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6月1日は「ねじの日」
ねじの設計、組み立てで気をつけるポイント
6月1日は「ねじの日」。ねじは産業社会において重要な役割を担う機械要素部品の一つ。自動車や建造物、家電製品、電子機器など、さまざまなモノの締結に使われている。そんなモノづくりに必要不可欠なねじは適切な設計方法で使われてこそ初めてその真価を発揮する。
そこで今回は、神戸大学名誉教授の福岡俊道氏にねじの設計や組み立てにおけるポイントを解説してもらった。
ねじ締結部の設計と部品強度
【執筆】神戸大学名誉教授 福岡 俊道
ねじ締結部の設計の基本は、締結の対象である構造物などが稼働状態となったケースも含め、締結部の強度を保証できる締め付け力を正確に見積もることである。つぎの問題は、使用するボルトの寸法と材料および本数である。ボルトの材料を決めると、ボルト断面に作用する軸応力を例えば材料の降伏応力の0・7倍として、必要なボルトの総断面積を求めることができる。
それをボルトの呼び径(雄ねじの外径)から求めた断面積で除すと、必要なボルト本数が決まる。呼び径の大小については、対象となる締結部に要求されている条件から決定する。上記の手順から明らかなように、高強度ボルトを使用すると締結部を小型軽量化できるが、必然的にコストはアップする。いずれに重点を置くかは、締結の対象である製品の使途と価格から判断すべきである。また使用環境によっては、耐食性の高い材料を使う必要がある。
緩みと疲労破壊
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図 ねじのトラブルの発生メカニズム
図では、ねじの二大トラブルである「緩み」と「疲労破壊」の発生メカニズムを説明している。前者には、ねじ部品が戻り回転する「回転緩み」と、回転なしに締め付け力が低下する「非回転緩み」がある。市販の緩み止め部品は、基本的に回転緩みに対して有効であり、界面に存在する微小突起の塑性変形の進行などによって起こる非回転緩みは、程度の差はあるが不可避の現象である。一方の疲労破壊は、応力振幅が疲労限度を超えたときに発生する現象であるが、ねじの場合、締結部に作用する荷重の形態が多様であり、単純な疲労試験だけでは強度が評価できないため、極めて厄介な現象といえる。
確実な締め付け
緩みと疲労破壊を防ぐ基本的な対策は、適切な設計手順で決められたボルト軸力で確実に締め付けることである。締め付け作業には通常トルク法が用いられるが、仮に規定のトルクを与えても、発生する軸力はねじ面、ナット座面の摩擦係数によって大きく変化する。ここで紹介した緩み、疲労破壊、確実な締め付けは「ねじの三大難問」であり、ねじ締結部に関係する技術者は、各現象をよく理解し、適切に対処できる知識の習得が望まれる。詳細は拙書『技術者のためのねじの力学』『技術者のためのねじのトラブル解決策』(いずれもコロナ社)を参照していただきたい。
【参考文献】
(1)福岡俊道、『技術者のためのねじの力学—材料力学と数値解析で解き明かす—』、コロナ社、2015年、352ページ
(2)福岡俊道、『技術者のためのねじのトラブル解決策』、コロナ社、2025年、296ページ
ねじの日の由来
「ねじの日」は社会に欠かせない役割を果たしているねじの重要性を一般にも広く発信するため、業界団体の日本ねじ工業協会と日本ねじ商業協同組合連合会で組織した「ねじ商工連盟」が1975年7月に制定した。
6月1日と定めたのは、49年(昭24)のこの日に工業標準化法が制定され、日本工業規格(JIS)にねじ製品類が指定されたことに由来している。
