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福島県産業界、新たな産業基盤構築へ加速
新産業の育成に重点
東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故から15年という節目を迎えた福島県。国と連携した産業基盤の整備が進む中、地域の未来を担うモノづくり企業が力強い歩みを進めている。今回の「福島県産業界特集」では、内堀雅雄知事によるメッセージ、4月に開催した福島産業人クラブの経済講演会の内容、次代を切り拓く福島県内企業の動向、導入が進む再生可能エネルギーの取り組みを紹介する。
医工連携、臨床ニーズ対応
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若手医師のトレーニングを通じ、医療機器開発・改良のニーズを発掘する
福島県は2026年度予算で医療関連や航空宇宙といった成長産業の育成に力を入れる。医療機器分野では特に臨床ニーズの発掘や地産地消を後押しする。震災・原発事故で失われた地域の産業回復に向け、新たな産業基盤の構築を目指す「福島イノベーション・コースト構想」を一段と加速させる構えだ。
医療機器の医工連携に向けて医師のトレーニングを支援する。多忙な医療現場では臨床ニーズを考える余裕がなく、県内のモノづくり企業が高い技術力を持つ一方で、ニーズ収集が難しい課題があった。
医師トレーニングに着目/航空宇宙 支援策を拡充
そこで県は若手医師のトレーニングに着目。模擬手術室などを備えるふくしま医療機器開発支援センター(福島県郡山市)を活用し、医師や医学関連の学会などがトレーニングを行う際の費用を一部補助する。医療機器の課題が表面化するトレーニングの現場から、開発・改良のニーズを企業が効率よく収集できるようにする狙いがある。次世代産業課の担当者は「医師や企業にセンターを利用してもらい、ニーズの発掘につながれば」と期待する。
また、県内企業が開発・製造した医療関連機器を一覧掲載するウェブサイトを開設し、掲載製品を県内の医療機関などが導入する際の費用も一部補助する。県産医療関連製品の普及拡大や地産地消につなげる。10月1、2日にはビッグパレットふくしま(福島県郡山市)で医療機器設計・製造展示会「メディカルクリエーションふくしま2026」も開く。
このほか、「創薬関連企業の集積とコミュニティ化基盤整備事業」では、沿岸部の浜通り地域に進出した創薬関連ベンチャー企業などに横のつながりを持たせ、情報共有や人材育成を支援することでさらなる集積の促進を図る。
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福島県郡山市で昨年開いた展示会「ロボット・航空宇宙フェスタふくしま2025」
航空宇宙分野では「航空宇宙関連産業基盤強化事業費補助金」を新設。試作品や要素技術の開発、設備導入などを行う県内企業を対象に経費の一部を補助する。次世代産業課の担当者は「県ではフェーズに応じたきめ細かな支援メニューを用意している。ぜひ積極的に活用していただきたい」とし、成長が見込まれる同産業への参入を継続支援していく考えだ。11月27、28日には郡山市のビッグパレットふくしまで展示会「ロボット・航空宇宙フェスタふくしま2026」を開く。今回は「第5回ドローンサミット」も同時開催する。
県産品の国内販路のさらなる拡大にも取り組む。情報発信拠点の機能強化に向け、福島県のアンテナショップ「県観光物産館」と「日本橋ふくしま館ミデッテ」において、自分好みの日本酒を提案してくれるAI(人工知能)診断システムを導入し、これと連動した試飲機を設置する。運用開始は10月を予定している。
さらに、AIが診断したおすすめの日本酒に合う食品や酒器をはじめとする工芸品なども併せて提案する。福島県産酒を気軽に試飲できる環境を整備するとともに、日本酒をフックとした県産品の認知度向上や消費拡大につなげる。AI診断システムや試飲機を通じて収集したデータは、ウェブサイトやSNSのコンテンツ、ECサイトの運営に活用することで、デジタルプロモーションの強化を図る。
長引く物価高や人手不足など厳しい経営環境が続く中で、県内中小企業の稼ぐ力の強化も支援する。賃上げ対策として、生産性向上に向けた専門家派遣や、省力化・効率化につながる機器・設備・ITツールなどの導入経費の一部を補助するほか、「『稼ぐ力』UPセミナー」も11月に開催を予定する。また、販路拡大支援では、福島県産業振興センターを通じて県内中小企業が国内外の展示会への出展や商談を行う際の経費を一部補助するほか、首都圏での発注企業の開拓なども後押しする。賃上げ対策と販路拡大支援を両輪として県内経済の好循環の実現につなげる。
県は新産業の育成と既存企業の基盤強化に向けた施策を展開することで、震災からの産業復興を確かなものにし、県内経済の持続的な成長を目指していく。
【メッセージ】福島県知事 内堀 雅雄 氏
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福島県知事 内堀 雅雄 氏
復興、連携・共創の輪広げ全力で挑戦
東日本大震災と原発事故から15年余りが経過する中、国内外からの温かい御支援と県民の皆さんの懸命な御努力により、福島の復興は着実に前進しています。
一方で、今もなお多くの方々が避難生活を続けておられるほか、避難地域の復興・再生を始め、廃炉と汚染水・処理水対策、根強い風評や時間の経過とともに進む記憶の風化、さらには、急速に進む人口減少への対応など、福島県はいまだ多くの困難な課題を抱えています。
成長産業の集積と育成を推進
このような中、本県では、甚大な被害に見舞われた浜通り地域等の産業基盤を再構築し、世界に誇れる復興と地方創生を実現するため、国家プロジェクトである「福島イノベーション・コースト構想」を推進しています。この構想では、創造的復興の中核拠点を目指す福島国際研究教育機構(F—REI)と緊密に連携し、廃炉、ロボット・ドローン、エネルギー・環境・リサイクル、農林水産業、医療関連、航空宇宙の重点6分野において、産業集積や人材育成、交流人口の拡大など、幅広い取り組みを進めています。
さらに、国が進める地域未来戦略を踏まえ、「ふくしま地域産業成長プラン」を策定し、本県が強みとする医療機器、航空宇宙、ロボット・ドローン、エネルギー・環境・リサイクル、輸送用機械の5分野において、中小企業の技術力向上や新たな製品開発、産業人材の育成などを支援し、さらなる成長産業の集積と育成を進めていきます。
また、豊かな農産物や日本酒を始めとした県産品、温泉地など、本県が誇る地域資源のブランド力向上や販路拡大にも力を注ぎ、地場産業の国内外への情報発信を強化します。
こうした取り組みと併せて重要となるのが、産業人材の確保・定着です。福島県には、最先端の技術開発に挑戦する企業や、高い技術力を持つ企業など、地域に根差して成長を続ける魅力的な企業が数多くあります。その魅力を県内外へ広く発信するとともに、若者や女性を始めとした多くの方々に「福島で働きたい」「福島で暮らし続けたい」と思っていただける環境づくりを進めるため、現在、「『感働!ふくしま』プロジェクト」を展開しています。仕事のやりがいや実際に働く方々の姿を発信しながら、学生や若い世代と県内企業との接点を広げ、福島で働くことへの共感と誇りを育み、県内への定着・還流につなげていきます。
一方、長引く物価高や人手不足など、地域経済を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、本県の産業が持続的に発展していくためには、企業の「稼ぐ力」を高め、変化を成長の機会へと変えていくことが重要です。このため、適正な価格転嫁を促進することで、売上げの向上や働く方々の賃金アップにつなげ、さらなる経済成長の好循環が創出されるよう取り組みを進めていきます。そして、挑戦が新たな価値を生み、地域全体の活力につながる、競争力の高い産業構造の確立を図っていきます。
今年は福島県が誕生してから150年という大きな節目の年に当たります。先人たちが積み重ねてきた挑戦と誇りを継承し、新たな「ふくしまプライド。」を築き上げながら、福島ならではの魅力ある産業づくりを推し進めていくためにも、引き続き、県民の皆さん、そして福島を応援してくださる全ての方々と連携・共創の輪を広げながら、全力で挑戦を続けていきます。
