-
業種・地域から探す
続きの記事
さいたま市 東日本の中枢へ
埼玉の多様な産業 海外へ橋渡し
ジェトロ埼玉貿易情報センター 小泉 勢子 所長に聞く
-
ジェトロ埼玉貿易情報センター 小泉 勢子 所長 -
ニュルンベルク市とさいたま市の経済連携の一環で、ミッション派遣を実施。市内企業とドイツ企業の協業に向けた検討が進んでいる -
JR大宮駅西口から徒歩5分の好立地にある「ジェトロ埼玉」
日本貿易振興機構(ジェトロ)埼玉貿易情報センターは、県内企業の海外販路開拓や投資誘致を担う国際ビジネス支援の拠点だ。製造業や食品加工業が集積するさいたま市の強みをどう生かし、海外展開を後押しするのか。今後の戦略について小泉勢子所長に聞いた。
■ □
―ジェトロ埼玉の役割を教えてください。
「現在は輸出支援、投資誘致、スタートアップ海外展開支援、高度外国人材活躍推進等の事業を実施している。単なる販路開拓にとどまらず、国際的な協業連携によるイノベーション創出に注力している。企業のフェーズに合わせ、情報提供から商談マッチング、海外拠点設立等、時代に合わせた支援を柔軟に展開していく」
―産業・研究開発拠点としてのさいたま市の強みは。
「最大の強みは、交通の要衝としての利便性だ。都内へのアクセスに加え、東日本への玄関口でもあるため、国際的な展示会への参加、国内外事業者との商談が実施しやすい。産業面では『埼玉にない分野はない』と言えるほど業種の幅が広く、先端産業分野まで確かな技術力が蓄積されている。この層の厚さこそが、海外企業が提携先として埼玉を選ぶ納得感につながっている」
―イノベーション創出をどのように実現しますか。
「日本企業と海外スタートアップ等との協業連携支援のためのプラットフォーム『J‐Bridge(Jブリッジ)』を利用した国際的なオープンイノベーション創出を推進している。市内の中堅企業等も積極的に活用しており、海外スタートアップや研究機関の発掘、面談アレンジなどの支援を通じて、新たな価値創出を後押しする」
―独・ニュルンベルク市との経済連携の現況と今後は。
「2011年に始まったさいたま市と同市の経済連携は、長く強固な関係を維持している。また、さいたま市やさいたま市産業創造財団とも協力しながら、独・バイエルン州とも連携し、25年度はモビリティ分野と航空宇宙分野の二軸で、独スタートアップを招聘(しょうへい)し市内企業と引き合わせ、新たな協業に向けた検討が進んでいる。世界に通用する具体的なコラボレーションをさらに加速させていく」
―市が認証する「リーディングエッジ企業」など有力企業への支援は。
「認証企業各社にジェトロ事業を活用いただいている。専門家が伴走する『ハンズオン支援』など、海外展開の助言や電子商取引(EC)活用などメニューは多岐にわたる。こうした実務支援に加え、セミナーを通じた情報提供にも注力している。事業を活用して海外ビジネスを進める市内企業が語る取り組み事例は、これから海外展開に向かう企業の背中を強く押すきっかけになるはずだ」
―今後の新たな取り組みは。
「急増するインバウンド(訪日外国人)を『旅マエ・旅ナカ・旅アト』と旅行の前後を含めてECなどで継続した購入につなげる仕組みを強化したい。県産の食品や日本酒、抹茶、盆栽など、海外で人気の商品が多数ある。この魅力を伝えたい。ジェトロ埼玉は開設から6年が経過した。埼玉の技術力と利便性を武器に、一社でも多くの企業に活用してもらい、可能性を広げてほしい」
リーディングエッジ企業認証制度―さいたま市
-
25年度の認証式
リーディングエッジ企業認証制度は、さいたま市内のモノづくり企業の中でも、独創性や革新性に優れた技術を持つ企業を認証し、グローバルニッチトップ企業へのステージアップを支援する。企業の技術力と国際競争力の一層の強化を通じて、市産業全体の活性化を推進する。
企業の技術力と国際競争力を一層強化
-
小山高専で開いたイベント -
社長自らが学生に熱弁
市が認証することで認証企業の信頼性や知名度の向上を図り、イノベーション創出を促進。持続的な成長につなげる。さいたま市産業創造財団とも連携。認証企業との関係性を生かし、各社の課題に応じたオーダーメード型の支援をタイムリーに提供できる。
2025年度は、新規で認証されたDICプラスチック(さいたま市大宮区)を含む10社を認証。26年1月1日現在の認証企業数は33社となった。25年12月に開いた認証式で清水勇人市長が認証書を交付。ほかに継続認証企業9社も選定された。DICプラスチックは理化学・診断薬資材や産業用ヘルメット、容器資材など幅広いプラスチック製品の製造、販売を手がける。清水市長は「認証をきっかけに市内外の企業との連携を深め、技術力向上やビジネスの発展に寄与できたら幸いだ」とあいさつした。
また25年度は小山工業高等専門学校と連携して、リーディングエッジ企業が技術を紹介するイベントを初めて実施した。栃木県小山市の小山高専を認証企業12社が訪問し、電気電子創造工学科の4年生人に自社の技術や製品を説明した。学生に仕事や業界への理解を深めてもらうキャリアプログラムの一環として開催した。企業側は技術や人事関連の担当者らがプレゼンテーションソフトウエアを使ったり機器などを持ち込んだりし、学生に熱弁。小山高専の卒業生が同席したり、トップが説明者として参加した企業もあった。
市は来年度以降も引き続き、理工系大学や高専生の採用強化に取り組む予定で、小山高専に加えて他の高専とも連携を進める。政府はAI・半導体、航空・宇宙など高付加価値分野への成長投資を推進する。高い技術力を背景に当該分野へ進出している認証企業があり、市も高付加価値分野への新規参入・事業拡大を志向する企業を支援し、新たな企業収益の柱を育てていくよう取り組む。
