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2025国際ロボット展
ロボティクスがもたらす持続可能な社会
世界最大規模のロボット専門展「2025国際ロボット展」は2年に一度開催しており、今回で26回目を迎える。テーマは「ロボティクスがもたらす持続可能な社会」。会場は東京・有明の東京ビッグサイト東展示棟4—8ホール、西展示棟1—4ホール、アトリウム。入場料は1000円(事前登録者、招待状持参者、中学生以下は無料)。19日までオンライン会場も開設される。
人とロボ 協働—産業創出
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人とロボットの共存・協働による持続可能な社会の実現に向けて、ロボットに関する最新技術・製品が提案される(前回開催=2023年)
日本では労働人口の減少により、多くの産業界が人手不足に悩まされている。加えて人件費の高騰や、デジタル変革(DX)推進・カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現への意識の高まりなどを受け、幅広い業界でデジタル技術の活用が進む。
デジタル技術の一つとして、産業界ではロボットの導入が盛んになっている。特に粉じんやヒュームが充満する環境や高温・低温下など過酷な環境での作業や、繰り返しの多い単純作業は、ロボットを活用することで3K(きつい、汚い、危険)業務から作業者を解放できるほか、生産性向上や品質の安定などが期待できる。
昨今は人の作業を完全にロボットに置き換えるのではなく、人とロボットの共存・協働もトレンドだ。またロボットをAI(人工知能)で動かすフィジカル(物理)AIへの関心も高まっており、同技術を使ったヒューマノイドロボット(ヒト型ロボット)などのサービスロボットも世界中で発展している。
日本ロボット工業会によると、2025年7—9月期の産業用ロボットの受注額(会員ベース)は前年同期比25・9%増の2219億円、生産額は同20・7%増の2073億円だった。受注額は5四半期連続の増加となった。
7—9期の国内出荷額は同16・7%減の418億円と減少したものの、輸出額は同33・8%増の1750億円と大きく伸びた。特に電子部品実装向けは6四半期連続で増加し、好調だ。ただ米政府の関税政策や地政学リスクなどを背景に、依然として先行きの不透明感が続いている。
673社・団体 過去最多
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世界最大規模のロボット専門展として毎度盛り上がりを見せており、来場者は15万人以上を見込む(前回開催=2023年)
2025国際ロボット展には673社・団体が3334小間の規模で出展する。東京ビッグサイトの改修工事の影響で小間数は前回より減ったが、出展者数は過去最多となる。海外13カ国・地域からも140者が出展する。
製造、物流、医療、食品分野などで活躍する産業用ロボットのほか、サービスロボット、AI、情報通信技術(ICT)、要素技術など、ロボットに関する最新技術・製品が一堂に会する。来場者は15万人以上を見込む。
3併催ゾーン
会場内には三つの併催ゾーンも設けられる。日本ロボットシステムインテグレータ協会主催の「ロボットSIerゾーン」では、ロボット・工場自動化(FA)システムの構築などを行うシステムインテグレーター(SIer)が出展する。ロボットを高精度に制御するには、ロボットや関連装置などを組み合わせた最適なロボットシステムの構築が重要だ。ロボットシステムについて専門的な知識を持つロボットSIerの役割は重要さを増している。
「部品供給装置ゾーン」では、各種供給装置(フィーダー)や移載装置、パーツフィーダー用コントローラーなどが展示される。主催は日本部品供給装置工業会。
日本物流システム機器協会が主催する「物流システム・ロボットゾーン」には、ロボットやIoT(モノのインターネット)を活用したマテリアルハンドリング機器やサービスが集まる。仕分け装置、包装機器、保管・ピッキングシステム、搬送機器などが紹介される。
講演・フォーラム/学生向け新企画
国際ロボット展は多彩な講演・フォーラムや併催企画も見どころだ。
3日13時からはiREXロボットフォーラム2025「未来のモノづくりを変えるロボットソリューション」が開催される。ロボットメーカー・ユーザー各社がロボット導入の最新動向や新たな分野での活用の可能性について、ディスカッションする。そのほか、AIやヒューマノイドなどのトレンドを押さえた講演やフォーラムが、連日実施される。
また新企画として、西展示棟アトリウムで学生向けの「iREXリクルート&業界研究フェア」が5、6の両日開かれるほか、南展示棟3ホールでは来場者がロボットと交流できる「癒しカフェ」も6日限定でオープンする。
6日には南展示棟3ホールで小中高生向け体験イベント「つくる☆さわれる国際ロボット展」も開催され、工作教室やロボットの操縦体験などが行われる。
西展示棟4ホールでは連日、ポップアップストア「ファクトリーズグッズ」も開設される。日本のBツーB企業がモノづくりにおける技術と知恵を生かして製作したBツーC製品が、紹介・販売される。
オンライン展/12月19日まで
また既にオープンしているオンライン展は12月19日まで行われる。来場前の情報収集や来場後の振り返りに有効だ。リアル会場のみ、もしくはオンライン会場のみに出展する企業もあるので、どちらもチェックすることをお勧めする。
さらにリアル会期中は、南展示棟で「2025洗浄総合展」「VACUUM2025真空展」「sampe Japan 先端材料技術展2025」「スマートファクトリーJapan2025」「高精度・難加工技術展2025」「表面改質展2025」の6展が同時開催される。国際ロボット展を含め、各展で相互入場可能。幅広い分野の出展者・来場者が交流することで、新たなビジネス創出のきっかけが生まれることが期待できる。
【ごあいさつ】 日本ロボット工業会 会長 橋本 康彦/ロボット活躍の場 さらに広がる
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日本ロボット工業会 会長 橋本 康彦
「2025国際ロボット展」を当会と日刊工業新聞社の主催により、12月3日から6日までの4日間、東京ビッグサイトの東展示棟4—8ホール、西展示棟1—4ホールおよびアトリウムで開催するにあたり、一言ごあいさつを申し上げます。
はじめに、本展の開催にご支援、ご指導を賜りました経済産業省をはじめとした各省、ご協力いただきました関係諸団体、そして出展各社の皆さまに心より御礼申し上げます。
さて今回で26回目を迎えます本展は「ロボティクスがもたらす持続可能な社会」をテーマに開催します。
近年は人手不足や人件費高騰、新型コロナウイルス感染症を契機とした自動化や事業継続への意識の高まりに加えて、AI(人工知能)やデジタル変革(DX)、ヒューマノイドなどが目覚ましく進展しています。
それに伴い、モノづくりの現場のみならず、社会のさまざまな分野でロボットおよびロボット技術の活躍の場が一層広がってきております。
このような状況のもと、本展は673社・団体が総計3334小間を出展し、過去最多となる出展社・団体での開催となります。会期中には「iREXロボットフォーラム」や初開催となる「ヒューマノイドロボットフォーラム」「iREXリクルート&業界研究フェア」をはじめ、多数のセミナーや企画が展開されます。
またオンライン会場「iREX ONLINE」を11月19日から12月19日までと、前回から会期を拡大して開催します。
2025国際ロボット展では、最新の製品・技術の展示や各種併催事業、企画を通して、本展のテーマでもある「持続可能な社会」の形成に向けて、国際社会が抱える課題の解決に貢献するとともに、本展の開催を契機にロボットの社会実装と技術開発、人材育成がさらに加速されますことを念願しています。


