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埼玉県川口市
交通・街づくり・文化・産業
埼玉県川口市は、荒川を挟んで東京都と隣接する県南部の産業都市。県庁所在地さいたま市に次ぐ人口を誇る。その川口市が交通網拡充や地域活性化、芸術振興、産業発展などに向けて“連携”を強化している。新たな路線や街づくりで鉄道や不動産会社と協定を締結。市内企業に文化施設の命名権を与えるなど結び付きを強めている。
市内経済の活性化に注力
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ららテラス川口の開業でにぎわいが復活した川口駅東口
川口市は古くから鋳物や機械で知られる工業の街だ。吉永小百合さんが主演する「キューポラのある街」の舞台にもなった。荒川を挟んで東京都に隣接していることから、製品輸送面でも優位性を発揮した。2011年には鳩ケ谷市と合併。18年には中核市に移行している。
川口駅周辺では再開発事業が進行する。東京に近く通勤圏としても最適なため、高層マンションも多く建設されている。それに伴って鋳物などの工場が相次いで郊外に移転した。市では川口駅周辺街づくりの一体的な整備を進めている。駅東口は商業ゾーン。旧そごうビルはリニューアルされ、三井不動産が大型商業施設「ららテラス川口」をグランドオープンした。また市はJR東日本と基本協定を結んで、上野東京ラインの川口駅停車の計画に乗り出した。
一方、駅の西口は文化・芸術ゾーンと位置づける。川口総合文化センター・リリアはオープンから30年以上が経過して老朽化が進み、現在は改修工事が進められている。リニューアルオープンに向けてメーンホールのネーミングライツ(命名権)事業も実施した。
市は市内経済の好循環の創出に向けた施策にも力を入れている。市内の製品・技術・サービスを一堂に紹介する「市産品フェア」は15年から開催してきた。全国トップクラスの利率を誇る退職金制度や福利厚生の充実にも取り組んでいる。産業発展に力を入れることで市内経済の活性化に注力している。
JR東と基本協定
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基本協定締結式 -
川口駅にホームを増設する
川口市は2025年4月、JR東日本大宮支社との間で、川口駅に上野東京ラインホームと自由通路などを整備する基本協定を結んだ。現在は京浜東北線だけが停車する川口駅にホームを増設。中距離電車の上野東京ラインが停車できるようにする。市は400億円規模の事業費を見込んでおり、37年以降の利用開始を目指す。
川口駅の鉄道輸送力の増強や駅周辺を訪れる人を増やして関係人口を拡大することなどが狙い。現在ある京浜東北線のホームの西側に上野東京ラインのホームを整備する。川口駅から東京や品川駅までの所要時間が短縮されるほか、将来は羽田空港アクセス線の開業によって羽田空港へ行きやすくなるなど交通利便性も大きく高まる。
ららテラス川口が開業
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開業のテープカットには大野元裕埼玉県知事らも出席 -
埼玉県内初出店8店を含む全94店が出店
三井不動産は5月、川口駅東口に大型商業施設「三井ショッピングパーク・ららテラス川口」をグランドオープンした。2021年に閉店した旧そごう川口店のビルを三井不動産がそごう・西武から取得した。既存の建物を生かして大規模リニューアルを進めてきた。そごうの閉店から4年余りを経て、駅前のにぎわいが復活した。
川口市は23年11月、三井不動産や三井不動産レジデンシャルと「川口駅周辺まちづくりに関する連携協定」を結んだ。川口駅と周辺における拠点機能の整備・機能強化など7項目を中心に事業連携を行い、豊富な知見を街づくりに活用してもらうことで、川口市が「住み続けたい街」「さらなる選ばれる街」になることを目指す。
リリア・ホールに命名権
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市役所で開いた愛称発表会 -
改修中のリリア
川口市が川口駅西口で大規模改修を進めている「川口総合文化センター・リリア」メーンホールのネーミングライツ(命名権)をフカガワ(埼玉県川口市、深川和己社長)が取得した。同社は空調ダクトの成形機器で全国シェア7割を占めている。ホールの愛称は「フカガワみらいホール」となる。愛称の使用期間は2026年4月から10年間で、命名権料は税込み年間1000万円になる。
リリアの改修は今年12月に完成予定で、26年4月に市民優先でプレオープンし、7月から市外にも貸し出す予定となっている。リリアの隣では市立美術館の工事も進んでいる。26年に開館する予定。川口駅からも近い。川口駅西口には文化・芸術関連施設が集積することになる。
元気経営大賞を表彰
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大賞には50万円の賞金が授与された -
大賞を含む優秀賞5社が表彰された
川口商工会議所は2025年3月、第4回「川口の元気経営大賞」を発表。優秀賞5社から大賞に川口スプリング製作所(埼玉県川口市、鬼塚新二社長)が選ばれた。同賞は従業員の育成に力を入れて活発な職場づくりや新商品・サービスの開発により、日本や世界で活躍するなど、元気をつくる企業を表彰して地域経済の活性化を図ることを目的にしている。
大賞を受賞した川口スプリング製作所は、カーボンニュートラル実現に向け、社内にSDGs推進委員会を設立し、CO2や廃棄物削減などを目標に環境配慮型経営を実施している。また橋梁の老朽化対策として、自走式ブラスト装置も開発した。これにより社会課題解決や新市場の創出にも取り組んでいる。
