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非破壊検査・計測・診断技術
脱炭素化に対するX線CT装置の新たなモノづくりへの貢献
【執筆】 日本ベーカーヒューズ 産業用X線機器営業部 セールスマネージャー 中村 輔
二酸化炭素(CO2)排出による温暖化対策として、自動車業界では次世代自動車の高性能化と安全性向上が求められている。こうした中、X線CT(コンピューター断層撮影)装置は材料から開発・製造・リサイクルまで幅広い活躍の場があり、さまざまな業界が注目している。
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世界最小X線スポット径「ナノフォーカスX線源搭載」最新機種
近年、ハイブリッド車(HV)はもとより電気自動車(EV)も街で見かけるようになった。インフラも整いつつあり、次世代自動車への期待は高まる一方だ。
次世代自動車の普及に欠かせない安全性や寿命は、X線CT装置による非破壊での内部構造解析がさらなる性能向上の一端を担えるだろう。
例えば、リチウムイオンバッテリー内部の不純物解析は、バッテリーのような複合化合物の場合、アーチファクトと呼ばれるCT特有のノイズにより金属周りの状態観察に苦労することも多い。そのため、各CTメーカーは検出器含めハードウエアの工夫、または補正ソフトウエアとの併用など、さまざまなアプローチでこれに対応している。
電極の活物質評価では、長く高解像度のX線顕微鏡や電子顕微鏡がその役割を担ってきた。従来型のCTでは解像度が足りず使用目的が限られていたためだ。しかし、最近では焦点サイズ1マイクロメートル以下のナノフォーカスX線管も登場し、ピクセルサイズ100マイクロメートルの検出器との組み合わせにより、短時間で高分解能撮影が可能な装置も登場した。
同評価におけるユーザー側の機器の選択肢も増えている。非破壊かつ3次元(3D)で各積層内部の粒子観察が鮮明となれば、性能や長寿命化に貢献できる。
さらに、リチウムイオンバッテリーの再利用化でも、CTによって非破壊でパック内部の欠陥モジュールを認識し、部分的に交換・再利用に回す試みが活発化している。
加えて、ここ数年、全固体電池や水素自動車関連の相談も増えている。どれもCTの役割は変わらず、次世代自動車への貢献度はますます高まるのではないだろうか。