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MC・NC工作機械特集
3次元CADモデルを用いたNCプログラムの生成技術
【執筆】 神戸大学大学院 工学研究科 准教授 西田 勇
労働者や熟練技術者不足の課題解決に貢献
工程設計とは、部品ごとの設計情報あるいは部品図を基にして、その部品の生産に必要な設備、工具、治具などを選定することで各工程を決め、それらの工程の順序を決定し、工程順に作業条件を記載した工程表を作成することである。機械加工では、部品形状、幾何公差、材質・材料など設計部門からの指示に基づき使用する工作機械や、工具形状、治具・取り付け具、加工条件を決定して、工具の移動軌跡を表す数値制御(NC)プログラムを生成することを工程設計と呼ぶ場合が多い。
最近では、コンピューターによって3次元(3D)CADの設計情報から、自動的に使用する工作機械を選定し、加工条件を決定して、NCプログラムを生成する自動工程設計(CAPP)システムが実現されつつある。しかしながら、既存のCAPPシステムにおいては、完全自動化が実現されているとは言い難い。完全自動化とは、人はCADモデルを選択するのみで、全ての動的運転タスクおよび作動継続が困難な場合への応答を持続的かつ無制限にシステムが実行するものだが、現状はある制約条件下での自動化や熟練したオペレーターによる操作が前提とされている場合が多い。
現在、国内の製造業が抱える問題として、製造業就業者数の減少が挙げられる。1990年代前半以降、製造業就業者数と製造業の就業者の全産業に占める割合はいずれも減少傾向であり、92年と2023年を比較すると、製造業就業者数は約514万人、製造業の就業者の割合は8・7%減少している。これは、少子高齢化による労働人口全体の減少だけでなく、若年層の製造業離れなどの要因が影響していると考えられる。
このような現状から、将来的により深刻な就業者不足や熟練技術者の不足による生産能力の低下などが危惧されている。そこで本研究グループでは、3DCADモデルのみを入力情報として、NCプログラムを完全に自動で生成する研究に取り組んでいる。