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不動産
2026年の不動産市場は旺盛な需要を背景に引き続き堅調に推移すると見込まれている。働き方や暮らしの多様化に伴いオフィスやマンションの市場は拡大傾向が続き、電子商取引(EC)向けを中心に物流施設の建設も相次ぐ。良好な事業環境が続く中で、各社は最先端技術の活用や新たなニーズの掘り起こしに力を注いでおり、持続的な成長に向けて脱炭素化や新規事業の創出といった取り組みを一段と強化している。
移動体験・観光資源のコンテンツ充実
三井不動産/電動旅客船 新たな舟運 出航
三井不動産は4月から東京の日本橋―豊洲間の定期航路として、電動旅客船の運航を開始する。観光や日常の移動など交通インフラとしての利用を見込んでいる。2030年代に開業する築地の再開発エリアと水路で結ぶことで、回遊性を高めていく考えだ。
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水辺の夜景と調和する「Nihonbashi e—LINER」(三井不動産)
舟運プロジェクト「&CRUISE(アンドクルーズ)」として運航を始める。同社はこれまで、船主として主機関や発電機などの内燃機関を搭載しないフル電動旅客船2隻の建造を進めてきた。プロジェクト開始にあたり、船名を「Nihonbashi e—LINER」と命名。観光汽船興業(東京都中央区)が運行事業を実施する。東京都の補助金も活用する。
同船は、総トン数20トン未満の日本小型船舶検査機構管轄の船としては、国内最大級となる約300キロワット時のリチウムイオン電池(LiB)を搭載している。デザインや高い機能性だけでなく、優れた環境性能を備える。
航行に必要な電力は、「アーバンドックららぽーと豊洲」内に設置した給電設備から再生可能エネルギーを用いて充電する。このため、航行時の二酸化炭素(CO2)排出量ゼロの「実質ゼロエミッション船」として設計されている。
環境負荷を抑え生態系にも配慮した持続可能な移動手段として、船内の内装材についても環境配慮型の素材を数多く採用している。例えば、客室座具テキスタイルには有害な化学物質を使わず再生ポリエステルなどによるテキスタイルを活用した。
また客室や操舵(そうだ)席の床面には廃棄漁網や使用済みペットボトルを再利用したカーペットを採用。客室壁面にはほぼ100%リサイクルが可能なエコ建材、トイレ床には製造工程で発生する端材などを原料とする再生ビニール床材を使っている。
「&CRUISE」において、三井不動産は自ら船主となって日本橋川沿いエリアの「日本橋リバーウォーク」とウオーターフロントのさまざまな拠点を結ぶ舟運ネットワークを構築。30年代には築地市場跡地再開発の街開きの後に日本橋、豊洲、築地を拠点として、舟運ネットワークをさらに拡大していく計画だ。
思い描くのは、買い物や通勤などの日常的な利用だけでなく、ウオーターフロント周辺観光スポットへの国内外旅行者の移動手段、空や水、風を感じられるウェルビーイングな移動体験を提供すること。また有事の際に人や物資の輸送に充てることや、同船からのスマートフォンなどへの逆給電も想定する。
4月から航路に就くのは日本橋—豊洲間の2隻。舟運が新たな社会インフラとして定着することで、「水都東京」と呼ばれた機能の復活にも期待がかかる。
東急不動産/広域渋谷圏の魅力高める
渋谷駅を中心とする半径約2・5キロメートルのエリアを「広域渋谷圏」と定義し、駅周辺の回遊性を高めるための街づくりを進める東急グループ。同グループを構成する東急不動産ホールディングスが、広域渋谷圏の街づくりのコンセプトとして掲げるのが「LIFE LAND SHIBUYA」だ。渋谷や原宿、表参道、代々木、代官山、恵比寿など、個性豊かな街々が隣り合う特性を生かし、東京・渋谷の魅力や競争力を一段と高めるためのコンテンツづくりに力を注いでいる。
グループの中長期ビジョン「中期経営計画 2030」でも、広域渋谷圏戦略の推進は重要テーマだ。再開発を通じた街の魅力の向上と歩調を合わせる形で、中核事業の強化を目指している。
再開発の軸となるのは、「都市観光」「産業育成」「都市基盤の構築」の三つ。このうち都市観光では、夜間に行われる経済活動「ナイトタイムエコノミー」の活性化を狙いに観光資源の充実を図り、人を呼び込むための施設を増やしている。
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「QLINK(クリンク)渋谷神泉」(東急不動産)
観光資源の充実に向けた取り組みにおいて重視するのは、エリア内を観光する際の滞在時間と楽しむ時間を来街者に増やしてもらうこと。その一環として、“裏渋谷通り”として近年注目度が高まる神泉で、25年12月に飲食ビル「QLINK(クリンク)渋谷神泉」を開業した。居酒屋や中華バルをはじめ、昭和時代をほうふつとさせるスナック、クラブ、バーなど深夜営業も行う店舗を含むさまざまな飲食店が入居している。
昔ながらのたたずまいを持つ店舗と若者やインバウンド(訪日外国人)を意識した飲食店が共存し、独特の魅力を醸し出す円山町—神泉エリアの新たなスポットとして存在感を放つ。仕事や住まい、遊びなど目的が異なる多彩な人たちが出会い交流する場所として、同エリアの魅力や個性をさらに高める機能を担う。
さらにインバウンド需要の取り込みを狙って、東急不動産と東急リゾーツ&ステイは恵比寿駅近くにホテル「東急ステイ渋谷 恵比寿」を開業した。平均客室面積は22平方メートルで、シングルやダブル、ツインに加えて、多人数に対応した客室を含む全77室を用意している。
2階には、朝から夜までさまざまなシーンに対応可能なオールデイダイニング「EZARO(エザロ)」を開業した。恵比寿の街に溶け込むような「心地よいひととき」を演出する。オフィスや住居だけでなく、グルメやアパレルなどのショップが建ち並び、流行にも敏感な街の特性を踏まえ、自然素材を生かし美しいデザインや統一感のあるカラースキームなどを採用しており、“街にひらかれたホテル”を目指している。
