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福島県産業界、新たな産業基盤構築へ加速
再生可能エネルギー 先駆けの地へ
福島県 地域と共生、関連産業を育成
福島県は2040年度頃に県内エネルギー需要の100%相当のエネルギーを再生可能エネルギーから生み出す目標を掲げる。原子力に依存しない安全・安心で持続的に発展可能な社会づくりという復興理念の下、地域との共生を図りながら、関連産業の育成・強化と一体で推進する。着実に再エネの導入実績が積み上がる中、県はさらなる導入拡大と関連産業集積、持続可能なエネルギー社会の構築、水素社会実現の四つの柱を軸に展開していく。
導入支援 地産地消促す
県は21年に策定した「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン2021」に基づき、再生可能エネルギーの拡大や関連産業の集積に向けて取り組んできた。現在は25年度から27年度までを計画期間とする「再生可能エネルギー先駆けの地アクションプラン(第5期)」のもと、施策のさらなる深化を図り、地域と共生した持続可能なエネルギー社会の構築を推進している。
再エネ導入量は直近の24年度で453万キロワット。太陽光発電(PV)が最多の367万キロワットで、バイオマス発電が49万キロワット、風力発電が31万キロワット、地熱発電が3万キロワット、小水力発電が2万キロワットと続く。県内エネルギー需要と比べた再エネ導入量の割合は24年度が59・7%で、27年度に66%、30年度に70%を目標とする。
キーワードの一つが地産地消だ。県では福島県再生可能エネルギー推進センター(福島市)を通じ、自家消費型の住宅用太陽光発電設備を導入する個人に対して導入費用の一部を補助する。また、市町村や事業者などが地域分散型電源を導入する際の導入費用の支援を行う。
ペロブス電池・風力 サプライチェーンを調査
ペロブスカイト太陽電池の普及にも取り組む。県は24年度に、トレーニング施設「Jヴィレッジ」(福島県楢葉町)、あづま総合運動公園(福島市)、県立博物館(同会津若松市)の3カ所にペロブスカイト太陽電池を設置した。ペロブスカイト太陽電池は薄くて軽く、折り曲げることができ、従来のパネル状のシリコン型太陽電池では困難だった建物の壁面や曲面に設置できる。ペロブスカイト太陽電池によるオンサイトPPA(電力販売契約)などの事業化の可能性についての調査も実施する。
風力発電では、阿武隈山地・沿岸部における再エネ発電設備の導入や送電線の整備も継続して支援する。
再生可能エネルギー関連産業の育成・集積に向け、風力発電やペロブスカイト太陽電池といった再エネ設備の部品構成やサプライチェーンについての調査を行う。国内外の産業構造や県内企業の参入機会の可視化につなげる狙いがある。
新事業創出の活動 促進
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福島県郡山市で昨年開いた展示会「第14回ふくしま再生可能エネルギー産業フェア(REIFふくしま2025)」
また、「ふくしまエネルギー・環境・リサイクル関連産業研究会」の活動を通じ、産学官ネットワークの構築、新規参入、事業化、販路拡大を専門のコーディネート機関が一体的・総合的に支援。産学官や動静脈産業の連携による新規事業創出に向けた活動を促進する。
10月15、16日にはビッグパレットふくしま(福島県郡山市)で再生可能エネルギーの展示会「第15回ふくしま再生可能エネルギー産業フェア(REIFふくしま2026)」を開く。
水素社会の実現に向けては、福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R、福島県浪江町)をはじめとした拠点を核に進める。福島県産水素の利活用に向け、水素の運搬トレーラーなどの水素運搬機器や水素使用設備の導入費用の一部を補助。水素を「はこぶ」「つかう」取り組みを支援している。
東洋システム/車載電池の劣化度 30秒で診断
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二次電池の充放電評価で培ってきた技術力が強み
東洋システム(福島県いわき市、庄司秀樹社長)は、二次電池の充放電評価装置の設計・製造・販売や受託評価を手がける。同社が展開するバッテリー残存性能診断システム「BLDS」は、約30秒で中古電気自動車(EV)などの車載電池の劣化度を正確に診断可能。庄司社長は「電池の価値を可視化することで、中古EVの適正な流通やバッテリーの再利用促進につなげたい」と話し、再生可能エネルギーを基盤とした脱炭素社会へ貢献していく考えだ。
持続的な成長に向け、人材の採用・育成にも注力。文系出身でも数学が得意など素質のある人材を見いだして教育する。また、庄司社長が会長を務めるいわきカーボンニュートラル(CN)人財育成コンソーシアム(同市)では、福島工業高等専門学校や市内企業などと連携した「いわきCN社会連携共同講座」を2022年から毎年開催している。
いわき、そして福島で事業を継続する意義について庄司社長は「社員も含め地元への愛着は強い。かつては常磐炭鉱として栄え、エネルギーとともに歩んできた地域だからこそ、震災の経験に負けず、自分たちの手でふるさとを守っていく」と強調する。
エネルギー・エージェンシーふくしま/企業の新規参入・事業化支援
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昨年の再生可能エネルギーの展示会「第14回ふくしま再生可能エネルギー産業フェア(REIFふくしま2025)」でビジネスマッチングイベントを開いた
エネルギー・エージェンシーふくしま(EAF、福島県郡山市、坂西欣也代表)は、再生可能エネルギー関連産業の育成・集積に向け、企業の新規参入から事業化、海外展開まで一体的に支援している。EAFが事務局を務める福島県再生可能エネルギー関連産業推進研究会の会員数は2026年4月末時点で1140となり、12年の発足時から3倍超に増加した。
同研究会には太陽光、風力、バイオマスなど六つの分科会があり、セミナーや先進事例の見学会などを開催。さらに新技術・新製品の開発などを目指すワーキンググループ(WG)の立ち上げを促し、専門コーディネーターの派遣やビジネスマッチングで事業化を後押しする。17年以降で15のWGが発足し、うち10件が事業化を達成した。
4月に同研究会の新会長に就任した北芝電機(福島市)の安藤秀泰社長は「大学や研究機関の成果・技術力をいかに産業に近づけるかが重要だ」と指摘。「産業に直結させることで、中小企業も含めて新たな技術や製品が生まれる可能性が広がる。地元の学生の県内就職、雇用創出という好循環を生み出していきたい」と未来を見据える。
新協地水/地中熱利用システムに知見
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地中熱を利用したヒートポンプで空調設備を運用する
新協地水(福島県郡山市、青木雄太郎社長)は、地質調査やさく井工事、鋼管杭の施工、そして地中熱や地下水利用に関する事業を展開する。東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、再生可能エネルギーが注目される中、長年培った知見を生かしてZEBプランナーとして地中熱利用システムの導入提案を行っている。
2020年に完成した研究開発施設を兼ねた本社社屋は、年間の1次エネルギーの収支をゼロ以下にするネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)設計を採用。木造2階建て、延べ419平方メートルで、地中熱を利用したヒートポンプで空調設備を運用することで高い省エネ効果を実現し、同時に太陽光発電(PV)で使用エネルギーをつくり出す。23年度に年間の1次エネルギー消費の削減量が102%となり、ZEBを達成した。東北地方で民間初の完全ZEB化した社屋となった。
同社屋は建物の見学も受け入れており、これまでに全国から約160組、800人超が訪れた。佐藤正基会長は「技術の研鑽(けんさん)を続け、再エネを通じて福島の復興に努める」と前を向く。
