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千葉県産業特集
千葉で活躍する企業各社のイチ押し製品・サービス・技術
ウクライナ戦争やトランプ関税、国内政局の不安定化など経済環境の先行きは決して明るいとは言えないが、千葉県企業はその状況を乗り越えて行くため、新たな製品やサービスを投入。新たな価値を創造している。千葉県経済を牽引(けんいん)する優良企業の最新トピックを紹介する。
オリエンタルランド/ 規格外パンからビールを醸造
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パーク内だけで楽しめる点がSNSで話題に
東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランドは、規格外のパンから作ったビール「ハーヴェスト・ムーン パンカラリゾート」をパーク内で販売している。同ビールはTDRで製造・販売されているパンのうち、形が崩れているなど規格外のパンを原料の一部に利用。オンラインなどで販売はしておらず、パーク内でしか味わえない。珍しさ、希少さが会員制交流サイト(SNS)で話題となっている。
パン由来の優しい甘みと、すっきりとした後味が特徴で、アルコール度数は5・0%。オレンジ色のラベルには、バゲットやクロワッサンのイラストがデザインされ、見た目にもこだわりが感じられる。330ミリリットル入りの瓶ビールで1本900円(消費税込み)東京ディズニーランドの「センターストリート・コーヒーハウス」や、東京ディズニーシーの「S.S.コロンビア・ダイニングルーム」などで販売している。
規格外の食材を原料に新たな商品として提供するという試みは社会的意義が大きい。来園者の環境意識醸成にも一役買いそうだ。
奥山/信頼と実績で半世紀
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50周年を超え、さらなる成長を目指す(本社)
奥山(千葉市若葉区、奥山栄臣社長)は、千葉県を中心に事業を営む設計・工事会社だ。現場で工事をする時に必要な作業図面の作成、建物の完成後に行うクリーニングや破損防止手当てなどを手がけており、そのシェアは県内トップクラス。仕事の内容が表に出ることは少ないが、5大ゼネコンを取引先に持ち、空港や公共施設、ショッピングセンターなど同県のランドマークの建設に多く関わる“縁の下の力持ち”企業だ。
同社はこのたび、創業50周年を迎えた。奥山社長の父が創業し、当初は不動産業からスタート。養生材の販売から美装工事に携わり、現在の業態へ転換、同県トップクラスの美装工事会社へと成長させた。ちなみに同社には営業スタッフがいない。施工品質の高さが評判となり、新規受注に繋がっている。
奥山社長は2015年に社長就任。この10年でさらに取引先を増やし、同社の成長を導いてきた。奥山社長は「社員の成長を後押しすることを目指し10年間事業活動してきた。次の10年は、若い社員に建設業の魅力が伝わる快適な職場づくりに取り組んでいく。お客さまから頼んで良かったと言われる仕事をしていきたい」と展望を語った。
アコーディア・ゴルフ/千葉県でナイトゴルフ開始
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光るボールを使えば、暗闇でもボールが見つけやすい
アコーディア・ゴルフ(東京都台東区、三好康之社長)は、千葉県にあるアクアラインゴルフクラブ(千葉県木更津市)、東千葉カントリークラブ(同東金市)で、夜のゴルフプレーサービス「ナイトゴルフ」をスタートした。600台の照明器具を用意し、日没後も快適なプレーが可能。厳しい暑さや日焼けを避けてゴルフを楽しめる。同社はこれまで全国3カ所でナイトゴルフを実施。今回の2カ所を合わせ合計5カ所となる。
コースに120本の照明柱を設置。照度設定を工夫することで、樹木やプレーヤーによる影ができにくく、ティーショットで遠くに飛んだボールやラフに落ちたボールも鮮明に視認可能だ。光るゴルフボールを使えばさらに視認性が高まり、キラキラと見た目にも楽しい。
スタート時間は16時30分から18時30分。1ラウンドのプレー料金は平日約8000円、土曜日約1万3000円。ハーフラウンドの場合、平日約4000円、土曜日約8000円。いずれも日中に比べ割安となっている。同社はナイトゴルフの割引キャンペーンも実施。クーポンを同社ホームページに掲載するほか、メルマガ会員などに配信する。クーポン配布期間は30日まで。
NTTe—Sports/千葉市に通信制サポート校 開校
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NTTe—Sports高等学院での授業
NTTe—Sports(東京都新宿区、原田元晴社長)は、千葉市中央区に通信制サポート校「NTTe-Sports高等学院」を開校した。eスポーツを学校生活の中心に学びの場を提供し、デジタル変革(DX)人材の育成を目指す。
カリキュラムは東京大学eスポーツサークル(UTeS)と共同開発して体系化したものを用意する。イベントの企画やeスポーツビジネスを学ぶ講座などを開設するほか、動画配信やゲーム作成講座、ICT(情報通信技術)に対応した講座も提供する。
また、生徒は通信制高校の中央国際高等学校(千葉県御宿町)に同時入学する仕組み。同高等学校の指定サポート校である中央高等学院がNTTe—Sports高等学院と同じ千葉市内のビルに入っており、1年次は週2回、英語や数学などの科目を学習する。
教室には生徒1人当たり1台のゲーミングパソコンを用意し、音響や照明も駆使するなど、生徒が集中できる環境を演出する。
NTTe—Sportsの井上裕晶取締役開発部長は、「生徒がeスポーツを楽しむことを入口に、進路決定やデジタル人材の育成といった出口までサポートする」と語った。
東京ガス/2050年CO2排出量実質ゼロへ前進
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カーボンオフセット都市ガスのロゴマーク
カーボンオフセット都市ガスとは、都市ガスのライフサイクルで発生する温室効果ガス(GHG)の全部または一部を、国内外のプロジェクトで削減・吸収した二酸化炭素(CO2)でオフセット(相殺)することで、地球規模でのGHG削減に貢献可能な都市ガスだ。
東京ガスは2050年のカーボンニュートラル(GHG排出量実質ゼロ)達成に向けた熱の脱炭素化で、e—メタンなどの脱炭素化技術の社会実装・拡大を目指す。それまでの移行期にカーボンオフセット都市ガスの活用を進めており、クレジットの単体販売と合わせ、25年4月に供給拠点数が300を突破。
直近では東京2025世界陸上大会でCO2排出量削減貢献のためクレジットを提供。日本で開催されるスポーツの国際的な大会で、ボランタリークレジットが活用されるのは初という。
千葉県内での供給事例では、日鉄建材(東京都千代田区)が22年から君津鋼板工場(千葉県君津市)に導入。同工場のCO2排出量を実質30%以上削減。常磐植物化学研究所(同佐倉市)は22年から同佐倉市の工場に導入。同社が掲げる「2050年までにCO2排出量実質ゼロ」の達成に向け大きく前進した。
京成電鉄/押上駅—成田空港駅間に新型有料特急車両
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写真は既存の京成上野駅—成田空港駅間を走るスカイライナー
京成電鉄は、押上駅(東京都墨田区)—成田空港駅(千葉県成田市)間を運行する新型有料特急車両を導入する。2028年度の運行開始を目指して設計に着手した。成田空港の機能強化に対応し、空港と東京都心間のさらなる輸送力の増強と、サービスの向上を図るのが狙いだ。
現在は有料特急「スカイライナー」が京成上野駅(東京都台東区)—成田空港間を運行しているが、今回の新型有料特急により、同社は「成田空港利用者のさらなる利便性向上に寄与する」としている。
成田空港の発着枠が10月から年間30万回から34万回に増え、さらなるインバウンド(訪日外国人)の増加が予想される。
29年には3本目の滑走路が新設され、将来は同50万回に拡大する計画だ。
また千葉県は成田空港周辺地域に集積を目指す産業として、これまでの物流に加え、精密機器や航空宇宙、健康医療、農業、観光の5分野を追加した。これにより空港を中核に産業が集積し、同県経済のさらなる成長が期待されている。
このように観光目的以外にも訪日需要の増加が期待されるため、同社は今回の新型有料特急の導入を決めた。詳細は順次公表するとしている。
Eプラン/立体的な板金加工物 強アルカリイオン電解水で自動洗浄
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今後、切削など金属加工の洗浄工程でゼロエミを実現するシステムを総合的に開発
Eプラン(千葉県船橋市、松沢民男社長)は、立体的な板金加工物を強アルカリイオン電解水で自動洗浄する装置を開発した。金属加工の洗浄工程でゼロエミッション(排出ゼロ)を可能にする洗浄システムを構成する装置の一つとして、2025年夏から提供を始める。
今後、切削など金属加工の洗浄工程でゼロエミッションを実現するシステムを総合的に開発する方針だ。
加工対象物(ワーク)を回転させながら、60度Cに加熱した強アルカリイオン電解水を、360度の方向から噴射する仕組み。同電解水は錆の原因である塩化ナトリウムを含んでいないほか、水素イオン指数(pH)が12・5または13・1と酸化還元力があることから、防錆対策も同時に可能になる。
装置の大きさは幅1・2×奥行き0・9×高さ1・3メートル。重さは400キログラム。幅68センチ×奥行き・高さ46センチメートルまでのワークに対応している。中型機として位置付けており、今後、大型と小型の装置も開発する。
7月16日から東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれる塑性加工技術の総合展示会「MF—TOKYO2025」に、今回の装置を出展する方向で最終調整している。
リファインホールディングス/未利用資源を活用 災害時用非常食供給事業スタート
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未利用資源を利用した製品も開発。同資源が主成分の精密成形性を有する素材で制作した牛のミニチュア
リファインホールディングス(HD、東京都千代田区、川瀬泰人社長)は、未利用資源を活用した災害時用非常食を供給する事業を始めた。全国の市町村を中心とする自治体や地域の有力企業などとタイアップして進める。地域課題となっている未利用資源の有効活用と災害時対策を両立する。さらに未利用資源を活用した非常食をはじめとする商品を地産地消することで、地域経済の活性化にもつなげる。
福島・埼玉・富山・静岡・三重・佐賀・長崎県の市町村や団体、企業の7カ所でスタートした。貝殻や海藻、雑草、農作物を収穫した後に不要となる茎・根・葉などの未利用資源を各地で調達し、現地で非常食を生産、地域で流通させる。
リファインHDは石油由来成分を使用せずに、未利用資源が主成分で100%バイオ素材の精密成形性を有する素材を生産している。各地の未利用資源を主成分とした同素材で新たな特産品も商品化する。
さらに未利用資源から生産した飼料を与え、家畜の品質を向上させるなど、地域の未利用資源を全面的に活用して事業を進める。これらの商品をブランド化し、付加価値を高め、地域再生に結び付けたい考えだ。
