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千葉県特集2025
県内産業のキーパーソンに聞く/新たな視点で千葉を導く
千葉県商工労働部長 関 雄二 氏/適切な価格転嫁へ伴走支援
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千葉県商工労働部長 関 雄二 氏
成田空港「第2の開港」や圏央道の県内区間全線開通、県全域の東京圏国家戦略特区への指定など、千葉県内の企業立地に追い風が吹いている。一方、慢性的な人手不足や物価高など、中小企業を取り巻く経営環境は厳しい状態が続く。米トランプ政権の関税政策や、三菱商事の銚子市沖を含む洋上風力発電事業からの撤退など、景況は依然不透明な状態だ。県内産業の現状や今後の施策について2025年4月に就任した商工労働部の関雄二部長に聞いた。
—就任から約半年が経ちました。
「トランプ関税や三菱商事の銚子市沖を含む国内洋上発電事業からの撤退など、突発的な出来事が多かった半年。対応にあたっては、ヒアリングやアンケート調査などを実施し、現場の声を広くお聞きしたが、企業や地元自治体、県民の方からの意見を踏まえた迅速な対応の重要性を改めて認識した半年間だった」
—トランプ関税や三菱商事の洋上発電事業からの撤退などの影響をどのように見ていますか。
「トランプ関税について、アンケート調査を含め企業経営者などと意見交換すると、当初は影響が非常に大きくなるのではないかという懸念の声が聞かれた。県内産業の構成比では自動車産業が突出していないなどの要因もあると思われるが、他県と比べると影響は大きくは出ていない形。今後、間接的に回ってくる影響が出てくると思われるので、引き続き注視していく」
「三菱商事の洋上風力事業からの撤退は非常に驚いた。再生可能なエネルギーの確保、地域経済の活性化の観点からも大きな期待を寄せていたので、大変残念。県や地元、三菱商事らが参加する「銚子地域の未来創造会議」などを活用し、地域の未来づくりをどのように進めるか、関係者と意見交換を行っていくが、事業者の再公募の早期実施をはじめ、地元への影響ができるだけ少なくなるように進めていかなければならない」
—県内企業への支援策は。
「物価高で価格転嫁の必要性が高まっているものの、踏み切れない企業もある。県は事業者にどのように交渉すれば良いか含め、適切な対応を専門家がアドバイスする伴走型支援事業を実施している。また、積極的に生産性向上に取り組む企業への補助事業も実施している。多くの企業に、これらの制度をぜひ活用してもらいたい」
空港周辺に産業集積
—今後力を入れたい施策は。
「一つとして、観光施策に力を入れていく。現在、取り組んでいる養老渓谷温泉郷の観光地づくりは大きな転換点。従来の広報活動中心にとどまらず、夜のイルミネーション事業など、より踏み込んだ実践的な施策を地元と協力して行う。観光客に宿泊してもらうことが大切」
「企業誘致や企業の成長促進も進める。特に成田空港『第2の開港』を契機に、空港周辺への産業集積を進める。スタートアップでは、新たに事業者同士のコミュニティーや先輩経営者に相談できる拠点づくりに取り組む」
—県内企業や千葉県へ進出を考えている事業者へメッセージを。
「千葉県は東京に近い中、成田空港があり、国内外へ直につながる恵まれた立地。首都圏の中では土地価格・家賃も比較的安く、職住近接という点でも事業者が進出するのに 魅力的な基盤が整っている。進出を考えている事業者も県内で頑張っている企業も、全力で支援していく。支援制度をはじめ、知りたいことや悩みなどあれば気軽に県まで相談してほしい」
千葉産業人クラブ 会長 白鳥 悟嗣 氏/千葉県経済の発展に寄与
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千葉産業人クラブ 会長 白鳥 悟嗣 氏
千葉県内の企業経営者、大学、金融機関、行政・団体で構成する異業種交流団体、千葉産業人クラブ。2025年7月の総会で、白鳥製薬の白鳥悟嗣社長が第4代会長に選出された。前任の白鳥豊会長(白鳥製薬会長)から16年ぶりの交代で、くしくも親子での継承となった。47歳と若い白鳥新会長は、千葉県産業界の未来にどんなビジョンを描き、会を前に進めるのか。
—就任に当たってのお気持ちは。
「歴史ある千葉産業人クラブの会長に選ばれたことは光栄である一方、恐縮でもある。まだ若く未熟な点も多いので、先輩である会員の皆さまからのご指導を真摯(しんし)に受け止めながら、メンバーとともに成長していきたい。千葉産業人クラブという産学官金の輪を広げ、次世代につなげていきたい」
—白鳥会長が考える、千葉産業人クラブの魅力とは。
「産学官金が非常にフラットに、かつ濃厚につながっていることだ。産業界、アカデミア、金融、自治体。どの組織も日本、そして千葉県の成長・発展に寄与するという目的は一緒だが、立場によって進め方や時間軸が異なることがある。大切なことは、おのおのがこの違いを受け止めて前向きな力に変えていくことだ。産業人クラブとして、その一角をきっちり担っていきたい」
産学官金の輪広げる
—会長として取り組みたいことは。
「千葉産業人クラブの会則には目的として『情報交換と親睦により、地域経済の発展を通じ、我が国産業の発展に寄与する』と書かれている。このような志を共有できる人々を増やすことを通じ、さらに会を盛り上げていく」
「千葉県では、成田空港の滑走路の新増設や、圏央道の全線接続などをきっかけに、経済の成長機運が高まっている。千葉産業人クラブも産業界の意見具申や協力を通じ、千葉県経済の発展に寄与したい」
—24年に開かれた「産業人クラブ全国大会 in CHIBA」では、実行委員会の副委員長として開催に尽力しました。
「岡本毅実行委員長(岡本硝子会長兼CEO)を中心に千葉の経営者が集まり、全国から多くの参加者にお集まりいただくことで、大会は成功できたと思う。全国大会で改めて感じたのは、対面で会うことの素晴らしさだ。参加者に『講演者に新たな気付きをもらいました』と言われると、こちらもうれしくなった。人と人が出会い、前向きなエネルギーを交換することの価値を再確認できた。次回の全国大会の開催を楽しみにしている」
—趣味特技は。
「趣味は読書でさまざまな本を読む。愛読書は内村鑑三の『代表的日本人』。特技はカラオケで友人や家族と楽しんでいる。積極的に交流し、人とつながりを得るのが好きだ。座右の銘は『為せば成る 為さねば成らぬ 何事も』」
