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埼玉県西部地区特集
埼玉県西部地区には、個性を発揮しつつ差別化戦略で持続的成長に結びつけている企業が数多く存在している。新設備導入や新事業開拓、技術力のさらなる向上に向けた努力を惜しまず、企業としての勝ち残りと成長に向け先を見据えた一手を打っている。高止まりする原材料やエネルギー価格、昨今のトランプ関税の発動など懸念材料がある中、強さに磨きをかけて飛躍している埼玉県西部地区のエクセレントカンパニーの今をレポートする。
独自の製品・サービスで地域貢献
光英科学研究所/地域との連携を深め、健康づくりを応援
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イベントではトップアスリートからのレクチャーが行われた(写真中央左から、自転車競技・梶原悠未選手、卓球プロチームT.T彩たま・曽根翔選手と有延大夢選手)
光英科学研究所(和光市)は、乳酸菌が発酵中に生み出す「乳酸菌生産物質」を素材や製品として供給している。「乳酸菌生産物質」には有機酸やアミノ酸、短鎖脂肪酸などの多種類の有用成分が含まれており、近年、栄養補助食品などの原材料として需要が増えている。
2024年末には和光市と「和光北インター東部地区を核とした未来志向の魅力的なエリア創造に関する協定」を締結。“イノベーション×ウェルネス”をコンセプトに地域でのイベントなどを実施する。活動の一環として、健康づくりを応援する市民参加型イベント「和光・発酵・健康 卓球フェスタ2025」を6月に開催した。小野寺洋子社長は「地域とのつながりをさらに深め、参加者が健康を考えるきっかけになれば」と語る。
タカインフォテクノ/地方都市のICT基盤整備と利活用を多角的に支援
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社全体の積極的な意見交換で「川越まつりナビ」は毎年進化している
タカインフォテクノ(川越市)は、大手企業向け運用SE事業を主軸にしつつ、川越を中心に埼玉全体の団体や中小企業に向けたクラウド化、システム開発、各種プロダクト販売などを含め注力しており、行政や地域団体とも連携し、都市全体のDX推進、スマートシティ基盤の底支えを視野に活動を続けている。
「地方のデジタル基盤をどう整えるかが、持続可能な社会づくりの鍵を握っていると考えている。私たちは、行政や地域団体、中小企業に加え、次世代を担う子どもたちへのICT教育支援などを通じて、地域の底力を引き出す役割を果たしたい。『川越まつりナビ』のように、地域文化とテクノロジーを融合させた取り組みも広がってきており、地域に根ざしたICT企業として、これからも地場の価値を未来につなぐ活動を一層強化していく。」(阿部将永社長)。
今後も同社は、地方都市および地域の中小企業や各種団体に対するDX支援を通じて、Society5・0実現に向けたデジタル基盤の強化に取り組んでいく。
フロロコート/ナノコートを第3の柱へ
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展示会への積極的な出展にも取り組む
フロロコート(川越市)は高い表面改質技術で社会の課題解決に貢献している。
業績好調な新潟事業部の拡張を行い、7月の利用開始を予定するなど設備投資を継続している。
一方で、近年同社がアドロンとトシカルコーティングに次ぎ“第3の柱”として育てているのが「ナノコート」。有機フッ素化合物(PFAS)フリーのため厳しい規制にも対応でき、環境に調和したコーティングだ。
ナノコートは硬質クロムめっきよりも薄く・硬く・すべり性のよい表面処理。ポンプ、搬送装置、印刷機などの摺動部品に適用されている。硬質クロムめっきの約4倍の寿命を実現しメンテナンスの負担を軽減した実績も持つ。展示会への出展など積極的に行い、問い合わせも続々と来ている注目の技術だ。今後は「さらなる顧客のニーズに応えられるよう、ナノコートを進化させ、多機能を強みに、競合製品との差別化を図っていく」と担当者は語る。
久保井塗装/新たな素材への塗装で多様化を見据える
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一般塗装と超高塗着塗装の比較
久保井塗装(狭山市)は、2035年までのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)と産業廃棄物ゼロ(全量再利活用)を掲げる工業塗装メーカー。経済産業省のGo―Tech事業の支援を受け開発した「超高塗着塗装システム」は、塗装に使う「スプレーガン」とともに特許を申請中だ。このシステムは、現在建設準備中の新工場にも導入する予定だ。
また、昨今話題のトランプショックなどを鑑み「会社を支える主軸業務の多様化に取り組む」ことを決意。培ってきたノウハウやテクニックを駆使し、今まで取り扱ってこなかった新素材への塗装にも挑戦する。その試作塗装を6月中に始める予定で、「今後も徹底した品質管理とお客さまへのニーズに応えることを大事にする」と窪井要社長は語る。
曙金属工業/高い技術力が評価、海外からの引き合いも
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技術を動員して作るアルミ製のおちょこ
曙金属工業(川越市)は、アルマイト処理加工や各種外装部品製造、クロック用特殊文字盤、内外建材用パンチングパネル製造などを手がけている。精密時計部品の製造や加工を通し磨き上げてきた技術が織りなす製品は、多岐にわたる業界から高い評価と厚い信頼を得ている。
酸化被膜・着色の均一性、アルマイト後の表面にできる微細孔を閉じる封孔処理や独自の治具を使った処理加工に取り組み、高い品質管理と納期の厳守を徹底する。また、ペン先程度の微細なモノから大型物まで「他社では手がけられないモノを手がけてきたことで今日まで生き残ってきた」と清水矩明社長は話す。特に大型材料に注力しており、大型クレーンなど設備を完備、海外からの引き合いも目立つという。今後も「表面処理と内面処理の技術をかけ合わせ、20—30年先を読んだ仕事に取り組む。顧客が求めることを考え柔軟に対応したい」(同)とする。