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不動産
2026年の不動産市場は旺盛な需要を背景に引き続き堅調に推移すると見込まれている。働き方や暮らしの多様化に伴いオフィスやマンションの市場は拡大傾向が続き、電子商取引(EC)向けを中心に物流施設の建設も相次ぐ。良好な事業環境が続く中で、各社は最先端技術の活用や新たなニーズの掘り起こしに力を注いでおり、持続的な成長に向けて脱炭素化や新規事業の創出といった取り組みを一段と強化している。
近未来と里山と…都市で共生
東京建物/八重洲に東京駅直結 大規模複合ビル竣工
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「TOFROM YAESU TOWER」(東京建物)
東京建物が再開発組合の一員として参画し、「東京駅前八重洲一丁目東B地区市街地再開発組合」が推進する大規模複合ビル「TOFROM YAESU TOWER(トフロム ヤエス タワー)」が竣工した。国際都市・東京の玄関口にふさわしい都市機能の強化と国際競争力の向上への貢献が見込まれている。
TOFROM YAESU TOWERは、「東京駅前八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発事業」の一環で整備された地下4階・地上51階、高さが約250メートルの大規模複合ビル。八重洲地下街(ヤエチカ)を介して東京駅に直結し、オフィスや商業施設、劇場・カンファレンス、バスターミナル、医療施設など多様な用途で構成している。
名称の「TOFROM」は、英語の「TO」と「FROM」を組み合わせた造語。国内にとどまらず、世界中から「ヒト・モノ・コト」が集まってつながり、ここを起点に多様な価値が生み出され、発信されていく場所になってほしいという思いが込められている。オフィスや飲食を中心とする商業店舗に加え、交通・医療・文化といった異なる要素が融合。八重洲から新たな価値の発信を目指している。
大きな特徴の一つが、街区再編による不燃化・耐震化の推進だ。耐震性に関しては、重なりダンパーと手裏剣ダンパーを採用したハイブリッド制震構造の採用により、超高層建築物の構造計算基準で定められた地震動の1・5倍に耐える高い性能を備える。さらに被災度判定システムを導入することで、建物構造の被災状況を早期に判定し、速やかな復旧計画の立案が可能だ。
信頼性の高い3回線スポットネットワーク受電に加え、中圧ガスと重油の双方に対応するデュアルフューエル式非常用発電機を導入。インフラ断絶時でも、約72時間の電力供給によって企業の事業継続を下支えする。主要な電気諸室を2階以上に配置するなど、水害対策も徹底した。
バスターミナルを手始めに、多様な施設が順次開業する。今春開業予定の段床型劇場・カンファレンス施設は、エンターテインメントを通じた文化発信拠点としての機能に加えて、MICE(国際会議、展示会・イベント、講演会、セミナーなどの催事)を誘致することで、YNK(八重洲・日本橋・京橋)エリアのビジネス交流機能のさらなる拡充を図る。
また6月に開設する高度医療施設「日本医科大学八重洲健診ステーション」は、がんの早期発見をはじめとした先進的な予防医療や、日本医科大学付属病院(東京都文京区)との連携による高度医療サービスなどを提供。今秋には商業区画の第一期オープンを迎え、飲食店を中心に約60店舗が集結する予定だ。
森ビル/ヒルズに里山 都心で緑地ネット
森ビルは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づき、都市再開発を通じた生物多様性に関する情報開示を行っている。六本木ヒルズなどの緑地の植物を分析したところ、周辺の主要な緑地との間で約180種の昆虫が往来する都心部のエコロジカルネットワークの形成や、生物多様性や炭素蓄積量に富む里山に近い豊かな土壌が形成を確認できた。
TNFDは、企業が自然資本や生物多様性に関するリスクや機会を評価し、開示する枠組み。企業が自然との関係を見える化し、持続可能な経営へと転換するための重要なステップとされる。
この開示における自然関連情報の分析は、TNFDが提示する自然関連リスクと機会の評価アプローチ「LEAP(発見、診断、評価、準備)」に沿って、事業に係る自然関連の依存と影響を分析するとともに、リスクと機会を特定、評価した。さらに環境DNA解析技術を用いた生態系の状態分析などの技術を持つサンリット・シードリングス(京都市左京区)の協力を得て、ポジティブインパクトの詳細分析を実施した。
各ヒルズ内の緑地と港区全域の大小さまざまな緑地を対象とし、一般的なチョウ類が緑地間を移動できる距離(400メートル)を基準に、緑地同士の連結性を評価した。その結果、アークヒルズ、六本木ヒルズ、麻布台ヒルズ、虎ノ門ヒルズなどの各ヒルズ内の緑地が皇居・日比谷公園、赤坂御用地、青山霊園、芝公園など周辺の主要な緑地と相互作用することで、多様な生物が行き来できる都心部のエコロジカルネットワークが形成されていることが明らかとなった。
またヒルズ内の緑地の土壌48点(有効データは47点)に含まれる土壌微生物の網羅的解析を行ったところ、開発時の設計思想や竣工後の管理・運営などにより、土壌微生物の多様性が豊かであることが判明。里山林土壌と比較して土壌の物質循環に関わる機能を持つ微生物が多く検出された。
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「麻布台ヒルズ」の中央広場(森ビル)
特に、竣工時期の新しい麻布台ヒルズ内の緑地(2023年竣工)に比べて、竣工時期の古いアークヒルズ(1986年竣工)や六本木ヒルズ(2003年竣工)などの土壌は、時間の経過とともにより多様な機能を持つ微生物が分布。里山林の土壌の状態に近づいていたという。
「ヴァーティカル・ガーデンシティ(立体緑園都市)」を理想の都市モデルに掲げ、建物を集約・高層化して空いた地上のオープンスペースを緑化する街づくりを手がけてきた森ビル。都市と自然の共生や都市の脱炭素化の効果を確認できた分析結果を踏まえ、今後もネイチャーポジティブの実現に向けた取り組みをさらに深化させていく方針だ。
