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ライフサイエンス
快適な空間づくり 空調設備工事
空調設備工事各社は住宅・オフィス、商業施設などで培った空調気流制御技術を生かし、再生医療の研究・開発の環境整備や快適な空間づくりに貢献している。新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いた後も安心、安全な環境づくりのニーズは高まっている。
空調除菌
大気社は感染症や有害物質の脅威から人の健康を守り、オフィスや商業施設、工場における快適な空間づくりに貢献する。同社は2024年6月に天井裏ダクト接続型の空調除菌システム「Airaiser(エアライザー)」を開発した。
エアライザーは室内ではなく天井裏に設置することでスペースの有効活用ができ、除菌力の強い深紫外発光ダイオード(UVC―LED)を採用した独自の空気清浄化技術でオフィスなど人の集まる施設の空気を快適にする。UVC―LEDは細菌やウイルスの除菌効果が高く、環境に配慮した水銀フリーで安全に長期間使用することができる。エアライザー自体からの発生音はなく、静かな空間を実現する。
エアライザーは空調機の風量に応じて三つのラインアップを検討中で、製品の発売に向けてマーケティングと量産化の準備を行っている。同社によると、展示会ではウイルスや細菌のみならず、カビに対する除菌効果が高いことにも、来場者から大きな関心が寄せられたという。
エアライザーはコロナ禍で室内環境のニーズが変化したことをきっかけとして、製品化に着手した。大気社環境システム事業部営業統括部の吉田和弘推進課長は「コロナ禍以降、しっかりとした機能が求められている」とし、「2年後を目安に採算ベースまで販売量を増やしたい」と意気込む。
また24年4月には革新的な人追従と空調技術を融合した吹き出し口「FOLLOAS(フォロアス)」を発売した。吹き出し口部にあるカメラで人(作業者)を画像認識して追従し、ピンポイントで風を届けることができ、工場や倉庫、搬出ヤードなどの大空間でムダのない空調と暑熱対策を実現する。同社は空気制御技術を生かして快適な作業環境と空間づくりに貢献していく。
再生医療
ダイダンは「高品質な医療環境の実現」を重要課題の一つに設定し、質の高い医療のための安全な環境を提供する。23年10月に子会社のセラボヘルスケアサービス(セラボHS)と連携し、藤田医科大学東京先端医療研究センター(東京都大田区)内に「セラボ羽田」を開設した。
セラボ羽田は細胞操作を行うためのクリーン環境を実現する細胞培養加工ユニット「オールインワンCPユニット」を導入している。ダクトレスで既存設備の大掛かりな工事が必要なく、施設に合わせて短期間でクリーンルームを設置できる強みを持つ。
ショールームも兼ねており、医療施設で活用する事例を見学できる。ベンチャー企業や病院、研究施設を主な顧客とし、ダイダングループが一体となって製造から運用まで行う。
17年4月に再生医療・細胞治療の産業化拠点「ライフイノベーションセンター(LIC)」内に「セラボ殿町(川崎市殿町)」を開設。21年11月に細胞製造施設へリニューアル後、23年4月に厚生労働省から「再生医療等製品製造業許可」を取得し、再生医療事業の活動拠点として展開している。同施設で継続的なデータ取得と改善を行い、製品や技術の社会実装を通じて再生医療の産業化に寄与する。
セラボ殿町を中心に、セラボ羽田、技術研究所(埼玉県三芳町)の3拠点で連携し、新しい技術やサービスの立ち上げに取り組んでいく。
ダイダンは6月26日―28日に東京・有明の東京ビッグサイトで開催された「第26回インターフェックスジャパン」に出展し、開発した製品やサービス、再生医療への取り組みをアピールした。吉田一也ダイダンイノベーション本部フェロー兼セラボHS社長は「再生医療に関する引き合いが多く、市場の盛り上がりを感じる」とし、「細胞製品の製造受託といった新規事業に取り組む」と今後の展望を語った。