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4月18日 発明の日
4月18日は「発明の日」。1885年4月18日に、現在の特許法の前身である「専売特許条例」が公布されたことに由来する。特許や意匠、商標など産業財産権の普及・啓発を目的に制定され、日本の産業発展の礎となった。技術進化や産業構造が大きく転換している現代、知的財産権の重要性は増している。競争力の源泉となる知財の創出や保護、活用のあり方について、あらためて考えたい。
金融機関が始めるマッチングによる未利用発明の活用
オープンイノベーションが社会に浸透する中で、その一つの手段として知財ビジネスマッチングが注目されてきている。そして、マッチングの中心にいるのは地域の企業情報を有する金融機関である。知財ビジネスマッチングは、金融機関主導で地域の新たなイノベーション創造として広がってきている。
【執筆】
PATRADE社長 富澤 正
金融機関主導/地域のイノベーション創造
■地域の魅力向上
地域の金融機関が知財ビジネスマッチングに取り組む理由の一つに、地域の産業活性化がある。都市部への人口流出から特に地方では、地域の魅力向上のためにも地域でのイノベーション創造による産業活性化・地域の魅力向上が急がれている。
知財ビジネスマッチングは、使う側に四つのメリットがある。第一に、商品開発のアイデアを探すことができること。第二に、大企業などの長年の研究成果を活用することで、開発期間の短縮・費用の削減ができること。第三に、特許権で守られているため、模倣品を排除できること。第四に、大企業などの信用・ブランド力により自社の知名度を向上させることができること。この四つのメリットが挙げられる。
そして、地域の金融機関にとっては、信用のある特許権に基づくビジネスアイデアを提案できること。なにより知財ビジネスマッチングが成功し、新たなイノベーションが起これば地域企業に対して貢献ができ、かつ、地域の魅力向上と活性化につながるメリットがある。
■未利用特許で製品開発
その先進的な取り組みとして、愛媛県の伊予銀行、長野県の長野県信用組合や、福岡県・佐賀県・長崎県の13信用金庫からなる九州北部信用金庫協会の取り組みがある。それぞれの地域では、自らのネットワークを使い、未利用特許を紹介、製品開発へとつなげている。製品開発を行った企業の中には、コロナ禍で落ち込んだ売り上げを挽回するに至ったところも存在する。
金融機関の強みは、地域企業の課題や技術的特徴を理解していることにより、未利用特許とのマッチングの成功率を高めることができるのである。
未利用特許の活用による製品開発というスキームは決して新しいものではない。しかし、近年知財ビジネスマッチングが広がり、盛り上がりをみせてきているのは、地域でのイノベーション創造の必要性、そして、地域の金融機関の取り組みがあってこそである。
知財ビジネスマッチングは新しいフェーズに入り、今後さらに未利用特許の活用は進んでくるであろう。