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埼玉県西部地区特集
埼玉県西部地区には、個性を発揮しつつ差別化戦略で持続的成長に結びつけている企業が数多く存在している。新設備導入や新事業開拓、技術力のさらなる向上に向けた努力を惜しまず、企業としての勝ち残りと成長に向け先を見据えた一手を打っている。高止まりする原材料やエネルギー価格、昨今のトランプ関税の発動など懸念材料がある中、強さに磨きをかけて飛躍している埼玉県西部地区のエクセレントカンパニーの今をレポートする。
飛躍するエクセレント企業
カネパッケージ/地域に貢献するエネルギーのコンセルジュを目指す
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配水場に設置した太陽光パネル
カネパッケージ(入間市)は、「究極の緩衝設計」というコア技術を使い製品を安心・安全に包み運ぶことに加え梱包材のダウンサイジング化や省資源化、積載効率の向上など商品の設計開発から物流に至るまで全体の効率化を提案している。年内には青森県で新工場も稼働予定で、間伐材を使った新たなビジネスも考えている。
2025年5月には同社ほか企業3社と銀行6行で共同出資し「いるまe―MIRAI」を設立。 入間市と連携し、施設などへの太陽光パネルの設置提案から施工、そしてPPA(電力販売契約)を通じた市内の施設や企業、一般家庭などへの再生可能エネルギーの供給が主な事業だ。既に市内4ヵ所の公共施設とPPA契約を結んでいる。地域に根付き、一貫した提案と伴走支援ができることが強みで「顧客にとって1番良い提案をし、エネルギーのコンセルジュとなれたら」と金坂良一社長は語る。
高松電鍍工業/技術力を磨ける環境を整える
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社内で開かれる勉強会の様子
高松電鍍工業(狭山市)は、徹底した品質管理のもと、さまざまな表面処理事業を一貫で手がけている。文具や生活用品をはじめ、電気・精密機器・医療器具・楽器・女性用化粧品など幅広い製品への展開が強みだ。 高い技術力のもと顧客からの信頼も厚く、「今期の景況感は好調の兆しにある」と高橋利行社長は話す。
また、求められる厳しい検査や高い品質に応えるため、若手社員を中心に表面処理の資格取得を目標に学校に通わせるなど、より技術力へ磨きをかけられる環境も用意している。 まずは、同社で基本的な表面処理業務を学んだ後学校に通うことで理解も深まるという。「やはり論理的に学び、資格を取ることでかなり変わってくる」(同)。併せてネットなどを活用した人材募集も引き続き行っている。
日本伸管/2年後を見据えた研究開発を進める
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設備投資にともない工場内の自動化も進む
日本伸管(新座市)はアルミニウム専業メーカーとして、アルミ材の引抜加工から機械加工、アルマイト処理、組み立てまでを一貫して対応する。自動車関連を中心にカメラ、高速鉄道、日用品向けなど製品用途は多岐にわたり、高い技術力を武器にアルミ部品で業界のモノづくりを支えている。
近年は自動車関係の需要増に対応するため、積極的な設備投資が目立ち、画像検査装置や旋盤など工作機械の導入・入れ替えを行う。将来を見据えた研究開発にも注力しており、 産学連携をしながら「異形・薄肉」のモノを作る引き抜き技術の確立に挑戦中。2年後の量産開始をめどとしている。
また、2024年に買収合併(M&A)をした旭工業は堅調に事業が進んでおり「建屋の立て替えや熱処理炉など設備増強をし、増産体制御を構築したい」と細沼直泰社長は語る。
武州ガス/狭山市役所本庁舎を脱炭素化、新規事業も加速
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シラスウナギの生産に成功したのは県内初
武州ガス(川越市)は、地域の脱炭素化や新事業の取り組みを加速している。
2025年4月に埼玉県狭山市の市役所本庁舎に国が認証する「J―クレジッ ト」を活用し「カーボンオフセット都市ガス」を導入。年間で約185トンの二酸化炭素(CO2)を削減する。同庁舎の年間使用量、約9万立方メートルの都市ガス利用に伴うCO2排出量が全量オフセットとなる。
また同年3月、同社の水産研究所(同東松山市)ではウナギの稚魚「シラスウナギ」の生産に埼玉県内で初めて成功した。水産研究・教育機構との共同研究契約を結び、ふ化して間もないニホンウナギの仔魚(しぎょ)レプトセファルスの提供や助言を受けた。今後は飼育試験の規模を拡大し、シラスウナギの生産尾数の増加を目指す。