-
業種・地域から探す
続きの記事
神奈川県央地域特集
画期的技術開発・新分野や新サービス参入
神奈川県央エリアでは、自社の強みを生かし、次代へ向けて取り組む動きが活発化している。中小企業として自らの持ち味を生かした新規分野進出や新サービスなど、たゆまぬ信念と技術力で、神奈川県央エリアから国内経済を支え、成長を続ける企業の活動を紹介する。
マグトロニクス /製造業のDXを支援
-
「制御盤DXアシスト」は、製造業のDXを支援する
マグトロニクス(神奈川県座間市、菅正彦社長)は、1979年創業、工作機械や産業機械の制御盤製造、ケーブル・ハーネス加工に取り組み、さまざまな業種・業界に対応した製造受託事業を展開。多種多様な機械の共通点や、生産効率の向上、高品質化に向けた改善点など蓄積したノウハウで、製造業のデジタル変革(DX)を支援する「制御盤DXアシスト」の提供を開始した。
制御盤製造では、電気設計用3DCADの選定に時間がかかり、最適なものを検証するのが難しいという課題を解決するもので、制御盤メーカーとして月産700台の生産能力を持ち、2016年からの電気設計3DCADの導入で、製造工数を約40%削減した同社が3DCAD導入の目的、求める効果、運用範囲などをヒアリングし、効果の高い解決策を提示する。
導入トレーニングや電気設計データ設計支援のほか、コンサルティングなども行う。基本料金は無料で、3DCAD導入初期の設計、データ作成などは必要に応じて有料で支援する。マグトロニクスは、従来の製造受託企業の枠を超え、モノづくり企業の成功を支援していく。
日本コーティングセンター /環境負荷軽減する表面処理技術
-
最適な表面処理を提案する
日本コーティングセンター(神奈川県座間市、千葉祐二社長)は、デンソーと切削工具の耐久性を高める被膜技術「DeCoatα(ディーコートアルファ)」を共同開発した。
物理蒸着法(PVD法)を用いたセラミックコーティングは製品の耐久性を向上させる表面処理技術。自動車メーカーおよび自動車部品メーカーで使用される切削工具では、加工性や耐久性を向上させるためPVD法によるセラミックコーティング処理品が多く採用されている。「DeCoatα」は、PVD法による複層コーティング被膜で、ドリルやエンドミルなど向け。環境への配慮を徹底した設計で、両社の知見を生かした。切削工具の寿命を延長することで、省資源化や製造工程・流通等で排出される温室効果ガス(GHG)削減に貢献する。
11月5日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕する第32回日本国際工作機械見本市「JIMTOF2024」の日本コーティングセンターのブースで初披露する。
日本コーティングセンターは、革新的なアイデアと持続可能な技術を組み合わせることで、環境に優しい製品を市場に提供し続けることを目指す。
東鈴紙器 /社会の安心・安全に貢献
-
緊急災害ダンボールベッド
東鈴紙器(相模原市中央区、鈴木和弥社長)は、創業50周年を迎える梱包用段ボールメーカー。災害対応製品に力を注ぐ。同社の「緊急災害ダンボールベッド」は、体を囲む仕切りが、避難所でのプライバシー確保や、断熱性を確保。立ち上がりやすい高さで、床に落ちた飛沫やホコリなどを吸い込むリスクも減る。10分程度で組み立てでき、使用後の処分も容易だ。相模原市消防局ともコラボレーションし、ベッド側面に印刷しているQRコードを読み込むことで、「いざという時」に必要となる心肺蘇生の方法や消火器の使い方などの情報を確認することができる。
同社が製造し、旭フォークリフト(同中央区)が販売する「ダンボール製非常用トイレキット 災害便器」は2019年度相模原市トライアル発注認定制度に採用されている。コンパクト設計で組み立てが簡単。使用後は凝固剤で固めて袋ごと廃棄できるため避難所を衛生的に保つことができる。
同社では、能登半島地震被災地支援でこれらの災害用製品を被災地に提供するなど、段ボールメーカーとして、社会の安心・安全に貢献している。
ベストトレーディング /持続可能な社会実現を目指す
-
「原点を超えて未来へ―環境と福祉事業を通じて人々に幸せを―」を経営理念とする
ベストトレーディング(神奈川県厚木市)は「原点を超えて未来へ―環境と福祉事業を通じて人々に幸せを―」を経営理念とし、障がい者の積極的な雇用、教育施設の構築、再生可能エネルギーの産出、廃棄物の処理、リサイクル産業で、持続可能な社会実現を目指す。中小企業庁が選ぶ2023年度「はばたく中小企業・小規模事業者300社」にも選定されている。
24年前からリサイクル事業を展開し、自動販売機から搬出されるペットボトル、缶、ビンや、紙パックを再資源化する。コロナ禍による外出自粛、在宅勤務、イベントの中止や自販機利用の減少などにより飲料販売量が減少傾向にある中、サステナブルファッションの流行が世界で注目されていることに着目し、一般廃棄物として扱われるファッション性に優れ、品質の高い日本製中古衣料を再商品化し、海外へ販売する新分野に進出した。
障がい者の雇用も積極的に進め、就労継続支援A型事業所を年内に開設する。中古衣料リサイクル事業の開始後、雇用する障がい者は16人から25人へと増加。責任ある仕事を任せて就業力向上を支援する。既存事業と新事業を成長させ、循環型社会実現に貢献していく。
アート1 /腐食しにくいアルマイト皮膜を展伸材へ展開
-
11月14日にパシフィコ横浜で開幕する日本ダイカスト会議・展示会「J-DEC2024」で展示予定
表面処理における新技術開発を進めるアート1(神奈川県大和市、秋本政弘社長)は、腐食しにくいアルマイト皮膜「AD864」を展伸材へ展開する表面処理技術を確立した。「AD864」は当初腐食しやすいといわれているアルミダイカスト向けに開発した均一な皮膜の生成と高い耐食性を両立させたアルマイト処理であった。しかし、A2000番台、A7000番台の展伸材や鋳物などもアルミダイカストと同様に腐食しやすいという欠点があることから、展伸材や鋳物でも対応可能な技術へ進化した。
「AD864」は同社の日本工業規格(JIS)に則って実施した試験(塩水噴霧試験)において、5000時間と高い耐食性が確認され、鋳造材だけではなく、アルミニウム製品の資源循環や脱炭素に向けて需要が高まる展伸材への処理にも良好な結果を示した。
これまでのアルミニウム製品の使用頻度が高い空調関連機器や家電製品への利用に加え、今後は半導体や医療機器部品、特に海洋・海岸地域での使用などが主とされる精密機器等などへの利用を見込み、ユーザーへ提案していく。