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千葉県特集2025
ミライの千葉をつくる若い力
企業・若者のコミュニティー形成を後押し
成田空港「第2の開港」や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の全線開通などを控え、千葉県を取り巻く環境は激変している。こうした中、県は今年度から成長が期待される企業のコミュニティー形成を後押しするスタートアップ総合支援拠点事業を開始した。一方、若者の仲間づくり支援事業「ミラチバプロジェクト」も始動。趣味や関心をきっかけに若者の交流が生まれることを目指し、「ちば部」と題した地域密着型コミュニティーを立ち上げた。これらの取り組みにより、未来の千葉県を担う企業や個人の若い力を持続的に発展させることが期待される。
スタートアップの成長 総合支援
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千葉県知事 熊谷 俊人 氏
千葉県は、首都圏に位置する中、三方を海に囲まれ、豊かな自然、魅力的な観光地、多様な文化、優れた都市機能、農林水産業・商工業等のバランスの取れた産業構造を有しています。
現在、成田空港の機能拡張に向けた取り組みや、道路ネットワークの整備進展などを通じ、本県の広域的な拠点としての優位性がさらに高まり、県内の活力がより一層向上する好機を迎えている一方で、本格的な人口減少社会の到来や高齢化のさらなる進行など、課題にも直面しております。
このように、本県を取り巻く社会経済環境が変化する中、県では、本県の活力をさらに高めていくため、産業の振興や子ども・若者の支援をはじめ、千葉の新たな飛躍に向けたさまざまな事業を実施しているところであり、今年度より新たに取り組んでいる事業を2点ご紹介します。
1点目は、新しい技術やビジネスモデルを有し、急成長を目指すスタートアップ等の支援についてです。
多くのスタートアップは、資金調達や連携先企業の発掘など、自社の技術・ノウハウのみでは対応が難しいという課題を抱えていることから、県では、スタートアップ、大企業、投資家などによる定期的な交流イベントを千葉市、柏市、木更津市の県内3カ所で定期的に開催しております。
こうしたイベントを継続的に開催することで、さまざまな悩みを抱えるスタートアップのモチベーションの向上や、成長に必要な知識・ノウハウの習得、さらには参加者同士の自発的な連携につなげ、多様なパートナーと出会うことができるコミュニティーを形成し、千葉ならではの特色を生かしたスタートアップの育成と振興を目指します。
持続的かつ力強い支援で好循環
2点目は、若者の仲間づくり支援についてです。
少子化の要因のひとつである「未婚化」は、若い世代の出会いの機会の減少が影響していると考えられています。
県が実施した若者を対象とする意識調査では、単なる婚活支援ではない、出会いの機会を求める声が多く挙がったことなどから、県では官民連携により、若者の出会いやつながりを県全体で応援していく取り組みを「ミラチバプロジェクト」として掲げました。
また、その取り組みの一環として、県内で若者が気軽に参加しやすい仲間づくり・出会いの場を、県内の企業や団体、市町村等と連携して創出し、「若者が仲間に出会える千葉県」づくりを推進するため、誰でも気軽に集まる部活動のようなコミュニティー「ちば部」を発足しました。
さまざまな交流イベントを通じて仲間をつくっていく中で、豊かな人間関係の形成や社会全体の活気、将来を共にする人との出会い等につながると考えています。
今回ご紹介した事業に限らず、県では県民、企業、市町村など、多様な主体の英知を結集させたさまざまな取り組みを実施しており、今後も飛躍する千葉の実現に向けて、新しい千葉の未来をともに創ってまいります。
【主な施策】
先行きが不透明な現代社会。その中でスタートアップや若者に代表される「若い力」は経済成長やイノベーション(技術革新)など社会変革を担う役割が期待されている。しかし、スタートアップが自社で解決できない問題を相談できる場所はいまだ少ない。また、少子化の原因として「未婚化」が挙げられる中、若者が気軽に出会い、交流できる場所の提供が課題となっている。こうした課題への解決策として、千葉県は2025年度からスタートアップや若者の交流と成長を後押しする事業を始めた。
イノベーションの担い手支援/関係機関と連携
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スタートアップ総合支援拠点事業のキックオフイベントに登壇した熊谷知事(左)とLINEヤフーの川辺会長
県は25年6月の補正予算で1億円を投じ、スタートアップ総合支援拠点事業を新設。スタートアップや大企業の関係者、投資家など多様な主体が参加する交流会、先輩起業家によるメンタリング、著名な起業家による講演会やセミナーなどを開く。スタートアップや優れた技術を持つ企業のイノベーション創出の推進を目指す。
10月に千葉市内で行われたキックオフイベントには県内の起業家など約140名が参加。トークセッションではLINEヤフーの川辺健太郎会長と千葉県の熊谷俊人知事が対談した。川辺会長は「支援機関には本気でスタートアップを応援する気持ちを持ってもらいたい」と強調。熊谷知事は「関係機関と連携し、リスクを冒してでも挑む人々を応援する仕組みを拡大していく」と述べた。
同事業は今後、25年度中に交流イベントを月1回程度、千葉市、柏市、木更津市の3地域で開催する。千葉県の関雄二商工労働部長は、「キックオフイベントには多くの方々が参加し、事業への関心の高さを実感した。恵まれた立地を持つ千葉県ならではの強みを、スタートアップの力で打ち出していくことが必要」と力を込める。
趣味を通じた出会いの場演出/仲間づくり
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ZOZOマリンスタジアムで行われたちば部のキックオイベントには95人が参加した
県は25年度から若者の仲間づくりを支援する「ミラチバプロジェクト」を始めた。同プロジェクト内にスポーツやグルメなど趣味、関心で集まる「ちば部」と題したコミュニティーを設置。9月にはキックオフイベントとして、ZOZOマリンスタジアム(千葉市美浜区)でプロ野球・千葉ロッテマリーンズの練習見学や試合観戦を実施した。
同イベントに参加したマリーンズファンの鈴木慎呉さんは「社会人で新たに知り合いを増やすのは難しい。同様のイベントがあれば次も行きたい」と笑顔を見せた。
県は24年5月から10月の間、20—30代の若手職員10数名によるプロジェクトチームを発足させ協議を重ねた。その中では、趣味を通じた出会いの場を県内の各機関と連携して創出していく必要性が指摘されたという。
また、県が24年10月に行った県内に住む18—39歳の人を対象とする意識調査では、交際経験がない独身者593人に交際への不安事項を尋ねた結果「そもそも出会い方がわからない」という回答が53・5%で最多となり、独身者1655人に聞いた理想の結婚相手との出会い方については「趣味を通じて」が64・5%で最も高くなった。
ちば部ではこのほかマラソンやサッカー、ゴルフに関連するイベントを順次開催する。熊谷知事は「インドアも含め、さまざまな人が参加しやすいイベントをつくることが大事」と述べた。
