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MC・NC工作機械特集
有機的形状の加工でも工具経路を短時間で算出
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図4 走査線加工による自由曲面形状の加工
有機的形状とは、一般的に寸法公差などの指示が少なく、穴やポケットなどといった代表的な加工フィーチャーごとに加工を行うのではなく、複雑な曲面形状で構成された一体ものの形状を表す。最近では、人工関節や歯科補てつ物に代表されるような医療分野で用いられる形状に有機的形状が多くなってきている。このような形状においては、製品形状の表面を三角メッシュの集合で表現したSTL形式の3DCADモデルが用いられることが多い。有機的形状の加工においては、製品の側面方向から加工面を割り出して、図4に示すように複雑な自由曲面に沿った走査線加工にて加工することが有効である。
走査線加工とは倣い加工とも呼ばれ、工具の先端形状である球で製品表面を倣うような経路である。製品形状は三角メッシュの集合で表現されているため、工具の先端形状の球とその球が転写される平面内に存在する三角メッシュとの接点を工具進行方向に対して微小間隔ごとに求めることで、工具経路を生成することができる。しかしながら、製品形状が複雑になると表現される三角メッシュの数は多くなる一方で、トレランス(工具経路の許容誤差量)を小さくしたい場合には、非常に細かい間隔で工具位置を算出する必要がある。これをコンピューターで計算する場合には、膨大な量の繰り返し計算が必要となる。
そこで、本研究グループでは、これらの繰り返し処理を画像処理半導体(グラフィックス・プロセッシング・ユニット、GPU)を用いた並列演算処理により実現している。GPUによる並列演算処理を用いることで、従来では数時間要していた工具経路の演算処理も数分で完了することが可能となっている。