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運搬・荷役関連機器(2024年1月)
あらゆる産業で人手不足が問題となっている。特に工場や物流現場では、運搬・荷役作業を助ける機器の重要性はますます大きくなっている。各種クレーンや運搬車、台車、コンベヤー、リフトほかさまざまな機器が迅速で効率的な作業を支えている。こうした機器には使いやすさのほか、安全や環境負荷への配慮も重要になっている。
クレーン、リフトが活躍
重量物の運搬で活躍するクレーンは、構造や用途によっていくつかの種類に分類される。
工場でなじみのある天井クレーンは、建屋の両側の壁に沿って設けられたランウェイ(走行軌道)上を走行する。主に工場内での重量物運搬などで利用されている。また、屋外に設けられたものでも、同じ構造、形状であれば天井クレーンと呼ばれる。このほか、ジブクレーンや橋形クレーンなども活躍している。
天井クレーンで最も一般的なのはクラブトロリ式。巻き上げ装置と横行装置を備えたトロリが荷をつり、トロリを支持する構造物であるクレーンガーダ上を移動するものだ。トロリに運転室を設けたものをマントロリ、マントロリが旋回するものが旋回マントロリだ。天井クレーンはクラブトロリ式のほかにもホイスト式や、製鉄製鋼で使用される特殊な構造の製鋼用天井クレーンなどがあり、工場や生産現場の作業効率工場に貢献している。
天井クレーンの次によく利用されるのが、ジブを持つジブクレーンだ。ジブは、つり具に必要な作業半径または高さを確保するクレーンの構成部品のことで、斜めや水平に突き出した腕の部分を指す。建設現場や埠頭(ふとう)での荷役作業、造船所での艤装(ぎそう)など、それぞれの用途に合わせた多様な形状、種類のジブクレーンが活躍している。
橋形クレーンは、天井クレーンのクレーンガーダの両端に脚を設け、地上または床上の走行レール上を走行するようにしたもの。ほとんどが屋外に設置される。コンテナ専用つり具のスプレッダを備えたものはコンテナクレーンとも呼ばれ、埠頭などでのコンテナ荷役作業で使われる。操縦室は高所に設置され、操縦者は足元の窓から荷物の位置を確認。スプレッダを荷物にむかって降ろし、固定して運搬する。
これら以外のクレーンは、アンローダ、ケーブルクレーン、テルハ、スタッカークレーンなどに分類される。このほか、移動式クレーンやデリックなどがモノづくりや物流の現場を支えてきた。
さまざまな現場で広く利用されるクレーンは安全対策の必要性が高く、安全性・操作性向上などの配慮がなされてきた。労働災害ゼロを目指し日本クレーン協会とボイラ・クレーン安全協会で、毎年9月30日を「クレーンの日」として啓発活動をするなど、クレーン関係者は安全対策に知恵を絞っている。
作業効率化に貢献
フォークリフトや台車、ハンドリフトも作業現場の効率アップに貢献する機器だ。小回りがきき、狭い場所にも入り込めるものや、だれでも簡単に重量物を運搬できるものなど多様なニーズに応える製品が開発され、省力化や省人化に役立っている。
例えば一斗缶や業務用の大袋に入った原料を機械などに運搬し、投入する機器などが製品化されている。また、ロールの搬送、反転、昇降が可能で、機械への装着も容易にできるリフトなども開発、販売されている。こうした機器は人手不足に悩む現場で、安全・安心な作業環境の実現にも大きな役割を果たしている。