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連携特集2025 “京創力”
世界最先端の誇りもう一度
京都発、国産ヒューマノイド復権へ
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KyoHAの設立メンバー
国産ヒューマノイド(人型ロボット)開発や実用化を目指す産学連携の取り組みが、京都で始動した。日本企業はかつてヒューマノイド開発で世界最先端を走ったが、現在は世界に後れを取り、展示会からも姿を消しているという。早稲田大学とロボットメーカーのテムザック、村田製作所、SREホールディングスは一般社団法人「京都ヒューマノイドアソシエーション(KyoHA)」を2025年中に設立し、巻き返しを図る。
現在、ヒューマノイド開発は中国や米国が台頭する。センサーやモーターなどを専用設計し、製造するなど両国は市場を席巻。テムザックの川久保勇次社長は「既存のセンサーやモーターをかき集めても中国や米国に勝てない」と、日本企業が集結し、国内でサプライチェーンを構築する必要性を説く。
KyoHAがまず開発するのは、災害が多い日本で実用化の期待が高まるレスキューロボットだ。26年12月までに試作機の開発を目指すタイトスケジュールだが、ヒューマノイド開発における世界競争で、いち早い日本の復権を目指す覚悟だ。
島津製作所 執行役員人事部長 井原 薫 氏/社員の専門性向上へ支援続ける
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島津製作所 執行役員人事部長 井原 薫 氏
—人材の特徴は。
「入社以来長く製品デザインを担当した経験から、どうしたら当社の魅力が伝えられるかなどを考えながらデザイナーの採用も行ってきた。当社の人材は専門性の高さが特徴で、その特性をさらに磨くためのキャリアパスを用意している」
—専門性が高い人材を増やす取り組みは。
「イノベーションを起こす際に専門性が高い人材がいることは強みだ。包括連携協定を結んだ大学の共同研究先へ社員を博士後期課程の学生として派遣するプロジェクトや、共同研究先の学生に修士課程修了時点でひとまず入社してもらい、博士号取得を目指す取り組みがある。専門性を身につけ、事業への還元が重要だ」
—誰もが挑戦できる環境作りも重要です。
「日本全体で性的役割意識がまだ強く、当社にもあると感じる。当社グループの経営層にアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)の研修を行った。部長職にも受けてもらう。男女など関係なく、次のステップ(管理職登用試験を受けるなど)に戸惑っている社員へ、上司からの適切な声かけや同僚がサポートできる体制があるべきだ」
—数字で測れない取り組みを顕彰する社員表彰制度があります。
「今回で2回目でグローバルで募集した。審査で8件に絞り、その内容を紹介する動画を作成し、社員に視聴してもらい、6月に投票を行った。投票した社員も頑張ろうというモチベーションにつながればと考えている」
堀場製作所 社長 足立 正之 氏/連携で差別化できる技術開発も
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堀場製作所 社長 足立 正之 氏
—主力事業の半導体関連は、京都府福知山市にマスフローコントローラー(MFC)などの新工場を建設するほか、韓国企業買収など動きが活発です。
「半導体関連は堅調で、新工場はMFCの製造キャパシティーを3倍まで上げられるので期待している。4月にはパワー半導体の素材検査装置を手がけるエタマックス(韓国・水原市)を買収した。当社もラマン分光分析装置をパワー半導体の素材検査の研究向けに展開していたが、エタマックスで工業用途向けも期待できる」
—自動車関連の足元の事業環境は。
「電気自動車(EV)市場は思ったほど拡大せず、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)など向けに落ち着いてきた。燃焼関連のビジネスが戻ってきており、世界各国の厳しい規制に対応する必要から、排ガス測定装置などの需要が戻っている。電池関連の計測器の需要も増加傾向で、活躍できる機会が増えている」
—大学との連携についての考えは。
「日本全体の経済・産業を伸ばすことに対して、大学も積極度が増していると感じている。大学がやりたいことと、企業がやりたいことが近づいてきた。バイオ・ヘルスケア関連では、付き合いが長い京都府立医科大学と包括連携協定を結び、分光技術と血球検査装置との融合など、競合と差別化できるような技術の開発も出てきた。当社のビジネスにも良い結果が出てくるようにしたい」
