-
業種・地域から探す
フォークリフト(2023年8月)
物流施設や工場での積み替え・搬送の中核を担うフォークリフトはさまざまなサイズのモデルが活躍している。現場環境のクリーン化や、事業活動のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)への取り組みなどから、中・小型機種を中心に電動モデルへの置き換えが進んでいる。これまでの電動モデルには過酷・劣悪だった屋外現場にも対応する機種を投入するメーカーもあり、電動化シフトに拍車がかかる。
中型機種も電動化進展/リチウム電池モデル脚光
-
-
屋外使用を前提とした中型クラスでも電動化が進む(コマツ)
日本産業車両協会のまとめによると2022年、フォークリフトの国内販売と輸出の合計台数は12万6850台で、バッテリー式の割合は53%を占める。同協会の資料から荷役能力ごとに動力構成を算出すると、1トン未満はバッテリー式97%、ガソリン式3%、ディーゼル式0%。1―1・5トンではそれぞれ81%、12%、7%。2―2・5トンでは41%、26%、33%。3―4トンでは15%、21%、64%。5トン以上では0%、2%、98%となっている。中・小型機種でのバッテリー式へのシフトが進んでおり、1トン未満では“ほぼ”、1・5トンでも圧倒的にバッテリー式が占める。2・5トンクラスでも4割以上がバッテリー式だ。
工場や倉庫の建屋内で作業することが多い場合は、排ガスが出ず、音も静かなバッテリー式が好まれる。また、構内での使用なので充電設備への不安がなく、充電時間も例えば終業後の夜間に充電すれば問題ない。電動化へのシフトは、中型クラス以上の大きな機種でも進み始めている。
コマツはバッテリーのメンテナンス容易化、急速補充電技術、長時間稼働、高い走行性能、屋外使用を前提とした防水・防塵性能などを実現したバッテリー式2・5トン/3トンモデルを投入し、ユーザーから高い評価を得ている。これまで電動フォークリフトに不安を感じて採用を見送っていた、過酷な環境の作業現場のある産業分野などでの導入が進んでいる。
さらに、昨年末にはリチウムイオンバッテリー(LiB)搭載モデルを発売し、いっそうの長時間稼働を可能にした。負荷が高く、長い充電時間を確保しにくいユーザーの採用が増えている。バッテリー式フォークリフトの適用分野を拡大するモデルとして、注目される。
安全意識向上を
フォークリフトは物流施設や工場での荷役作業、受け入れ・出荷に欠かせない。重量物を持ち上げる荷役能力、自由に移動できる機動性が持ち味の産業車両だ。だがそれは、車体と貨物を合わせた重量物が人のそばで動いているということでもある。一瞬の不注意、誤った使い方が大きな事故につながってしまうことを忘れてはならない。
残念ながら22年にはフォークリフトが関係する労働災害で2092人の死傷者が発生している。「はさまれ・巻き込まれ」「墜落・転落」などの事故が毎年多数起きている。運転操作ミスや安全確認不足などに起因する事故とともに、人の昇降やけん引など禁止事項である「用途外使用」による事故が後を絶たず、ユーザーにはよりいっそうの安全意識向上が求められる。フォークリフトと人の通路を分ける車歩分離や、運行マップ作製といったルールとその徹底など、安全性の高い運用環境整備が重要だ。
INNOVATION EXPO/物流展 9月開催
「国際物流総合展2023 第3回 INNOVATION EXPO」が今年9月13―15日の3日間、東京・有明の東京ビッグサイトで開かれる。主催は日本ロジスティクスシステム協会、日本能率協会など7団体。展示規模は362社・1194小間の予定。
労働力不足をはじめとする物流現場が抱える課題は年々深刻化している。INNOVATION EXPOはロジスティクス・物流に関わるあらゆる技術、知識、情報を集約、フル活用し、経営の変革を促進することを目的に、国際物流総合展が開催されない年度に実施される。
今回はリアルとバーチャルのハイブリッドスタイルでの実施。バーチャル物流展は8月1日から始まっており、9月29日まで行われる。詳細は国際物流総合展公式ホームページ(https://www.logis.tech―tokyo.gr.jp)へ。