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さいたま市 東日本の中枢へ
誕生から四半世紀・未来向け挑戦
埼玉県の県庁所在地さいたま市は、5月に誕生25周年を迎える。2001年に浦和、大宮、与野の3市が合併してスタート。03年に政令指定都市へ移行し、05年には岩槻市と合併した。「東日本の中枢都市」「上質な生活都市」を将来都市像に掲げ、26年度予算では未来技術と中小企業の競争力強化などを経済分野の重点施策と位置付ける。清水勇人市長と昨年就任したさいたま商工会議所の川本武彦会頭に市の未来を語ってもらった。
さいたま市長 清水 勇人氏/未来技術と中小の競争力強化 軸に
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さいたま市長 清水 勇人氏
―26年度予算案で経済分野の施策は。
「地域資源の産業化、DXの実装、未来技術と中小企業の競争力強化を軸に編成している。大宮盆栽・スイーツに加え、“市オリジナルの香り”の発信など、五感で感じる“さいたま市らしさ”を国内外に広げる」
―新たな産業集積拠点の整備状況は。
「浦和インターチェンジ西側地区(緑区)は25年に物流2社が竣工し、供用を開始した。吉野原工業団地東側地区(北区)は地権者の合意形成に向け取り組んでいる。川通地区(岩槻区)は地権者による準備組織が中心となり、各種協議を実施中。首都高北伸・宮前地区(西区)は25年に市街化区域への編入を含めた都市計画変更と土地区画整理組合の設立認可がなされ、首都高北伸・清河寺北地区(西区)は首都高の延伸工事の進捗を注視しつつ事業化の検討を進めている。田島地区(桜区)は地元協議会が立ち上がり、まちづくりを検討中。さらに24年度に新たに位置付けを行った4地区は事業実施に向けた詳細検討を行っている」
―「ブランディング支援事業」「高付加価値サービス創出支援事業」「副業人材活用イノベーション事業」の成果は。
「ブランディングは5社を支援。主な成果として食品の製造・販売を行う会社の看板商品の売り上げ・認知向上に向け、ブランドコンセプトの策定からロゴの作成、コンセプトに沿ったPR動画の作成を支援した。高付加価値サービス創出はワークショップを中心とした新事業計画の作成に関する個社支援を4社、またオープンイノベーションによる新商品・サービス開発に係る補助金を別に4件交付した。副業・兼業人材活用では人材マッチングを10件行った」
―リーディングエッジとSDGsの企業認証制度については。
「リーディングエッジ26年1月1日現在の認証企業数は33社。今年度は小山工業高等専門学校と連携して、認証企業が技術を紹介するイベントを初めて実施した。来年度以降も引き続き、理工系大学や高専生の採用強化に取り組む。SDGsは現在329社認証している。26年度は認証企業同士の連携により、地域経済の持続可能な発展や社会課題の解決につながる取り組みを推進したい」
―新市庁舎計画とは別に街区内に整備する民間機能について。
「導入機能としてはオフィス、商業、宿泊を基本線とし、公募型プロポーザル方式(提案審査)により整備する事業者を選定する予定。年度には事業者の公募を開始し、事業者選定を行う」
―さいたま商工会議所の新会頭に川本武彦サイサン会長が就任しました。
「長きにわたり日本各地の生活インフラを支えるだけでなく、海外事業拡大を進められるなど、グローバルな視点も持たれており心強い存在。会議所にも市の魅力や地域のにぎわい創出に向けた事業に力添えいただいている。引き続き『さいたま市みんなのアプリ』の普及を通じた地域内経済の循環と活性化をはじめとした綿密な連携をお願いしたい」
さいたま商工会議所会頭 川本 武彦 氏/地域企業の発展へ伴走型支援 拡充
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さいたま商工会議所会頭 川本 武彦 氏
―会頭就任の抱負をお願いします。
「池田一義前会頭が進めてきた企業支援の方向性を継承しながらさらに強化する。会員が商工会議所に入ってよかったと思えるようにしたい。当会議所は会員数1万2000社を誇り、全国に515ある商工会議所の中で8番目の規模を持つ。大きな組織力を背景に、事務局を含めて総力を上げて地域企業の発展に尽くす。伴走型支援の幅を広げ、より充実させていく決意だ」
―会員企業の景況感と今年の見通しは。
「最新アンケートによると、売上高は値上げの浸透もあり好調という声が多い。一方で原材料高などのコスト増が利益を圧迫しており、売上高と比べると利益の伸びは少ないという課題を抱える。価格転嫁は進みつつあるが、取引先への懸念から声を上げられずに転嫁できていない企業も一部に存在するのが実情だ。米国による関税措置の影響は、現時点では限定的と見ている。今年も深刻化する人手不足が最大の懸念事項だ。一方で街のにぎわいなどを見ると景気自体は上向いていると感じる。この状況下で企業が成長していくためには、DXによる生産性向上が不可欠。今後は成果が問われる」
―会員企業が抱える課題と将来展望をどう見ていますか。
「工業分野は少子高齢化に伴う熟練工の不足が深刻であり、若者の製造業離れも根深い。一方で医療やヘルスケア関連などの成長分野に若者が関心を示す傾向もあり、こうした分野を中心にAIやDXを活用した生産性向上を支援していく。ハードルが高いと思われがちな補助金や支援制度を積極的に活用してもらえるように、会議所として橋渡しをしていく方針だ。商業分野ではサービス業の割合が増加している。さいたま市が導入しているデジタル地域通貨『さいコイン』とタイアップし、市内でお金の流れを循環させる仕組みを強化し、地域経済の活性化を進める」
―今年度の会議所の取り組みや重点事業については。
「26年度は『第6次中期ビジョン』の最終年度で『自己変革の推進』をテーマに掲げている。事業再構築や新分野進出の支援、販路拡大、DX支援の3本柱に注力する。取り組みを強化するのは海外展開。新設した『海外ビジネス推進特別委員会』を中心に、ドイツのニュルンベルク商工会議所との提携を通じた展示会などへの出展支援をはじめ、会員企業の海外展開の支援を強化する。DXの推進やAIの利活用も重要課題だ。有用性を会員企業へ広め、AIを使いこなし、生産性を高めてもらうことが目標だ」
―産業育成に向けた行政への要望や今後の取り組みを教えてください。
「行政手続きのデジタル化で、事業者側の二度手間を省くためのさらなる完全なデジタル化を強く要望していきたい。人手不足対策では、学生が市内や県内で就職してもらう取り組みも強化する。地元密着の優良企業の魅力を伝えていくことで、新卒段階からの人材確保にも全力を挙げる考えだ」
