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神奈川県央地域
県央での企業の動き① 自社の持ち味生かし成長
たゆまぬ信念と技術力で次代に挑む
神奈川県央エリアは自動車や電機、情報通信、半導体、機械など幅広い産業に関わる企業が立地する。規模も大企業から中小企業までさまざま。外部環境が変化する中、自社の強みを生かし、次代へ向けて取り組む動きも活発化している。自らの持ち味を生かし、新規分野に進出するケースや、新サービスへの参入など、たゆまぬ信念と技術力で、神奈川県央エリアから国内経済を支え、成長を続ける企業の活動を紹介する。
ノーブル電子工業/製造工程の無駄なくし生産性高める
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地域のイベントにも積極的に参加し、市民が工場見学に訪れる
ノーブル電子工業(神奈川県綾瀬市)は建物の空調や製造設備で使う自動制御盤メーカー。自動制御盤の設計から製造、組み立て、メンテナンスまで一貫で扱う。一貫受注のため、設計変更やトラブル時に迅速に図面の修正履歴などのデータを取り出して検証できるメリットを生かし、現場での仕様変更への対応など、顧客満足につなげている。女性が活躍するほか、ベトナムにソフト関連の子会社を設立したのを機に海外人材も積極的に採用している。
製造工程は、独自のジャストインタイム生産方式で、設計部門がどの部品をどのサブパネルに取り付けるかなどを記載した「現品票」を作成し、部品を選定したキットとサブパネルを1台の台車に搭載。まとめ工程までモノの流れを一元管理し合理化している。工場内の掲示板で各製品がどの工程にあるのか、進捗状況を一目で確認でき、物の流れと情報の流れを合致させる「情物一致」を具現化。最終的な部品余りによる不良品の発生防止や在庫の最小化など、製造工程の無駄をなくし、生産性を高めている。
マーク電子/アイデア駆使した製品を企画・開発
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WiFi—LTE兼用ゲートウェイ(左)、オンプレミス用ゲートウェイ(上)、DR-MARK本体(下)、設定・調整用スマホアプリ(右)
マーク電子(相模原市緑区)は、電子機器設計・製造を得意とする。医療機器のOEM・ODM事業は、開発・設計から製造までの多くの実績を上げ、市場へ自社製品を送り出している。
点滴の流量をリアルタイムで管理できる自社製品「DR—MARK(ドクターマーク)」は、クリップ式の本体で点滴筒を挟むだけでセンサーが流量をモニタリングできる点滴流量計測器。異常を検知すると端末などに警告を送信する。設置・設定が簡単、コンパクトで携帯性が良く、やさしい形状が特長。クラウド環境やオンプレミス(閉域網サーバー)システムとも連携できる。外出先や大きな病院内などの離れた場所でも端末から点滴の状態が確認可能で、医療現場や介護の現場などで「医療者と患者双方の負担が軽減できる」と評判を得ている。
同社では「自社製品で医療業界へ貢献する」をモットーに、センシング技術やアイデアを駆使した製品を企画・開発していく。メーカーとしての実力を発揮し、医療従事者の負担軽減に便利な医療機器で貢献していく。
日本電子工業/次世代へ向けた技術開発進む
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高いシェアを誇るプラズマ(イオン)窒化装置
日本電子工業(相模原市中央区)は自動車や建設機械向け金属部品の高周波焼き入れ、窒化処理などの表面処理やその装置製造を得意とする。表面処理を施す受託加工業務、表面処理装置の製造・販売が主力。鉄以外の材料に対しても摩耗性を向上させるなどの表面改質で付加価値を付与し、プラズマ窒化処理や高周波焼き入れなどに加え、部品の軽量化に向けた金型の表面処理やコーティングに関する技術開発を進める。
従来外注していた高周波誘導加熱装置向けのコイルは、電子ビーム方式の金属3Dプリンター導入により内製化するなど、次世代へ向けた動きも活発化。名古屋工場(愛知県豊明市)では自動搬送装置やロボットを導入するほか、相模原工場(相模原市中央区)では高周波焼き入れはロボット導入による省人化や生産性向上と処理装置のIoT(モノのインターネット)化も進めている。
海外市場も見据え、ニーズの変化に対応する。地球環境の観点でエアコンやヒートポンプなど空調機器や農機具関連なども視野に入れて営業活動を強化する方針だ。
武藤工業/設備増強で新分野を開拓
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不活性ガスであるアルゴンガスが使用可能な真空炉
武藤工業(神奈川県大和市)は、金属熱処理が主業務。熱処理の技術開発や、精度の高い顧客要求に応えるための熱処理技術の改善に積極的に取り組んでいる。
東北事業所(岩手県北上市)では真空熱処理炉や引張試験機などの機械設備や検査装置を増強し、水素航空機関連事業に乗り出している。航空分野の低炭素化に向けた水素燃料による航空機のエンジン燃焼器の開発の課題となる軽量化に向けた部品の一体化に向け、アルゴンガスが使用できる真空熱処理炉とサブゼロ装置を導入し、熱処理加工の品質を向上させ安定供給や短納期化を図るほか、引張試験機やクリープ試験機を備えた専用の検査室も設けた。製造品の高品質化に役立て、水素航空機の部品一体化や軽量化に向けた金属3D プリントでのエンジン部品製造におけるインコネルの強度低下を補うための先進熱処理加工に対応する。
この設備投資により航空宇宙産業における競争力を高め、次世代航空機の実用化に貢献し、サプライチェーンの中核企業として存在感を高めていく。
