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2025国際ロボット展
SIer育成に向けた協会の取り組み
【執筆】 日本ロボットシステムインテグレータ協会 広報部長 高橋 祐紀
高齢化や人口減少に伴う人手不足は世界的に深刻な問題であり、わが国のモノづくり業界においても最優先の課題であることは言うまでもない。こうした課題に対し、ロボットを中心とした省人化・自動化の需要は拡大する一方であり、ロボットシステムインテグレーター(SIer)の役割への期待も大きくなっている。だが、この役割の認知度はようやく少し向上してきた段階である。将来業界で活躍する人材の育成は喫緊の課題と言える。
日本ロボットシステムインテグレータ協会の新組織
当協会は設立から5周年の2023年度に新団体(一般社団法人)となり、それから2年半ほどが経過した。会員数も340者を超え、さまざまに展開している活動もようやく軌道に乗ってきた。設立以来、がむしゃらに推進してきた事業を25年度は整備し、委員会制度を導入して組織を改編した。
協会の活動を「事業企画」「協会業務」「人材育成」「技術・標準化」の4部門に再編し、各部門を担当する副会長5人制を採用した。事業活動においては各委員会やワーキンググループ(WG)を担当する役員メンバーが業務執行の役割を担いつつ、会員が積極的に委員会に参加できる体制を整えた。
これらの活動を会員に報告するため、総会以外に年3回「四半期報告会」を各地で開催することとした。会員が協会活動を知り、参加できる機会を増やしたのである。
人材育成への新たな取り組み
当協会は設立当初からロボット人材の育成に取り組んでいる。協会の教育プログラムを策定し、講座や検定試験などを実施している。製造業やメーカー、SIer企業に所属する若手人材の能力向上については、「ロボットSI基礎講座」「自動化技術講座」「ロボットSI検定」を実施しており、すでに多くの受講修了者、検定試験合格者を輩出している。
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福島県の工業高校で行われた「ロボットSI検定新3級」プレ試験
昨年度より、学生などがロボットSIに関する知識や技術を身に付けるための初学者向け検定試験について、各地の工業高校に協力いただき、準備してきた。これが本年度正式実施予定の「ロボットSI検定新3級」だ。これまでの3級試験を「新2級」とし、現在準備中の1級と合わせ、将来的に厚生労働省の認定を受けることが目標だ。またこれまで実施していた2級試験は新たに「エキスパート」として実務経験10年以上の人材向けの試験として実施している。
ロボットアイデア甲子園&高校生ロボットSIリーグ
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2024ロボットアイデア甲子園全国大会
当協会では高校生などを対象に競技会を開催している。「ロボットアイデア甲子園」はロボットの新しい使い方を考案し、そのアイデアをプレゼン発表する大会だ。今年は23センターが地方大会を実施し、12月に全国大会を開催する。まずロボットを知ることから始まり、アイデアだけで勝負ができる大会だ。
また「高校生ロボットSIリーグ」は工業高校生などがロボットメーカーに貸与されたロボットを使い、課題のロボットシステムを作り上げる競技会で、SIer企業がサポーターとして8カ月間伴走する。12月の最終発表ではロボット操作やプレゼン発表で審査を受ける。今年は20校が参加している。こうした競技会をきっかけに、一人でも多くのロボット人材が生まれることを期待している。
各地でイベント開催「SIer's Day」「ロボットFA関連商品説明会」
協会ではほかにも多くのイベントを開催している。全国10地域を回るセミナー会「SIer's Day」は誰でも無料で参加できる。産学官連携とロボット導入促進を目的に、工場・施設見学会などさまざまな企画を通して企業間の交流を図れる。
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ロボットFA関連商品説明会(名古屋)
また年に2回、ロボットSIer向けに製品・技術を紹介する展示イベント「ロボットFA関連商品説明会」を開催。小規模ならではの効率のよいビジネスイベントとして好評だ。
これら当協会の情報はホームページ(www.jarsia.jp)を参照いただきたい。


