-
業種・地域から探す
続きの記事
兵庫県播磨地区産業界
兵庫県の播磨地域沿岸部には大手から中堅・中小製造業が集積し、一大工業地帯を形成している。多くの企業が人手不足を課題に抱える中、生産現場の自動化や省人・省力化の推進に加え、働きやすい職場づくりなど独自の取り組みを進めている。
未来を見据え果敢な一歩
姫路市長 清元 秀泰 氏
-
姫路市長 清元 秀泰 氏
本市は臨海部に鉄鋼、化学、電気機械等の大企業が立地する工業都市であり、高い技術力を持つ中小企業も数多く集積する「ものづくりのまち」であるとともに、世界遺産姫路城等の魅力的な観光資源を有し、姫路駅を中心に商業施設が集積する商業都市としても発展してきた。皮革や清酒といった地場産業も、地域経済の活性化やまちの魅力創出に寄与している。都市の利便性と豊かな自然が調和した「とかいなか」の魅力は、多くの方に評価されている。令和6年度には、地域で真に共生可能なグローバル人材を育成するという観点から、産官学の連携のもと「ひめじグローバル人材育成コンソーシアム」を設立し、これからの地域社会の持続的な発展を支える国際的な人材の育成や、多文化共生社会の実現に向けた取組を進めている。8月には、当該コンソーシアムと社団法人アジア太平洋青年協会とで姫路市・台湾間交流強化に関する覚書を締結し今後、文化・教育・経済分野での交流を図っていくことを確認した。人口減少と少子高齢化が従来の想定を遥かに超えるスピードで進み、地域社会の人手不足は一層深刻化している。そこで人材確保に係る取り組みとして、インターンシップなどのマッチング事業、高校や大学での企業説明会、合同就職説明会などの実施により、市内企業と若者とのマッチング機会を創出する。このほかにも多様な人材の活躍を目指し、女性の就労支援やシニアの就職説明会、外国人材の定着・確保に向けた事業等に取り組んでいる。加えて当該コンソーシアムにおいて外国人留学生を高校生の段階から受け入れ、学校や地域での交流を通じて姫路への愛着心を育むことにより、ゆくゆくは市内で就業、定住してもらい、地域を支える担い手になってもらいたいと考えている。また工場用地の不足に対応するため、地域未来投資促進法を活用した規制緩和により工場用地の民間開発を誘導し、工場用地不足の解消と地域活性化を図っているところである。さらに地域経済の発展には中小企業の成長が欠かせないことから、中小企業の販路拡大やデジタル変革(DX)などの活用、労働環境の改善を通した中小企業の生産性の向上への支援、新産業やイノベーションの創出を図る取り組みを支援し、人口減少社会においても発展していける地域を目指していく。
姫路商工会議所 会頭 齋木 俊治郎 氏
-
姫路商工会議所 会頭 齋木 俊治郎 氏
播磨地域でも、予想を上回る人口減少と若年層の流出がみられる。その状況下、産業用地の不足による企業の域外移転や廃業・倒産などによるサプライチェーンの脆弱化を止めていくこと、さらには脱炭素化などの規制強化への対応、大阪・関西万博終了後も持続的に誘客できる体制整備など、多岐にわたる課題が山積している。それらの課題に取り組むに際して、成長は単に経済規模の拡大を目指すのではなくいかに持続可能な形で発展させていくかが重要であると考えている。当所は役員改選にて11月より新体制がスタートした。社会や技術の変化に合わせ事業の改革に挑戦する中小企業・小規模事業者への伴走支援を強化していく。またグリーン・トランスフォーメーション(GX)などの成長分野や循環型地域経済への取り組みにも注力し、スタートアップへの支援、そのアイデアや技術を既存企業とのマッチングを推進することなど、当地産業のイノベーションを支援していく。当地域は世界トップシェアを誇る企業や大手企業のサポーティングインダストリーとして成長してきた産業集積地。そのモノづくり産業基盤を中長期的に強化するため、播磨臨海地域道路の建設促進、カーボンニュートラルポートの取り組みに加え、産業用地の確保も行政と連携して播磨一円に視野を広げて推進する。観光では神戸空港の国際化は好機であり、姫路観光コンベンションビューローや各地商工会議所との連携を深め、誘客機会を捉えていく。さらに女性活躍の場としても観光産業を当地の新たな産業の柱の1つとして育てていく。当所では今期、人材育成委員会と国際化委員会を新たに立ち上げた。地域産業を支える人材育成は急務であり、多様な人材が活躍できる環境整備を進め、後継者問題にも取り組んでいく。直近の米国関税措置に端を発した輸出先の多様化の要望と将来の人口減少に伴う国内需要の低迷への対応として、新たな輸出拡大や海外展開などを進める企業のグローバル展開の支援を強化していく。
姫路信用金庫 理事長 三宅 智章 氏
播磨地域の企業について、足元の景況感は良いと感じている。ただ今後、景況が反転した時には、製造ラインに係るような業務や作業についてはDX化の推進が重要となる一方、営業面や経営面、経理面などの業務の観点では“人手不足”という課題が「本当にAIやDXで補えるのか」という疑問もある。
現状、DX化の取り組みについては国内企業に比べ海外企業の方が進んでいると感じている。国内の中小企業はデジタル化のノウハウを海外企業から学び、取り入れることが必要だ。これまでと変わらぬ意識が、テクノロジーやマネジメントの面で足かせになることもあるだろう。固定概念を無くし柔軟に対応することが欠かせないと思っている。
多くの中小企業は優れた技術力や持続力を有しているが、これらを十分に発揮できていないため認知度が決して高いとはいえない。当金庫の役割は事業性の正確な評価と、経営計画書作成などに向けた丁寧かつ具体的なアドバイス。こうした伴走型支援で中小企業の認知度向上をサポートし、産業振興につなげることである。引き続きこうした産業振興の取り組みを姫路商工会議所や自治体などとも連携して拡充していく考えである。
中小企業が創出する付加価値を正当に評価し、フィードバックすることが信用金庫にとって重要であり、こうした業務を遂行する職員のスキルアップも欠かせない。播磨企業の競争力がどこにあるのか、求められる市場はどこにあるのかなどをしっかりと分析・把握し、その評価に基づいた事業計画や戦略においてお客さまとしっかりお付き合いしていく。
