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埼玉県西部地区特集
埼玉県西部地区には、個性を発揮しつつ差別化戦略で持続的成長に結びつけている企業が数多く存在している。新設備導入や新事業開拓、技術力のさらなる向上に向けた努力を惜しまず、企業としての勝ち残りと成長に向け先を見据えた一手を打っている。高止まりする原材料やエネルギー価格、昨今のトランプ関税の発動など懸念材料がある中、強さに磨きをかけて飛躍している埼玉県西部地区のエクセレントカンパニーの今をレポートする。
SDGsを実現・脱炭素化を推進
アーベルソフト/社内外でAIを活用した取り組みを強化
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AIコンテストで受賞するなど実績を積み上げている
アーベルソフト(坂戸市)は、AI(人工知能)を活用した取り組みに注力している。社内業務で予想されるメールなどの不備を、事前にシステムにAIを組み込むことで回避したり、製造したモノの合否判定にAIを利用するなど、生産性や効率を上げ 「AIや機械に任せる業務の幅を増やし、人間の余力を別の部分に回せるようになる」と西岡和也社長は語る。
また、同社が手がける災害監視・自治体向け写真情報配信サービスシステム 「ビューちゃんねる」へAIによる冠水判定プログラムを開発し実装。同プログラムはAWS(アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)からの表彰を受けた。
今後は「今まで培ってきた技術やシステムとAIなどをかけ合わせた、新たなモノを提案したい」(同)とし、ビューちゃんねるの拡販も目標にAIを使った差別化を図る方針だ。
東立製作所/検査・組立の新たな仕事を受注
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クリーンルームでの作業も本格化
東立製作所(日高市)は医療や食品、ポンプ、精密機器、車体設備などの業界に提供するプラスチック樹脂加工を手がける。新たに導入した複合加工機やワークハンドリングロボットの稼働が開始し、工程の集約や効率化を実現。クラス7のクリーンルームも設置し、一部精密製品の組立・検査まで一貫生産が可能になった。
2025年6月末頃をめどにクリーンルームなどを活用した「検査・組み立て」の仕事を開始する。水に関わる装置を手がける予定で、 現在は組み立て工程に2名、検査工程に1名置き業務のトレーニング中だ。「将来的には5日で200台を組み立てられたら」と松川晃代社長は語る。そのほか、事務作業のデジタル化(DX)に取り組んでおり、自動化できる部分を増やすことで人的起因のミスの防止、生産性や効率の向上を社内全体で図っていく。
野火止製作所/デジタル化の推進で新たな強みを確立へ
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同社の技術力が光る本社前のモニュメント
野火止製作所(新座市)は、「高品質・短納期・適正価格」を強みに精密板金加工を手がけている。食品機械や半導体製造装置などの部品加工、商業施設・オフィスなどの看板・サインの製作や施工を行い実績を伸ばしている。
近年はデジタル化(DX)を進めており、3D CADを生かした製作や社内の目標管理、社員の満足度調査など「人づくり」の方面でもソフトを使い、人を生かす経営に挑戦している。近々、顧客への見積もりシステムも運用予定で「デジタル化を新たな強みにしていきたい」と川上広晃社長は話す。事業の柱も構築中で、売り上げの約65%を占めるサイン事業・工業系事業・新たに開始した什器やデザイン性のある金物などを加工する内装事業の3本柱を作る方針だ。併せて将来的に加工だけでなく組み立ても手がけることで「付加価値をつけ、勝ち残りをかけたい」(同)と先を見据える。
タジリ/夏場の環境整備や手厚い福利厚生を準備
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海外展開に期待が寄せられる「ウエストポーター」
タジリ(深谷市)は、脱炭素社会の実現に向け再資源化プラントの製造や販売に力を入れている。顧客ニーズや環境変化にも臨機応変・柔軟に対応できることが強みで、研究開発から設計・品質管理・アフターサポートまで一貫生産体制を構築してきた。また、隣接地に購入した土地を社員用駐車場や資材置き場として活用している。
主力製品の「ウエストポーター」は直近半年程で海外からの問い合わせも相次ぐなど、好調だ。需要に応えるため、外注先とも協力しながら「量より質」を重視し、顧客のニーズに対応する。人材獲得にも引き続き注力しており、転職サイトやハローワークを通じて募集をかけている。そのほか、夏場の暑い日のノー残業デーの設定や工場への冷房設置など設備投資も実行。併せて今年中に工場の屋根に太陽光パネルを設置し、環境へ配慮した取り組みも開始する予定だ。