上高は全業種で今期より減少を見込んでいる」
—トランプ米大統領が発表した新たな関税施策の影響は。
「4月に緊急アンケートを実施した結果、約7割の企業が少なからず影響を受けるとの見込みだったが、対策では当面静観するとの回答が大半を占めた。売上数量の減少や価格の低下による売上げや利益の減少、投資マインドや消費マインドへの悪影響を懸念する声が寄せられた」
ミラノ・デザイン展で手ごたえ/来年度 金属製品 販売視野に出展検討
—イタリアのミラノで4月に開催された世界最大規模のデザイン展「ミラノデザインウィーク」に市内の金属加工業5社が出展しました。
「当商工会議所の『川口i—mono・i—wazaブランド』の認定企業とデザイナーの連携プロジェクト『BASE TIMES kawaguchi』が製作した金属製のチェアやインスタレーション(空間芸術)が会場を彩り、来場者に強い印象を与えた。購入希望や新商品の共同開発依頼、美術館からの展示オファーなど想像以上の引き合いがあった。3年続けて出展して認知度を高めていく計画で、来年度は販売を視野に入れた出展を検討する」
—5月に川口駅前に「ららテラス川口」が開業しました。
「地元からはにぎわい創出に期待する声が挙がっている。当会議所は市内の大型ショッピングモールや川口市商店街連合会と連携し、市内消費喚起を呼び掛ける共通ポスターを作成した。ららテラスの裏手に位置する川口銀座商店街振興組合では、開業当日の通行量が17・3%増、翌日は39・7%増となった。波及効果と地域の連携による活性化に期待している」
—川口市では市内の製品や技術を市内外の企業や市民、近隣自治体などに広く知ってもらうイベント「市産品フェア」を毎年開催しています。今年の特色は。
「通算10回目となった昨年度は、過去最多4160件の商談件数だった。今年もフェアを盛り上げるため、多彩な催しが企画され、多くの市外企業に積極的な誘致活動を行うなど、新たな商談に結びつく取り組みが実施される。当会議所も販路拡大や出展による集客とにぎわいの創出に協力していきたい」
