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ロボットテクノロジージャパン2026(2026年6月)
システムインテグレーターの活躍の場広がる
中部地域のロボットシステムインテグレーター(SIer)は、国内の自動化をリードする自動車産業を中心に技術を蓄積してきた。前回のロボットテクノロジージャパン(RTJ)の開催から2年、工場の生産形態やニーズ、環境が変化する中、SIerは自動化にどう取り組むのか。またAI(人工知能)活用やヒューマノイドロボットなど、先進技術とこれからの自動化システム構築の在り方について、同地域で中心的な役割を担うスターテクノの瀬川裕史常務、近藤製作所の近藤茂充社長、豊電子工業の成瀬雅輝専務に日刊工業新聞社名古屋支社長の武田則秋が聞いた。
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4月に完成したスターテクノのショールームには仮想ラインが並ぶ
変化に対応する設備へ
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スターテクノ 常務 瀬川 裕史 氏
ー前回のRTJから2年、業界の変化と現状は。
瀬川 「基幹の自動車産業では電気自動車(EV)化に伴い、設備投資が変化している。従来のような自動化設備の仕事は減少傾向にある。一方で物流分野の自動化ニーズは増加。工程内物流だけでなく、大型の倉庫にも拡大してきた」
成瀬 「2年前は人手不足や高齢化の対応が自動化の目的だった。現在はサプライチェーン(供給網)の変化への対応が重要になった。システムを変更しやすいことや、ユーザーが育てられることが重視される」
近藤 「自動車や電機、半導体以外の分野では、苦戦しながら初めて自動化に取り組もうとしているのが現状だ」
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近藤製作所 社長 近藤 茂充 氏
ー大手企業と中小企業の差は。
近藤 「中小企業で1人削減しようとすると、何役もこなせる自動化設備が必要になる。我々もユーザーも苦戦している。導入後の設備維持や管理にも課題がある」
瀬川 大手は製品の設計段階から工程が想定されている。中小は製品ありきで、自動化を考慮した工程設計はしにくい。中部地域の中小企業はその課題をクリアしようとしている。また、コスト面でもより工夫が必要。SIerの知恵の絞りどころだ。
成瀬 最近は大手と中小の差が縮まっている面もある。生産の柔軟性やAIの活用は中小企業でも進み、先行している事例すらある。熟練工の技能伝承や、変動生産対応が背景にある。
デジタル技術の発展追い風
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豊電子工業 専務 成瀬 雅輝 氏
ー多品種小ロット対応の影響は。
成瀬 ユーザーが変更や、改善・成長させていくシステムが一つのアプローチになる。また、デジタルツールも有効だ。最近では仮想現実(VR)などの技術を利用し、現場での対応を減らす取り組みをしている。製造現場に例外はつきもので、それを前提に設備を考えることが必要になる。
瀬川 多品種小ロット生産では、段取り時間の短縮がキモになる。ロボットの活用は有効だ。ロボで治具やワークを取り替えるだけでなく、治具の代わりを務める取り組みも進む。デジタル技術の発展でロボの調整時間が大幅に短縮されたことも追い風だ。
近藤 加工機の段取り切り替えの自動化が必要になる。当社ではツールチェンジや治具チェンジの効率化に取り組んでいる。ユーザー側は、複合加工機を用いて多品種少量生産に対応するなど、両者が工夫すれば効率が上がる。
ー中小企業が自動化で検討すべきポイントは。
瀬川 ある工程をロボットに置き換えても、人が減らない・管理する人が増えては意味がない。SIerは各社の量産について深く理解しきれない。必要な工程をどう置き換えるのか、ユーザーが事前に整理することが大切だ。
近藤 同じモノを作るにも、自動化の方法は千差万別。ユーザーの好みや今後の事業展開で最適解は変わる。「自社にとって大事なこと」を考えておくことが必要だ。
成瀬 生産性というと、稼働率や生産スピード向上と取られがち。しかし作業負荷軽減や属人化解消、変動対応も生産性向上の一つ。何を選ぶか考えてみてほしい。また、導入後も工場の全体最適を目指し、継続的に運用・改善する覚悟もいる。
物流分野のニーズ拡大
ー製造ライン以外の自動化の進捗(しんちょく)は。
成瀬 物流関連は引き合いが多い。物流現場は人の動きや導線など例外的な処理が複雑で、自動化が難しかった。しかしAIの進歩で工程の標準化が進んだ。今後は状況を判断し、行動するロボットのモデルケースとなるだろう。
瀬川 物流分野は何をどこまで運ぶか、荷姿など製造業の基準で見ると例外だらけだ。AIである程度解決できるが、初期の段階でサンプルをSIerに知らせることで、システムの完成度は格段に上がる。
近藤 ユーザー側が受け入れ態勢を整える意識も必要になる。ある程度の知識がなければ、導入後に設備を維持するのは難しい。自分たちにメリットがあるよう体制を整えれば、発展性がある。
ーAIの発展でロボットや自動化はどう変わりますか。
瀬川 フィジカルAIの実現にはITと設備の融合が不可欠だが、現状どちらも完全に理解できている技術者は非常に限られている。培ってきた技術は押さえつつ、両者とも学んでいく必要がある。
近藤 今はAIの過渡期。社員にはまず触ってみるよう言っている。従来の制御システムと、AIの汎用性を見定めている状態だ。また、今後は 「何をしたいか」を考え、構築できる人材の育成が重要になる。使用者が目的を持たなければ、AIは正しく成果を出せない。
成瀬 現場への実装を第一に考えている。活用できる程度はまちまちだが、可能な分野で実装し、実績を積むことが求められている。IT分野発のSIerとの連携や、M&A(合併・買収)でソフトウエア企業とグループになるなど成長の方法はさまざまある。
最適な自動化目指す未来に
ーヒューマノイドロボットの製造分野での発展は。
近藤 今ある資産を活用するには、ヒューマノイドは有用だ。特定の目的を達成するには、最適な形がある。実装されるにしても、全てが置き換わるのではなく使い方で選択されるだろう。
瀬川 ヒューマノイドは軸数が膨大で、制御が難しい。製造現場をシンプルに回すという観点では課題もある。製造業向きに実装するには時間が必要になる。
成瀬 自動化のロードマップの最後がヒューマノイド。生産性を求める現場より、人との置き換えや、人が働くには危険な環境などで活用が広がると見ている。
現場に近い提案、会場で
ーRTJの来場者が注目すべきポイントと各社の見どころは。
瀬川 現場に近いSIerらしさを見てほしい。スターテクノでは段ボールの組み立ての仮想ラインを展示する。システムの中に、画像処理や接着剤の塗布、テープ貼りなどの要素を盛り込んだ。また中部地域SIer連携会の効果もあり、各社が得意分野を理解し、協業も進んでいる。こうした点も見どころだ。
成瀬 設備が何をしているかだけでなく、構成や設計、運用という技術要素同士のつながりもポイント。豊電子工業ではファナックのロボットで、フィジカルAIを実装した設備を展示する。今後世の中に送り出したい技術だ。
近藤 SIerも得意・不得意がある。各ブースでは自社ならどこに組み込めるか考えつつ見定めてほしい。近藤製作所ではバージョンアップした「スマートスペースロボ」を展示する。中小企業の声を取り入れた製品だ。自動化の方法は一つではない。目を肥やす場としても利用してほしい。
ーありがとうございました。
