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静岡県産業界(2024年1月)
コロナ禍を乗り越え平時を取り戻したものの、世界経済や国際政治の不透明感は収まらない。そうした中、2023年から静岡県内の各企業は新製品開発や海外展開、設備投資といった戦略に取り組む。24年もそれぞれの経営判断や戦略が静岡県産業界を、そして日本の産業界を前に進めている。
技術生かした新製品を投入(1)
SIer向け実習支援システムなど
既存製品の改良や新製品開発、新分野への参入、市場の深掘りが活発だ。
三明機工(静岡市清水区)は現実世界と仮想世界を融合するクロスリアリティー(XR)技術を活用したロボット操作実習支援システムを開発し、24年中に発売する。ロボットシステムインテグレーター(SIer)を想定したXR技術活用の実習支援システムは初という。価格などの販売形態を今後詰め、教育機関や企業のロボット人材の育成向けに提案する。
実習支援システム「XRデジタルトレーナー」はパソコン、XRゴーグル、ロボットに動きを教え込むための機材「ティーチングペンダント」で構成。三明機工独自のシミュレーションソフトを採用した。撮影中の人物や設備に背景を合成できる技術を活用。パソコンのシミュレーションソフトから映像を送信し、ロボット活用の現場を忠実に再現。ペンダントを使ったティーチングなどロボット操作を体験できる。
ペンダントを操作する手元が視覚的に認識できるようにするなど、仮想空間を体験できるゴーグル装着の際のデメリットを解消。ティーチングペンダントを使った疑似体験を通してロボットについて幅広く学べる。
工具自動交換機能付きCNCひざ型フライス盤
静岡鉄工所(静岡市葵区)は、自動工具交換装置(ATC)を追加したコンピューター数値制御(CNC)ひざ型フライス盤「ST―NR6ATC」を発売した。手動操作とCNC操作の特徴を併せ持ち、省スペース化を図った。生産スペースが限定的な中小企業向けに提案する。
同様の機能を持つ同社製CNCひざ型フライス盤「AN―SRN6ATC」をベースに開発。約20%省スペース化した。工具収納本数は6本。ATCを装備することで手動操作のハンドル加工でも、CNCによる長時間無人運転でも効率化と多様な加工形態に対応する。昼間は自動車部品、金型部品などの多品種少量加工を行い、夜間にATCによる工具の自動交換で長時間の連続無人運転を行うなど柔軟な生産体制を構築できる。
同社は小物部品加工や試作などユーザーのニーズを反映した機械作りを強みとする。生産性向上を図る機能の付与など、中小企業を支援する機種開発を加速している。
特別仕様の小物加工向け立形MCを追加
エンシュウはマシニングセンター(MC)の「Saving Center(セービングセンタ)」シリーズで、主軸15番の立型MC「SV130」の特別仕様機を追加し発売した。主軸回転数が標準機と比べて2・5倍の毎分5万回転を実現。時計やメガネ、医療機器といった小物部品の加工向けに提案する。
同シリーズはエネルギーやコスト、設置スペースを大幅に削減できる点が特徴。SV130は従来主軸30番ではオーバースペックだった加工の置き換え需要を狙う機種と位置付けており、今回、展示会出展などを通じてニーズを探り新たな仕様を加えた。
自動パレット交換機(APC)やロボットを組み合わせた自動化にも対応する。