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埼玉県川口市
攻めの自動化・多角化 成長を加速/業界展望
製造業を取り巻く環境は、原材料やエネルギー価格の高騰に加え、深刻な人手不足や建設現場の工事遅延といった複合的な課題に直面し、依然として予断を許さない状況が続いている。一方で半導体製造装置向けの需要回復やデータセンター建設の加速、世界的な省力化投資の拡大といった新たな好機も確実に芽吹いている。各社は最新鋭の複合加工機や協働ロボットを積極的に導入し、生産工程の無人化や24時間稼働の実現を強力に推進している。生成AIの活用による熟練技能の可視化といったデジタル化の進展や海外人材を採用する動きも加速しており、柔軟かつ攻めの経営姿勢が鮮明となっている。さらに航空宇宙や防衛といった成長分野への新規参入、サステナブルな事業展開、戦略的提携による生産ノウハウの共有など、持続可能な成長を見据えた多角化戦略も活発だ。独自の技術力と創意工夫によって次なる成長ステージを目指す5社のトップに、現在の景況感や将来展望を語ってもらった。
小原歯車工業 社長 小原 敏治 氏/放電加工機・協働ロボの自動化ライン導入
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小原歯車工業 社長 小原 敏治 氏
―足元の景況感は。
「売上高は前年比98%と微減にとどまるが、原材料費高騰による価格改定の影響が大きい。実際の仕事量は減少傾向で現場の危機感は強い。数量減を単価上昇で補う状況が続いている。一方、少子高齢化に伴うロボット投資をはじめとする省力化設備への需要は底堅い。当社が供給する歯車もこの自動化の波をいかに捉えられるかが重要だ」
―省力化投資を続けています。
「このほどワイヤ放電加工機『ROBOCUT α―C400iC』と協働ロボット『CRX―10iA/L』を組み合わせた自動化ラインを新規導入した。加工前の部品を専用治具にセットし、ロボットがそれら部品をワイヤ放電加工機に供給し、キー溝などの精密加工を自動で行う。最大200個の部品をまとめてセットでき、連続稼働が可能になった」
―今後の投資計画は。
「約6000万円を投じ、マザック製の複合加工機『INTEGREX J―200NEO』と協働ロボットを組み合わせたシステムを年内に新規導入する。ロボットが加工前の歯車を加工機にセット。さらに加工機内には回転軸の中心を正確に合わせる高精度のタッチセンサーを搭載し、芯出し(軸の中心把握)を自動化する。歯車設置や芯出しなどの段取り作業を無人化し、24時間稼働を実現する」
フジムラ製作所 社長 藤村 智広 氏/切削加工事業に参入、板金と一貫体制
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フジムラ製作所 社長 藤村 智広 氏
―足元の景況感は。
「非常に勢いのある形で上半期を終えた。足元では特に半導体製造装置向けの大型案件が動き始めており、今後の物量はさらに増加していく見通しだ。業界全体では厳しい声も聞かれるが、当社は半導体関連の需要回復を追い風に今期の売上高も当初計画を上振れる着地を見込んでいる」
―1月に参入した切削加工事業の現状は。
「滑り出しは順調だ。4月以降に最新鋭の5軸加工機や複合旋盤を順次導入し、加工の量と精度を一段と引き上げる。板金と切削を融合させた一気通貫の生産体制を強みに、来期にかけてさらなる攻勢をかけていく」
―本社2階にショールームを設けた狙いは。
「来客の多い本社に拠点を設けることで、当社の品質と技術レベルを即座に体感してもらうのが狙いだ。業界では珍しく価格を明示した展示を行い、設計や資材担当者が具体的なコスト感を持って検討できる環境を整える。商談のスピードを速め、新規顧客の獲得を力強くけん引していく」
―今後の投資計画は。
「自動化投資を加速させる。ロボット溶接の高度化や無人搬送車(AGV)の導入で生産効率を向上したい。またSE採用の強化や生成AI(人工知能)の選定も進める。デジタルツールを活用して熟練技能の動画化や共有を行い、若手への技術継承を効率化する」
相沢鉄工所 社長 相沢 邦充 氏/汎用シャー新型機「ADVシリーズ」出荷開始
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相沢鉄工所 社長 相沢 邦充 氏
―業界の景況感は。
「日本鍛圧機械工業会の予測では2026年の受注額は3460億円と微増を見込む。データセンター建設や半導体市場の回復が追い風となり、自動化ニーズも多い。一方で国際情勢などのリスクは引き続き備える必要がある」
―重点分野は。
「昨年のMF―TOKYOで発表した汎用シャーの新型機『ADVシリーズ』の出荷を4月から開始し、普及元年と位置づけて市場浸透を図る。ロボットを活用した自動化ラインなどの高度な受注に全社で対応できる体制も整える。また八戸工業大学と連携してミャンマーから特定技能資格者の2人を岩手工場に採用する計画だ」
―中古機械を再生するリボーン&サステナブル(RaS)事業については。
「『RaS』というネーミングも浸透しつつあり、新製品より安価でメーカー保証がある点や、即納可能という点が評価されている。再生済み在庫機を専用ウェブサイトへ掲載している効果から、引き合い・受注とも大きく伸びている。一方、AI(人工知能)を活用した自動検査装置開発のGo―Tech事業は、3月で最終年度を終え、今後は商品化に向けた取り組みを継続していく」
川金ホールディングス 社長 鈴木 信吉 氏/半導体向け好調、新中計で売上高500億目指す
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川金ホールディングス 社長 鈴木 信吉 氏
―足元の景況感は。
「建設・土木は人手不足や資材高で工事遅延が深刻となっている。受注物件の白紙化もあり、厳しい局面が続く。自社内の人手不足は自動化投資で対応済みだが、顧客側の工事停滞が影を落としている」
―成長をけん引する分野は。
「2024年末から素形材事業の半導体製造装置向け部品の需要が伸長し、現在も高い操業水準を維持している。子会社の特殊メタル(福島県相馬市)を中心に、設備更新・拡張を進め需要に応える」
―日本鋳造との提携の狙いは。
「単なる生産委託ではなく、設計や生産技術のノウハウを持ち寄ることで製品力を高めるのが目的だ。このほど素形材と土木建築の2分野で分科会を立ち上げた。互いのラインに適した製品を割り振るなど、共同生産による効率化も検討していく」
―27年4月始動の次期3カ年中期経営計画の重点方針は。
「次期中計最終年度の売上高で、現状比約25%増の500億円を目指す。防衛や船舶、航空宇宙といった新分野への参入を目指す。土木建築では免震・制振装置のラインアップを拡充していく。モノ売りからメンテナンスを含むエンジニアリング事業への深化を加速させる」
田口型範 社長 田口 脩一郎 氏/金型切削用の高効率MCも今後導入
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田口型範 社長 田口 脩一郎 氏
―今年の景況感は。
「自動車業界向けは更新型の需要はあるが新規はまだ少ない。ただ、世界的なEV(電気自動車)施策の転換でエンジン用金型製作の増加が期待できる」
―その他の分野は。
「半導体製造装置向けについては26年は伸びると予測する。航空機エンジン金型も着実に伸長している。新規のロボット用金型も昨年秋から生産が始まった」
―二本松工場(福島県二本松市)を昨年に拡張して大型の5軸制御マシニングセンターを導入しました。
「さらに昨年末と今年年明けにファナックの小型マシニングセンター『ロボドリル』を2台導入。インペラー(回転翼)の加工に活用している。今後は金型切削用の高効率なマシニングセンターも今後導入する計画だ」
―人材については。
「27年春にインドの男女2人が入社する予定。現在は現地で日本語の研修を受けている段階で、本社で設計を担当する。本人たちも日本で働くことを非常に喜んでいる」
―27年には創業70周年を迎えます。
「挑戦を続けて着実に需要を開拓して成長を継続していく。木型や金型製作というモノづくりを支えるとともに切削から試作鋳物まで幅広く対応できる当社の特徴を全国にアピールしていきたい」
