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中部の工作機械産業
2026年の工作機械市場は底堅い需要に支えられ回復傾向が続きそうだ。日本工作機械工業会(日工会)の調べによると25年の工作機械の受注総額(速報値)は1兆6039億1600万円となり、3年ぶりにプラスに転じた。26年は、それを上回る1兆7000億円と見通す。そうした中、中部の大手工作機械メーカーは製造現場で深刻化する人手不足に対するソリューションを提供し、需要をつかもうとしている。
回復傾向堅調な年に
国内の老朽設備更新呼びかけ
2025年の年間受注実績のうち外需は前年比11・5%増の1兆1634億8800万円と2年連続で増加し、過去最高を更新した。中国や米国にけん引される形で好調さが続き、5年連続で1兆円を超えた。
一方、内需は同0・3%減の4404億2800万円と3年連続で減少した。裾野が広い自動車向けの回復が遅れるなど、業種や企業規模で需要が異なる、まだら模様の展開となった。
26年の年間受注額予想の内訳については、外需が同3・1%増の1兆2000億円。地域別では堅調な中国やインドの需要が続くほか、航空機産業などが活発な米国の需要も底堅いとみている。
内需は同13・5%増の5000億円の予想。国内では大規模な設備投資を促す減税策が見込まれる。坂元繁友日工会会長は、それを追い風に「26年は(老朽設備を使い続ける)ビンテージ問題を少しでも前進させたい」と述べる。
製造現場の人材課題解消へ
回復傾向が続くと予想される市場に向け、中部の大手工作機械メーカーは需要に応じた製品・サービスの提供を強化している。特に製造現場で深刻化している人手不足、熟練者不足に対するソリューションの重要性は高まるばかりで、各社とも力を入れている。
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知能化技術を盛り込んだオークマの小型複合加工機「マルタスU2000」
オークマは工作機械が自律的に高精度や安定稼働を維持する知能化・AI(人工知能)技術を「強みとしている」(家城淳社長)。複合加工機や5軸制御マシニングセンター(MC)といった工程集約機、自動化セルにおいて、人がいなくても長時間の連続運転を可能とする技術だ。
「サーモフレンドリーコンセプト」は、その代表例。室温などの温度変化に対し、人が関与しなくても機械が自律的に高精度を維持する。工程集約機は精度が安定しにくいとされるが、この技術を搭載した新型小型複合加工機「マルタスU1000」「同U2000」は、長時間運転しても寸法変化が10マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以内に安定する。
ほかにも、5軸加工機の幾何誤差を自動で計測・補正し、短時間で5軸加工精度をチューニングする知能化技術「ファイブチューニング」、機械に搭載したAIによって工具折損前に異常を検知し、工具を自動交換する「AI加工診断機能」、主軸や送り軸の異常の有無と部位を自ら診断し見える化する「AI機械診断機能」など、多くの知能化・AI技術を展開する。さらに現在「遠隔で24時間無人運転する工場でも儲かる機械」(家城社長)をテーマに技術開発を進めているという。
非熟練者サポートする機能拡充
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ヤマザキマザックは段取り支援ソフトの機能を拡充
ヤマザキマザックは段取り作業支援ソフトウエア「マザトロールDX」の機能を拡充している。見積もりやプログラミング、機上段取りといった、オペレーターのスキルに依存していた作業を、非熟練者でも行えるようサポートする。
機械とオフィスのパソコンをネットワークでつなぎ、これまで機械側で行っていた作業をオフィスで実施できる。例えば見積もり作成。3次元(3D)モデルをソフトに取り込むと加工時間や加工費を自動で算出し、必要な工具も選定してくれる。3Dモデルからプログラムを自動作成する機能などもある。
オフィスで作成した加工プログラムを機械に送ると機上の段取り指示書を自動作成する。オペレーターは、それを見ながら工具取り付けなどの作業を行える。マザトロールDXはサブスクリプション(定額制)サービスで、料金は3年間で約30万円。2月にはオフィスのパソコンで数値制御(NC)操作盤の扱い方をトレーニングできる機能を追加予定だ。
大型円筒研削盤、8年ぶりに新型
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松本機械工業のケレ自動交換システムを組み合わせたジェイテクトの円筒研削盤「G1P25G」
ジェイテクトは25年10月に名古屋市で開催された工作機械見本市「メカトロテックジャパン(MECT)2025」で、松本機械工業(金沢市)のケレ自動交換システムを組み合わせ、多品種の研削を完全自動化できる円筒研削盤「G1P25G」を紹介した。非熟練者でも剛性や研削方式などの条件入力だけで高精度加工を行える円筒研削盤「G3P100L」もアピールした。
また現在、新型の大型円筒研削盤「G5シリーズ」を開発中。26年10月に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される日本国際工作機械見本市(JIMTOF2026)で披露し、受注を始める計画だ。大型円筒研削盤の新型機投入は8年ぶりとなる。作業者が付きっきりでなくても精度を維持できる新機能を盛り込むという。
