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福島県産業界、新たな産業基盤構築へ加速
次代を切り拓く福島県内企業
日東紡/ガラスクロス新工場棟を建設
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スペシャルガラスの一つであるTガラスクロス
日東紡は電子材料やメディカルなど5事業を展開する。主力となる電子材料事業では、電子材料用途のガラスヤーンとクロスを開発・製造・販売し、特に低誘電・低熱膨張といった特性を持つ独自組成のスペシャルガラスは高い評価とシェアを誇る。
現在は、近年のAI(人工知能)サーバー市場の盛り上がりに伴うスペシャルガラスへの旺盛な需要に対応するため、生産能力の拡充に注力。150億円を投じて福島市内でガラスクロスを製造する新工場棟の建設を進めており、2027年1―3月の稼働開始を目指している。これにより100人規模の雇用創出を見込んでおり、地域の重要課題である人口流出の防止にも貢献していく考えだ。
また、23年に設立した新規事業創出センターでは、ヒトとコンパニオンアニマル双方の健康課題に着目。オープンイノベーションを通じ、スマートフォンを活用して自宅から猫の腎臓・膀胱(ぼうこう)の健康度をセルフチェックできる製品・サービスを販売するなど、既存の電子材料やメディカルの枠を超えた新たな挑戦も加速させている。
北日本金型工業/クリーンルーム成形工場建設
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北日本金型工業の現在の成形工場
北日本金型工業(福島県会津若松市、小椋庄太社長)は、本社敷地内に樹脂成形工場として2棟目の「クリーンルーム成形工場」を現在建設中。12月の完成予定で需要の高いディスポーザブル(使い捨て)の医療・衛生用品や光学部品、半導体関連部品といった高付加価値品の成形・組立工場として機能する。
国内の金型メーカーが減少する中、同社の大きな特徴は一つの拠点で樹脂製品の金型と成形の両方に対応できること。「問題解決につなげやすいことから顧客の技術者に喜ばれている」と小椋社長は言う。
拠点が1カ所にあるだけでなく、金型と成形それぞれの事業部間の連携強化も進める。金型の設計担当者が成形品の試作・量産立ち上げまで行い、成形担当者も社内ユーザーとして改善点を金型部門にフィードバックする。
さらに品質・生産管理部門などの社員も各種キャリア検定のほか、成形の国家技能検定を受験するなどスキルシェア、ナレッジシェアにも力を入れる。「社名に金型工業とあるが、金型のための型作りはしない。環境やニーズの変化に素早く対応し、樹脂部品のトータルメーカーの意識でモノを作っていく」と小椋社長は力を込める。
加藤鉄工/省資源重視のモノづくり貫く
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加藤鉄工が展開する水処理関連機器
加藤鉄工(福島市、加藤孝之社長)は、省力化機械や水処理関連機器をはじめとした産業機械の開発・設計・製造・販売を一貫して手がける。
下水処理や一般産業排水処理で目詰まりを起こさず浮遊固形物を除去できる流水除塵機「加藤式自動バースクリーン」が主力。1971年に商品化し、自治体の下水処理場や食品加工工場、製紙工場、皇居のお堀など幅広い採用実績を持つ。
同社はこれまで省資源を重視したモノづくりを展開してきたが、今後もこの姿勢を貫き、環境保全へのさらなる貢献を目指す構えだ。昨今はエネルギー価格の高騰などによる製造コストの上昇が課題となっているが、「まずは主力の鉄工事業で安定した生産体制と確かな品質を提供できる土台を着実に固めていく」と加藤社長は方針を示す。
社員が自ら手を動かして作り上げた製品が、十数年後の更新期までノントラブルで稼働し、社会インフラを支え続けるケースも多い。加藤社長は「良い製品が確かなパフォーマンスで恩返しをしてくれる」と語り、今後も顧客との信頼関係やモノづくりの冥利(みょうり)を大切にしていく考えだ。
マコト精機/冷間ロール成形 一貫体制で対応
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新設した木造2階建ての統合事務所と古川信吾社長
マコト精機(福島県会津若松市、古川信吾社長)は、金属のコイル材や切り板に対して連続的に曲げ加工を行い、シャッターやロッカー、ガードレールのような金属製品を製造する冷間ロール成形ラインの国内トップメーカー。2026年で創業60年を迎え、顧客の業種も建材から電気器具、自動車部品、農業設備、スチール家具と幅広い。
特に同社の場合、回転工具のロールから金型、機械装置、電気制御まで一貫体制で対応できるのが強み。「ロールは作り込みが必要で経験がものをいう。それが高い加工精度とサイクルタイムの速さにつながっている」と古川社長は話す。
5月には老朽化していた事務棟の「統合事務所」を新設した。1階にオフィス、2階には食堂・休憩スペースが入り、延べ床面積1167平方メートル。実は木造で、建築物の環境性能評価制度であるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の段階的認証の一つZEB Readyの認定を受けた。外壁や骨材、天井材、水回りにも冷間ロール成形の顧客の製品をふんだんに取り入れ、地球環境と働く社員および顧客との共存共栄を体現した建物となっている。
FAシンカテクノロジー/独自技術磨き市場拡大目指す
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最大基板サイズ330×250ミリメートルで売れ筋機種の「FXM―1Z」と桑嶋希社長
FAシンカテクノロジー(福島市、桑嶋希社長)は、自動ハンダ付け装置・実装関連設備の設計、製造、販売を手がける。主力製品「スマートディップシリーズ」は、独自技術により高品質なハンダ付けと低ランニングコストを両立している。
挿入実装のハンダ付け工程では、ハンダをインペラなどで噴流させる噴流槽が一般的。一方、同社はハンダを噴流させない静止槽に、独自技術の攪拌(かくはん)機構と特許技術のプリント基板の水平だし機構を搭載した装置を開発した。攪拌機構によりハンダ付け品質を向上させるとともに、清掃やメンテナンスの負担を軽減。さらに、水平だし機構により品質のばらつきを抑制できる。
噴流槽では、ハンダと空気の接触面積が大きく酸化物が発生しやすいが、同社の工法は「酸化物の発生量を噴流槽の約5分の1に抑えられ、無駄になるハンダを大幅に削減できる」(桑嶋社長)という。
累計納入実績は国内外で150台以上。主要顧客は車載関連メーカーだが、近年は基板の大型化を背景に通信やインフラ関連メーカーにも需要が広がる。「さらに技術を磨き、客層を広げていきたい」と桑嶋社長は市場拡大に意欲を示す。
金子製作所/広野町に新工場建設 28年完成
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本社敷地内にある「カロネコカフェ」の1階スペース
金子製作所(さいたま市岩槻区、金子晴房社長)は、医療機器や航空機向けの精密切削加工を強みとする。内視鏡部品の加工は50年以上、エンジン部品などを製造する航空宇宙関連も40年以上の実績がある。11月にドイツで開かれる医療機器の加工技術・部品材料展「COMPAMED2026」への出展も予定している。
福島県内では2011年にいわき工場を開設。さらに広野町の「広野駅東側産業団地」に医療機器部品の新工場を建設する計画で、4月には同町と連携協力に関する基本協定書を締結した。新工場は28年の完成を見込む。金子社長は「地元の方々の心を汲み、この会社が来てくれて良かったと思われる工場にしたい」と話す。
同社は多様な人材が活躍できる環境整備にも注力しており、18年には本社敷地内にカフェスペースや食堂を備えた「カロネコカフェ」を設けた。金子裕美子取締役常務は「広野町の新工場も景観に配慮した綺麗なデザインにし、女性や若い人が働きたいと思える職場にすることで、地域の雇用創出や採用につなげたい」と展望を語る。
