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半導体産業
AIはエージェントの時代へ 米エヌビディアの戦略
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基調講演に、おなじみの革ジャン姿で登場したファンCEO
「大家好(ダージャーハオ=みなさんこんにちは)、GTCタイペイにようこそ」。熱気に包まれた会場に、トレードマークとなった革ジャン姿で登場したエヌビディア創業者で最高経営責任者(CEO)のジェンスン・ファン氏。6月に台湾・台北市で開催された電機・情報通信技術(ICT)の総合展示会「COMPUTEX(コンピュテックス)2026」の会期にあわせて、同社が主催する画像処理半導体(GPU)技術会議「エヌビディアGTCタイペイ」が開催された。このカンファレンスでファンCEOは同社が進めるAI(人工知能)戦略の中核となる半導体や関連製品・技術を公開した。
高まる超高速・超広帯域メモリーへのニーズ
GTCタイペイにおいてファンCEOが展望したのはAIの未来像。大量のテキストデータを学習し、人間のように自然な文章を扱えるようにした従来の「大規模言語モデル(LLM)」から、ユーザーが指示を出すだけで、目標達成に向けてAIが自ら考え、行動する「自律型(エージェント型)」に進化していくという。これにより、次世代AIサーバー向けの半導体はラック全体で中央演算処理装置(CPU)とGPUを一体化するアーキテクチャー(設計概念)への移行が進みつつある。
GTCタイペイで同社が発表したAIサーバーの次世代アーキテクチャー「ベラ・ルービン」に対応する「ベラCPU」と「ルービンGPU」は、このエージェント型AIを見据えて設計されたという。
エージェント型AI向け半導体に求められるのはツールやプログラムの実行、制御などの複雑な命令の処理。CPUがタスクの管理や命令の実行を担い、学習や推論はGPUが行う。そこでは超高速CPUとGPU、それに超高速・超高帯域メモリー(HBM)の連携が重要となる。
そのため、ベラ・ルービンにはCPUに超高速メモリーの「LPDDR5X」、GPUに超高帯域メモリーの「HBM4」が搭載される。このアーキテクチャーで、メモリーはエージェント型AIでCPUとGPUをつなぐ際のキーデバイスとなるため、それぞれ大量に搭載する必要がある。
ファンCEOは6月2日、GTCタイペイの基調講演が終了後、コンピュテックスのために来台していた韓国SKグループのチェ会長、SKハイニックスのクァクCEOと会談。コンピュテックスの閉幕を待たず、5日には韓国に向かい、SKハイニックスの経営陣と再び会談をしている。
こうしたファンCEOの動きからもわかるように、SKハイニックス、米マイクロンテクノロジー、韓国サムスン電子がAI向けメモリー市場でシェア獲得を競う中、今のところSKハイニックスが競合他社をリードしているようだ。
SoC市場 本格参入 統合型 主流に
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コンピュテックスのSKハイニックスブースに残されたファンCEOのサイン
GTCタイペイで発表されたもう一つの大きな発表が、エヌビディアと米マイクロソフトの協業によるウインドウズパソコン(PC)の再構築。そのキーデバイスとなるのがPC向けプロセッサー「RTXスパーク」だ。
この専用チップは台湾のファブレス半導体メーカー、メディアテックとエヌビディアが協業。エヌビディアの「グレースCPU」と、ブラックウェルアーキテクチャーを基盤とする「RTX GPU」の両方のチップが共用するメモリー「ユニファイドメモリー」をシステム・オン・チップ(SoC)として一つに統合したもの。台湾積体電路製造(TSMC)が3ナノメートルのプロセスルールで生産する。
統合型としたのはエージェント型AIで行われるCPUとGPU間のデータ受け渡しで、レイテンシーと呼ばれる遅延が発生してしまう問題の解決を図るため。
SoC市場ではこれまで、米アップルがハイエンドPC向けの同社製チップ「アップルシリコンMシリーズ」で先行し、米インテルが「パンサーレイク」、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が「ライゼンAI」で追いかけていた。
エヌビディアは、今回発表したRTXスパークでこの市場競争に割って入ることになる。今後のPC向けチップはエージェント型AIの処理を行うため、統合型が主流になっていくだろう。
