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京滋の有力企業18(エイティーン)
KTC/ホリゾン/カシフジ
航空機向け拡販に注力/KTC社長 田中 滋 氏
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KTC社長 田中 滋 氏 -
ーレンチやスパナなどのプロ向けハンドツールを手がけます。2025年の戦略は。
「自動車や産業機械市場向けに工具の既存製品や新製品を投入し、得たキャッシュを注力分野に振り分ける。航空機の整備・改修・オーバーホール(MRO)向けで需要を見込み、管理を効率化できる無線識別(RFID)搭載工具『nepros ID』の拡販や、北米市場開拓などが注力分野で、中長期の成長に欠かせない。nepros IDは24年、MRO分野のアジア最大級の展示会『MRO Asia Pacific 2024』で、MROテクノロジー年間最優秀賞のファイナリストにノミネートされた。今後の試金石にしたい」
ー24年の振り返りは。
「25年3月期の上期は、自動車の整備需要などが底堅く増収営業増益だった。ただ、香港の工具メーカー、テクトロニック・インダストリーズ(TTI)が、05年に買収した米ミルウォーキーの工具ブランドを軸に、日本と米国市場で攻勢に出ている。製品が当社の価格帯と近く、懸念材料の一つだ」
ー北米市場攻略のカギは。
「製品の浸透には、製品の質は当然ながら、ブランド認知度向上が不可欠。これまでの事業展開で、ブランディングの重要性を思い知らされ
た。今後の市場開拓に向け北米に商流を持った販売代理店や商社などのM&A(合併・買収)も視野に入れている。また、北米は迅速な製品供給体制が求められる。シカゴに倉庫機能を整備し、迅速に供給できる体制も整えた」
中国需要へ販促強化/ホリゾン社長 堀 英陽 氏
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ホリゾン社長 堀 英陽 氏
ー製本関連機器を主力とし、多品種少量の製本工程向け自動化システム分野で世界トップシェアを握ります。2025年の戦略は。
「当社として初めて、中国の印刷機材の展示会に出展する。中国では印刷市場が成長し、ドイツで4年に一度開催される世界最大規模の印刷機材展示会『ドルッパ』と同等規模の展示会が複数開催されるようになった。当社は10年以上、自動化、省人化をキーワードにした製品開発や提案に取り組んでいる。過去の中国は人件費が安く浸透しづらかったものの、近年は同国でも人件費の高まりが課題となりつつある。当社製品の販促を強化し、需要を取り込む」
ー海外売上高比率が60%強のグローバル企業です。
「25年は停滞していた欧州経済がようやく上向く見込み。特に注力するドイツ市場は、24年末ごろから回復し始めた。コロナ禍前から低迷していた南米市場も、ここ1ー2年盛り上がりを見せている。落ち込みからの反動という側面が強いと思うが、成長を期待する。基本的にポジティブに見ているが、関税政策などで注目される米トランプ政権の動向は注視している」
ー26年春の稼働を目指し、京都本社(京都市南区)を建て替えます。
「現本社は老朽化し、手狭となっていた。収容可能な社員数を増やし、研究開発機能も設ける。京都市内や大阪などの大都市圏から近い立地を生かし、通勤や顧客の訪問がしやすい拠点として、採用強化や顧客ニーズを捉えた技術・製品開発につなげる」
先行き不透明、注視必要/カシフジ社長 樫藤 達郎 氏
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カシフジ社長 樫藤 達郎 氏
ー電気自動車(EV)のギアやロボットの減速機など、歯車を加工するホブ盤が主力です。足元の景況感は。
「2025年9月期は上期が前期の受注残で忙しい一方で国内市況などが悪く、下期は芳しくなさそうだ。顧客の声を分析すると3ー4月頃には需要が回復する見込みだが確証はない。ホンダと日産自動車の経営統合計画やトランプ政権による関税政策など、25年度は注視すべきことが多々あり先行きが不透明だ」
ー24年9月期は中国市況がけん引しました。
「中国のEV市場向けや減速機市場向けで需要が伸び、当初計画よりは上振れて着地した。現地では中小企業の減速機への新規参入が相次ぐ。減速機の用途は不明で、製造装置を購入すれば良いだけと考えているのかもしれないが、新規参入企業が市場ニーズに応える製品を製造できるのか心配だ。経営判断や投資のスピード感も含めて、中国企業は日本企業と少し考え方が違うなと感じる」
ー中長期の成長には採用強化や人材育成が不可欠です。
「サッカーJ1・京都サンガとのスポンサー契約や近鉄京都線内の駅への広告設置など、人材確保に向けた企業認知度向上に努めている。育成では、ホブ盤について理解を深める社内研修を実施している。ホブ盤は非常にニッチな技術だが、専業メーカーである以上、一定の知識は欠かせない。顧客など外部向けにも展開しており、副次効果として研修を受けた顧客社員が、当社製品を採用してくださることも期待している」