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中部の工作機械産業
2026年の工作機械市場は底堅い需要に支えられ回復傾向が続きそうだ。日本工作機械工業会(日工会)の調べによると25年の工作機械の受注総額(速報値)は1兆6039億1600万円となり、3年ぶりにプラスに転じた。26年は、それを上回る1兆7000億円と見通す。そうした中、中部の大手工作機械メーカーは製造現場で深刻化する人手不足に対するソリューションを提供し、需要をつかもうとしている。
中部の主要工作機械メーカートップが語る26年の戦略① オークマ/ヤマザキマック
オークマ 社長 家城 淳 氏/日本のモノづくり力強化に貢献 精度安定性で差別化
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オークマ 社長 家城 淳 氏
—2025年を振り返って。
「米国関税政策の影響については、当社としては価格転嫁などをしながら何とか乗り越えた。ただ米国の中小企業のお客さまが投資できなくなったり、自動車業界のお客さまが投資できなくなったりと、お客さまが受けた影響によって当社も影響を受けた。グローバルに大手の需要が大きい1年だったが、中小企業が回復するには至らなかった」
—26年の工作機械の市況見通しは。
「『曇りのち晴れ』とみている。防衛、データセンター、航空宇宙、造船などの揺るぎない需要に加え、半導体、自動車の投資も25年より明らかに良くなっていく。中小企業を含めて鮮明な回復基調の1年になる。ただし、米国・中国・ロシアにおける地政学リスクは分からない部分があるので『所により一時雷雨』も覚悟している」
—注力する分野は。
「当社は知能化技術、AI(人工知能)技術を強みとしており、無人でも精度安定性や工程能力を維持できる『スマートマシン』の展開に重点を置いている。それが今、多品種少量生産を工程集約し、自動化したいという需要と合致してきた。その中でも、特に精度安定が難しい複合加工機や5軸加工機では他社との差別化となり、今後さらに期待できる」
—国内市場では老朽化した機械を使いつづける「ビンテージ問題」が課題となっています。
「このままだと日本のモノづくり力が衰退してしまう。生産性を上げるためには設備投資が必要だ。実際、中小の部品加工事業者で投資をしているところは、どんどん仕事が入り、難しい加工を手がけ、利益を出し、成長している。当社としては中小の方でも投資をしたくなるような、本当に生産性が上がり、すぐにキャッシュを稼げる、そんな自動化ソシューションを提案する。そして日本のモノづくり力の強化に貢献したい」
—江南工場(愛知県江南市)に2拠点を新設しています。
「『エンジニアリングセンター』は本社工場(愛知県大口町)や可児工場(岐阜県可児市)で行っている、自動化ラインの組み立てや機能確認、テストカットなどを集約する。その分、各工場の生産能力が上がる。近く使い始めるが今後、工程集約機などの生産増が期待できる中、いいタイミングで立ち上げられた。一方、『イノベーションセンター』は当社のこれからの技術の方向性を見ていただく場。周辺機器メーカーなどとのコラボレーションする部屋も設ける。今春の完成に向け中身を整備しているところだ」
—26年度から始まる次期中期経営計画のテーマは。
「今中計は(海外売上高比率70%を目指す)『グローバル70』の達成や『ものづくりサービス』の進化など一定の成果はあったが収益性に課題が残った。次期中計では収益性基盤の再構築と顧客起点のビジネス展開が重要テーマとなる」
ヤマザキマザック 社長 山崎 高嗣 氏/メーカーの基礎力問われる時代 国内で品質や機能鍛える
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ヤマザキマザック 社長 山崎 高嗣 氏
—2026年の工作機械の市場見通しは。
「北米は航空・宇宙などが活況を呈し、特に大手企業が積極的に投資している。その中でハイエンドな機械や自動化システムとともにアフターサポートを含め稼働率を保証するトータルサービスの需要が広がっている。ただ中小企業は引き続き弱含みの状況。欧州は当社の工場がある英国のほかイタリア、東欧などで徐々に受注数字が上がってきている」
—アジア市場は。
「中国は想定以上に好調で、現地の2工場とも高い稼働率にある。26年も電気自動車(EV)をはじめとする電動車、産業機械などがけん引し、堅調に推移するとみている。インドは国内需要が伸びているほか、現地工場でつくる機械が東南アジアでも本格的に売れ始めている。欧州へも供給する。そのため26年は増産投資を行い、月産40台から60台に引き上げる」
—日本市場を、どう位置付けていますか。
「将来的に中国やインドのような拡大は期待できないが、引き続き重要な市場であることに変わりはない。日本のお客さまは機能、品質、信頼性、サービスに対し大変厳しい。これらは工作機械メーカーの“基礎体力”であり、それが最も鍛えられるのが日本だ。日本で蓄えた基礎体力をもって海外市場で稼ぐというのがテーマとなる」
—製造現場では人手不足が深刻化しています。
「人手不足による企業倒産が増えているが、それはつまりお客さまが消えていくということ。お客さまであり続けてもらうためには軽減策、解決策を当社自ら開発し、提供しないといけない。人手不足は当社にも当てはまる課題だ。社内で生産手法を改革した上で、そこで培ったものを製品化してお客さまにも提供することで役に立ちたい」
—具体的には。
「今、推し進めているのは工場内、工程間の搬送の自動化。例えば主軸生産工程で人手で行っている主軸の搬送を、自律走行搬送ロボット(AMR)を活用し自動化しようとしている。人は主軸を組むという本来の仕事に専念できるようになる。こうした省人化の推進は国内全工場で取り組んでいる。日本で成功例をつくり海外工場にも随時展開していく」
—製品開発の方向性は。
「25年に発表した『マザックレーザーFAシステム』は、レーザー加工機で切断したあとの二次加工や仕分けなどを自動化し、省人化できるシステム。特に国内の中堅・中小企業から多くの引き合いをもらっている。工作機械もレーザー加工機も、こうした自動化装置をビルトインしたシステム製品の開発に一層力を入れる」
—中国の工作機械メーカーの追い上げについて、どう見ますか。
「中国勢は新たな競争相手として台頭しつつある。性能的には、いいものが出ている。リードし続けるためには圧倒的な高精度、高生産性、そして、それらを長期間に渡って出し続けるためのサポート力、こうした基礎的な力が問われる」
