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京滋の有力企業18(エイティーン)
近江鍛工/魁半導体/コフロック
生産性向上、環境配慮も/近江鍛工社長 坂口 康嗣 氏
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近江鍛工社長 坂口 康嗣 氏
ー信楽工場(滋賀県甲賀市)を増強し、新設備の大型リングローリングミル(圧延機)が昨秋、稼働しました。
「既存設備より高精度で加工スピードが速く、取り代も少ないので後工程に余裕が生まれ生産性が高まる。電力使用量や作動油が少なくて済むため、環境にも優しい設備だ。今年は本社工場(大津市)でも旋盤や切断機などの最新設備を導入して効率化する。物流効率化も検討中。当社同様にグループで物流会社を持つ同業他社と協力し、往復でトラックを効率よく活用できないかを模索している」
ー足元の事業状況は。
「2024年11月期の業績は建設機械関連や風力発電関連をはじめ、総じて厳しかった。当社は完成品を扱っていないため、原因は分かりにくいものの、中国の景気悪化や戦争の余波などの影響とみられる。25年11月期は利益率を重視した上で、23年11月期の水準まで売上高を戻す方針。海外担当を増員したので、アジアで新規・休眠顧客の開拓に力を入れる。裾野が広く成長著しい半導体製造分野へのアプローチ方法も探り、可能であれば入り込んでいく」
ー人材採用戦略は。
「女性も積極的に採用してきたが、コロナ禍が明けてからは厳しくなった。今後の事業成長では外国人材も必要不可欠。すでにベトナム人の採用を始めており、ゆくゆくは経済成長著しいベトナムでの事業拡大も視野に入れている。ブランドイメージの向上やリクルートの観点も含め、機能性の高い本社事務所への建て替えも検討している」
ソリューション営業強化/魁半導体社長 田口 貢士 氏
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魁半導体社長 田口 貢士 氏
ー多様な部材の洗浄、表面改質、撥水化、親水化、殺菌などに使われるプラズマ処理装置を展開しています。2025年の市場環境は。
「次世代半導体をはじめ、政府も積極的に支援している半導体産業のプロセス開発などで引き合いが増えている。精密度やクリーン度が求められる半導体製造装置の部材の洗浄や表面改質、パーティクル課題の解決といったニーズが多い。当社製プラズマ装置を用いた受託処理事業では、将来の同装置需要も見込める新しい医薬向け容器へのコーティングなども期待できる。前期の業績は厳しかったが、ソリューション営業強化に向けた意識改革、人材育成などに取り組んでおり、2025年7月期は前々期並みに戻した上で、上振れを目指す」
ー海外事業の開拓に力を入れています。
「東欧で次世代エネルギー関連のシステムに用いる部材のクリーニング用途で引き合いがあるほか、欧州では商社などを通じた販路開拓も今期は進めることができそうだ。アジアでは、台湾で半導体の製造プロセス向けで新しい引き合いがあるほか、人脈が広がった東南アジアのタイとベトナムで新たに代理店を通じた販売を進める方針だ。国内も手薄だった関東以北の販売網を強化していきたい」
ー人材育成の取り組みは。
「業務全体を俯瞰してマネジメントできる人材の育成に取り組んでいる。営業はクロージングを逆算して戦略を立てなければならない。外国人材採用ではベトナム人とルーマニア人を新たに採用した」
今年はチャレンジの年/コフロック社長 小島 望 氏
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コフロック社長 小島 望 氏
ー2025年の見通しは。
「流体計測制御機器事業の一つの指標となる半導体市場の動きがまだら模様だが、案件が幾つか動き始めた。25年は需要回復を見込むほか、近年に力を入れて開発してきた新製品が半導体製造装置や半導体洗浄装置向けで期待できる。このほか、除害装置など、半導体製造の付帯装置向けの需要は底堅いイメージ。また、付帯装置である除害装置でも、環境規制が厳しくなる中で廃液処理やガス残留物質処理などを目的とした新たな付帯設備のニーズが増えてきた。これらの処理にはバルブや流量計が必要で、新しい需要も見込めそうだ」
ー窒素や酸素などのガス発生装置の状況は。
「環境対応でトラックによるガス輸送を削減する動きや物価高騰などで、産業ガスの内製化ニーズが高まっている。窒素は部品生産や食品の酸化防止などで需要が増えているほか、陸上養殖の広がりなどで酸素ガス発生装置の販売も増加している。このほか培ったガス発生装置の気体分離技術とエンジニアリング力を用い、注目度が高まる水素関連市場向けで新たな取り組みも進めている。最近では、燃料電池評価装置もあらためてフィーチャーされている」
ー25年の注力ポイントは。
「今年はチャレンジの年。東アジアはもちろん、それ以外も含め、海外全体の裾野を広げ強化していきたい。価値観が多様化する中、モノづくりや働き方、人材育成、採用などの多くで今までの発想や考え方を変えていかなくてはならないと強く感じている」