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兵庫県播磨地区産業界
兵庫県の播磨地域沿岸部には大手から中堅・中小製造業が集積し、一大工業地帯を形成している。多くの企業が人手不足を課題に抱える中、生産現場の自動化や省人・省力化の推進に加え、働きやすい職場づくりなど独自の取り組みを進めている。
播磨の活躍企業の成長戦略①
虹技 社長 山本 幹雄 氏
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虹技 社長 山本 幹雄 氏
主力は鋳物事業である。同事業は4部門に分かれているが、中でもこれまでは連続鋳造鋳鉄棒「デンスバー」部門が業績の柱となっていた。しかし4—5年ほど前から、材料高の価格転嫁や賃上げなどの取り組みを積み重ね、現在は残りの3部門も事業の柱に育っている。特にデンスバーとインゴットケースは高シェアを誇っており、電線地中化共同溝用鉄蓋などの小型鋳物も占有率は高く、これらの事業が好調だ。
プレス金型用鋳物については国内で約500トン、子会社の中国やインドネシアの工場を合わせるとグループ全体で年間55000トンを生産しており、世界トップレベルである。自動車の大型外板部品をプレスする金型用鋳物がメインであるが、特に欧米向けは高硬度や耐摩耗性などを求められる特殊な材質があり、こうした特殊材質に対応できるのが当社の強み。品質や納期の対応も信用を得ているため欧州や欧米向け金型鋳物の引き合いも多く、連結売り上げ約260億円の中で約3分の1を占めている。
今後もモノづくりの理屈や仕組みまできっちり理解できる人材を育成し、事業をさらに拡大・強化していく。
伊東電機 社長 伊東 徹弥 氏
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伊東電機 社長 伊東 徹弥 氏
コロナ禍の下では最高益を残せたものの、その後の半導体不足により一時は売り上げが減少した。しかし最近は、100%とはいえないものの徐々に回復している。
現在、人手不足や人件費高騰が進む中、「究極の静止型MDR式マテハン」をテーマとする当社最高のソリューションを提供できるよう力を入れて取り組んでいる。“柔(柔軟性)・拡(拡張性)・短(短工期)・省(省エネ)”を特長とする、手軽に使えるマテハンシステムの提案を強化していくという狙いである。
顧客の現場でも誰もが扱いやすいマテハンシステムを提供することで、メンテナンス作業の効率アップにもつなげたい。専門知識が無くても対応できる製品開発を行っている。そしてこれに並行して、顧客に簡単メンテナンス方法を体験してもらうための「idMEMSトレーニングルーム」を、当社東山第二工場の常設ショールームに合わせて開設した。当社製のコンベヤモジュール機器のメンテナンス方法を体験し、現場で実践して頂くサポートを行っている。反響は上々だ。
一方、当社社内の人材育成の面では、特に女性の活躍できる職場環境づくりにも取り組んでいる。最近では外部の女性講師を招いた女性従業員特化型の研修を実施しており、ものづくり業務から製品開発業務まで幅広く活躍できる人材育成に取り組んでいる。人材の定着率も高まっている。
KLASS 社長 頃安 雅樹 氏
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KLASS 社長 頃安 雅樹 氏
畳製造や壁紙施工における自動化や省人・省力化を実現する技術を軸に事業を拡大してきた。現在は、そのコア技術を多様な分野へ展開し、幅広い顧客ニーズに応えている。
「自動壁紙糊付機」などを中心に手がけるインテリア事業部門が売り上げ全体の3分の2を占めるが、同事業部門ではこれまでの市場に加え新たにホームセンター市場と、ビルなどの防水工事関連、建機レンタル分野に向けた機器・設備の販売拡大にも力を注ぐ。
その他、産業機器事業部門では、コア技術を活用した二次電池をはじめとするハイテク分野における機器・設備の開発・製造も重視。顧客ごとの要望に応じてきめ細かく対応することにより差別化を図っていく。
一方、こうしたハード面の事業強化だけでなく、これまでに構築した顧客ネットワークを活用したシステム開発や、業務管理システムのクラウド提供サービスなどソフト面での事業も強化する。ハード面とソフト面を総合的に推進することで、製造業を核としながらサービス業の要素も強く取り入れた“2・4次産業型企業”として中長期的な企業価値向上を目指す考えだ。
KAJIWARA 社長 梶原 敏樹 氏
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KAJIWARA 社長 梶原 敏樹 氏
集塵機についてはGX(グリーントランスフォーメーション)の進展を背景に、大手企業の電炉向けが好調。脱臭装置についても2027年度の出荷案件を複数抱えており堅調だ。SDGsの取り組みが広がり、各企業で環境負荷低減の意識が以前にも増して高まっている要因もある。
現在力を注いでいるのは、環境に優しい新たな発電システムの提供である。低レベル熱エネルギーによる最先端のORC発電技術を有するイタリア・ズッカート社を本年6月にM&A(合併・買収)し、海外子会社を設立した。同社の人と技術を吸収し、グローバル展開で販路拡大を図る方針だ。
一方、特に最近では、人手不足の課題に向けた社内体制の変革にも力を入れている。基幹システムの入れ替えによるデジタル技術の活用で、製造現場や事務作業の自動化や省人・省力化など効率化を進めている。また、企業イメージのさらなる向上を図り、23年に新本社事務所および工場を稼働。創業110年の24年には現在の社名へ変更した。「二度目の創業」を目指していく。
タテホ化学工業 社長 小谷 登志一 氏
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タテホ化学工業 社長 小谷 登志一 氏
にがり由来の方向性電磁鋼板用酸化マグネシウム(MgO)は、世界トップレベルの品質を誇る。世界的な電力需要の増加に伴ってインフラ整備が進む中、各国において方向性電磁鋼板の生産体制が強化されている。この需要を確実にとりこむべく、合理化とグリーン・トランスフォーメーション(GX)の両面で国内各工場の生産体制再編を検討中だ。原料から手がけているセラミックス事業も業容を拡大。2024年12月にイタリアのセラミックス計2社を買収し、今後の成長を牽引する中核事業としての存在感が向上した。この2社と日本、米国拠点とのシナジーによる拡販戦略を立案しており、着実に実行したい。これら既存事業の拡充のほか、成長事業として開発品の発売や新規事業の展開にも期待する。グループ間の連携強化はもちろん、大学や研究機関との共同研究、国内外の企業との協業検討も進めている。30年に向け、複数の商材が中核事業に成長することを望む。25年6月に栗栖裕文前社長からバトンを受け、新たな執行体制が発足。初めて女性執行役員を登用したほか、イタリアに50歳を超えるベテラン社員2名を派遣した。今後は人材育成に力を入れる。変化を前向きにとらえながら、自らもその変化と成長に主体的に取り組む文化を醸成できるような人材を一人でも多く育てたい。
