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兵庫県播磨地区産業界
兵庫県の播磨地域にはモノづくりやエネルギー関連、地場産業など多様な企業が集積し、独自の技術とアイデアを生かした取り組みで、変化の早い時代のニーズに対応する。人手不足が叫ばれる中、SDGsの活動を進めることで、あらゆる課題解決に挑んでいる。播磨地域の企業の取り組みを紹介する。
「播磨」活躍企業の成長戦略③
城洋社長 角田 城治 氏
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城洋社長 角田 城治 氏
事業環境は、中国経済の減速などの影響もあり、製造業は各業界で浮き沈みがある状況だ。ただ当社が手がける射出成形機用のHIP(熱間等方圧加圧法)シリンダーなどの主力製品の需要は必ず戻ってくる。シリンダーの研究開発に注力することで、今後に向けた準備を進めている。
当社グループとしては、城洋商事を中心に取り組むエネルギー関連事業が好調で、2023年開始の系統用蓄電池ビジネスが事業をけん引している。太陽光や風力など天候で発電量が左右される再生可能エネルギーの需給調整に蓄電池を用いれば、日中などのニーズの少ない時間に発電した余剰電力を有効に活用できる。当社は蓄電所建設の土地手配から、設備の設置、市場での電力売買といった運用までを手がける体制とノウハウを強みとする。当社の第1号案件が12月に稼働する。
脱炭素社会の推進や電力の安定供給体制の実現に向けて、昨年から国が蓄電池の普及を重要施策として位置づけている。当社は10年以上前から再エネ発電システムを手がけてきた先駆者であり、培ってきたノウハウや実績を生かした蓄電池事業に注力していく。再エネ発電の普及を先導し、地元や社会に貢献していきたい。
オーエス産業社長 山田 重樹 氏
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オーエス産業社長 山田 重樹 氏
当社は製造工場などで使われる中型・大型クレーンや搬送装置を手がけている。開発・製造からアフターサービスまでを一貫して対応できる体制を強みとしている。
2024年は社会情勢の影響で中国や北米経済が伸び悩んだこともあり、9月ごろには受注が減少傾向にあったが、総じて売り上げは順調に推移した。25年には航空産業の需要回復や高度経済成長期に納入した製品の更新需要が見込める。さらには、大きな案件を獲得しており、しっかりとした生産体制で挑んでいきたい。
現在、メンテナンス事業では、人材採用を積極的に行うなど、組織体制の強化に力を入れている。人材が充実してきたことで、大型の補修案件の獲得にもつながった。今後は、人材一人ひとりの育成に注力する。大型クレーンのメンテナンス需要は増加傾向にあり、ニーズに応える体制づくりを進めていく。
また長年課題としてきた生産部門の技術継承や品質向上、生産の効率化にも取り組んでいる。クレーンガーターの溶接工程の工数削減を目指し、新たな治具作成や作業の標準化などのさまざまな工夫を進めている。来年にかけて、考案したアイデアを実証しながら、作業や現場環境の改善を実現していきたい。
アトリエケー社長 北浦 基広 氏
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アトリエケー社長 北浦 基広 氏
動力を必要としないバネ構造を用いたアシストスーツを手がける。使用される各現場のニーズに対応し、機能や価格面で多様な製品を展開する。
製造業を中心にアシストスーツを導入する企業が増えてきた中、市場では価格競争が激しくなっている。顧客ニーズも多様化してきた。そんな中、2024年は製造業向けの販路拡大に注力したことで、昨年と比べて売り上げを20%ほど伸ばした。さらに積極的な展示会への出展を通して、食品や医療介護分野からの引き合いも増やしている。
猛暑対策はアシストスーツ市場においても重要なテーマとなっている。そこで、軽量で低価格のアシストベストにペルチェ素子を使ったモジュールを装備した「タスケル WI」を開発した。ボタン一つで温冷切り替えが可能で、市販のモバイルバッテリー接続で約8時間稼働する。モジュールはベストに挟んで取り付ける方式であることから、モジュールを首下や腰などの好みの位置に移動して当てられる。空調服との重ね着もできる。
今後もアシストスーツのノウハウと猛暑対策などの時代ニーズを組み合わせた製品開発で事業成長につなげていく。