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半導体産業
AI・xEV-順風満帆
半導体デバイスはパソコンや通信機器、家電製品、鉄道など幅広い産業に欠かせない。AI(人工知能)の普及を追い風に、重要性が高まっている。また炭化ケイ素(SiC)といったパワー半導体は電気自動車(EV)などの電動車(xEV)の普及拡大を支え、鉄道車両の軽量化を実現する。こうした半導体デバイスに加え、製造装置や材料メーカー、加工メーカーなどが存在感を高めている。日本製の半導体製造装置の需要は世界的に高まりを見せ、4兆円規模の市場の成長を見込んでいる。
製造装置4・4兆円 今年度最高更新
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SEAJは24年12月に開催された半導体産業の展示会で、半導体製造装置業界の未来について紹介
日本半導体製造装置協会(SEAJ)が1月16日に発表した2024年度(24年4月-25年3月)日本製半導体製造装置の販売額は、前年度比20・0%増の4兆4371億円を見込み、初の4兆円を超す過去最高を予想する。23年度から継続した中国市場向けが好調さを見せていることや、AI関連を中心としたメモリー投資回復を見込んだ。
SEAJの河合利樹会長(東京エレクトロン社長)は発表会で、「中国の顧客はここ2年間、装置購入といった積極的投資を行ってきた。25年度は新規の装置購入よりも、装置の立ち上げと稼働率が増える」と予測する。そのため、25年度は近年販売額の40-45%を占めていた中国向け比率が、30%台になるとみる。
また、台湾を除く先端ロジックの半導体受託製造(ファウンドリー)やDRAM案件について投資姿勢の強弱をSEAJが精査した結果、25年度の日本製半導体製造装置の販売額は24年度予測比5%増の4兆6590億円とした。
26年度は全分野でAI関連半導体の需要押上げ効果が本格化することから、25年度予測比10・0%増の5兆1249億円と予想する。
AIサーバー向け 好調
こうした中、メモリー各社の業績は23年第1四半期(1ー3月)のボトムから総じて上昇を続け改善した。足元ではAIサーバー以外の需要回復に足踏み感があり、在庫調整で一時的に汎用DRAMやNANDの価格は下落に転じる動きがみられるとし、25年の後半以降に需要回復とともに在庫調整が完了し、価格上昇が期待される。
特にAIサーバー向け画像処理半導体(GPU)と広帯域メモリー(HBM)の需要は旺盛であり、データセンターの消費電力を抑えながら演算能力を高めるためには、次世代品への移行が必須となっている。現在、特定企業に需要が集中するGPUも、徐々に選択肢が広がってゆくと予想する。
AI機能をパソコン(PC)やスマートフォン端末に搭載するオンデバイス(エッジ・ローカル)AIは、中央演算処理装置(CPU)、GPU、AIの推論処理を行えるNPU(ニューラルネットワーク・プロセッシング・ユニット)をワンチップにまとめ、消費電力を抑えながら高度なAI処理を実行する。27年にかけ、AI機能を最大限に生かすソフトウエアの普及やアプリケーションの拡大が見込まれ、2ナノメートルロジックプロセスの量産が軌道に乗るタイミングに合わせて、市場が本格的に立ち上がる。
AI機能強化のためには、DRAMも大容量化と高速化が求められるため、オンデバイスAIはロジック、メモリー双方にプラスの影響を与えるとされる。
25年度はAI向け半導体の需要拡大と、そこで求められる高性能化や低消費電力化技術に加え、ロジックでは大容量化に向けた次世代トランジスター構造のゲートオールアラウンド(GAA)技術や裏面電源供給技術、メモリーでは高積層の技術進化が見込まれ先端投資が拡大し、プラス成長が見込まれる。
26年度については、AIサーバーに加えてオンデバイスAIのアプリケーション拡大に伴う、PC、スマートフォン用半導体の需要増加に向けた投資拡大が期待される。
製造装置 日本製11%成長続く
日本製半導体製造装置の販売額のボトムは、SEAJが1986年に統計を始めてからリーマン・ショックを背景に投資抑制が見られた09年度の6528億円になる。
半導体産業は1994年以前は産業機械や家電向けが中心。米マイクロソフトのウインドウズ95や98の登場で、95年から市場規模が拡大。2000年にITバブル崩壊を迎えたが、その後一家に一台のPC、さらに一人1台の携帯電話端末を持つ時代となり順調に市場が回復した。スマートフォンの登場はリーマン・ショック後の回復に寄与する一方で、デジカメや携帯音楽プレーヤー、PCなどの市場を奪い半導体の成長率は鈍化した。
21年度になると日本製半導体製造装置の販売額が初の3兆円超えとなり、3兆4430億円となった。新型コロナウイルス感染症で世界経済に停滞期をもたらしたが、PCや高解像度テレビ、スマートフォンの需要が堅調に推移。車載用半導体がけん引役となり、在宅勤務によるリモートやIT機器などで半導体需要の広がりが見られた。そして、23年度まで3兆円クラスで推移している。
24年度から26年度までにおける日本製半導体製造装置の年平均成長率は11・5%になり、販売額で過去最高の更新を見込み、中期的な高い成長率が予測されている。