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不動産
街の新たなシンボル―相次ぎ登場 再開発で新たなビジネス創出
日鉄興和不動産/品川―つながる街の魅力発信
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リビオタワー品川(日鉄興和不動産)
交通の結節点として人やビジネス、時間などをつないできた東京・品川。この地で街づくりの中核を担ってきたのが、1998年に開業した超高層大型複合ビル「品川インターシティ」だ。
品川インターシティを所有・運営管理する日鉄興和不動産は、同ビルの開業25周年を機に品川エリアの街づくりのコンセプト「つなぐ・つながる街」を策定。このコンセプトに基づくさまざまな施策を展開している。
コンセプト実現に向けて、これまで最新技術を活用したイルミネーションのイベントなどを実施してきた。新たな人の流れを生み出すことで、ビジネスにとどまらない街の魅力につながることへの期待が高まっている。
品川エリアでは、駅周辺の大規模再開発に呼応する形で、住宅の整備も着々と進行している。地上34階建て、総戸数815戸からなる分譲マンション「リビオタワー品川」もその一つだ。
品川駅を最寄りとする30階超のタワーマンションとしては15年ぶりの供給となる。同社のマンションブランド「リビオ」の中でも、次世代のライフスタイルを提案する新たなフラッグシップ(旗艦)物件に位置付けられている。
こうした方針は、設計にも反映されている。例えば外観やエントランス、共用部分は船をデザインコンセプトとした。「船の帆」「風」「流れ」「ゆらぎ」をファサードとしてまとう独自のフォームは、高次元な都市環境と将来性を備える品川の新たなランドマークとなり得る存在感を示す。
また1階にワークラウンジやゴルフレンジ、2階にはファミリールームやフィットネスルーム、29階にはスカイラウンジやゲストルームと、多彩な共用空間を計画。居住者に豊かなライフスタイルを提案する。
優れた環境性能を備えるのも特徴だ。生物多様性保全に配慮した「ABINC認証」、緑の保全・創出への取り組みを評価する「SEGES認定」を取得。加えて、快適性と省エネルギーを両立する「ZEH―M Oriented」基準を満たし、地球環境に配慮する認定低炭素住宅の認証を取得する。
共用部のアートディレクションでも、国内外のクライアントにアートワークや、オブジェの設置などによりアーティストの世界観を楽しめる「インスタレーション」を提供。廃材などのサステナブルな素材を活用したアートワークなどの採用により、心地よさとアースコンシャスが共存する空間の実現を目指している。同エリアは今後も、東京の玄関口として複数の大規模再開発を控え、数年後にはリニア中央新幹線の新駅開業が予定されている。品川駅周辺を起点とする街づくりと相まって、さらなる発展が期待される。
東急不動産/ディープテック拠点―渋谷
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東京・渋谷の複合施設「渋谷サクラステージ」(東急不動産)
街じゅうに人を呼び込み、つながりや交流を後押しする―。東急不動産は日本最大級のスタートアップコミュニティーが育つ環境の創造に向けて、ディープテック領域のスタートアップの育成・支援に取り組んでいる。
全世界で注目を集めるAI(人工知能)やロボティクスといったディープテック領域は、社会に大きな影響を与える可能性のある高度な技術領域だ。こうした中、東急不動産が東京・渋谷の複合施設「渋谷サクラステージ」に開業したのが、コミュニティー拠点「SAKURA DEEPTECH SHIBUYA(サクラ ディープテック シブヤ)」だ。
東急グループでは、渋谷駅を中心とする半径2・5キロメートル圏内を「広域渋谷圏」と定め、都市開発と魅力度向上の両面から街づくりを進めてきた。東急不動産は新産業や最先端の事業創出を通じた「価値創造力」の強化を目指しており、サクラ ディープテック シブヤは、スタートアップに寄り添いながら成長を後押しする施設として注目を集めている。
サポート内容は多岐にわたる。例えば国内外の産学官連携による支援策。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の産学連携プログラムを通じたMIT教授陣との連携や、アクセラレータープログラムの提供、国内外のスタートアップや大手事業会社とコミュニケーションが取れるラーニング・コミュニティーを実装する。
場所の提供にとどまらない多角的な取り組みを推進。これによりアーリー・グロースステージ以降のスタートアップが直面する事業拡大や、国際社会への発信といった課題の解決への寄与を狙う。
またディープテック・スタートアップを支援するアクセラレータープログラム「Sakura Deeptech Accelerator」を実装。「グローバル」「一流のディープテック・メンターシップサークル」「広域渋谷圏・渋谷カルチャー」「日本最大級の大企業ディープテックコミュニティ」の四つを柱に位置付け、支援を行う。
ディープテック領域への投資経験や、スタートアップと日本企業を結びつける活動を通じた知見を活用し、スタートアップに対して1on1のメンターシップ制度を提供。パートナー企業にはスタートアップ共創に必要なスキルやマインドセットを学べるカリキュラムを提供するなど、伴走型アクセラレータープログラムを推進する。
東急プラザ渋谷ではイマーシブ(没入型)展覧会「HOKUSAI:ANOTHER STORY in TOKYO」を2月1日から開催し、東急不動産も主催として参画。広域渋谷圏でしかできない体験価値を創出し、発信していく。
東京建物/東京駅直結―大型複合施設
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「トフロム ヤエス ザ フロント」(右)と「トフロム ヤエス タワー」のイメージ(東京建物)
東京建物は東京駅八重洲中央口前で、大規模再開発プロジェクト「TOFROM YAESU(トフロム ヤエス)」を推進中だ。東京駅に直結する建物にオフィスや医療施設、商業施設、バスターミナルなどを整備する。コンセプトに掲げる「ウェルビーイング(心身の幸福)」向上につながる施設やプログラムなどを数多く実装することにより、オフィスのテナント企業の人的資本経営や人材採用への貢献を目指している。
TOFROMは英語の「TO」と「FROM」を組み合わせた造語。国内だけでなく、世界中から人・モノ・情報を引き寄せることで、多様な価値を生み出し、発信されていく場所になってほしいという思いが込められている。
こうした考えは八重洲の「Y」をモチーフとするロゴマークにも表現されている。世界中の「ヒト」「モノ」「コト」の三つが混じり合い、東京や日本の中心となる存在としての意味合いがある。
トフロム ヤエスを構成するのは、高さ約250メートルの51階建てビル「トフロム・ヤエス・タワー」(2026年2月完成予定)と、10階建てビル「トフロム・ヤエス・ザ・フロント」(26年7月完成予定)で、「ウェルビーイング向上につながるサービスや機能、空間を実装している」(東京建物の小沢克人社長)のが大きな特徴だ。
その一つが、タワーの41階に整備するリフレッシュ空間「YAESU SKY LOUNGE」。東京湾を一望でき、地上約190メートルながら多彩な緑に囲まれ、心身の健康を下支えするサービスを提供する。
個室空間「RE:TREAT Room(リトリートルーム)powered by Upmind」では、温泉ミストによる湯治体験が気軽にできる「喫泉室」として利用可能。健康的なメニューを提供するカフェテリアなども設ける。
タワーの13階にも、入居企業のワーカー向けのサポート機能を持つ共用スペースであるウェルビーイングフロア「Wab.」を整備。産地、生産者、素材、調理方法などにこだわったおいしく身体にも良い食べ物を提供する食堂やカフェ&バー、ビュッフェカウンターのほか、サードプレイスとして多様な過ごし方を選択できるラウンジ空間などを整備し、「ワーカーのウェルビーイング向上をオフィス全体でサポートする」(小沢社長)。
このほかにも、段床型劇場や、大型の展示会・講演会を開催できる平土間ホール、会議室、国際空港や地方都市を結ぶバスターミナル、東京駅と直結する商業施設などを備える。国際都市・東京の玄関口に位置する大型複合施設として、都市機能の強化や国際競争力向上への貢献が期待されている。
森ビル/ヒルズ―街を再生・にぎわい創出
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麻布台ヒルズ(森ビル)
「世界からヒトやモノ、カネ、情報を呼び込むことで街は活性化する」。辻慎吾社長がこう強調するように、森ビルは1986年に完成したアークヒルズ以降、「街の再生」と「にぎわいの創出」に乗り出し、新たな文化・経済圏の醸成につなげる街づくりを推し進めてきた。
都市の“磁力”を高めることでヒトやモノを引きつける好循環を生み出し、東京の国際競争力を引き上げられるという考えに基づく取り組みだ。2023年に誕生し、東京都港区の新名所となっている「麻布台ヒルズ」と「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」も、こうしたコンセプトを具現化している。老朽化した都市基盤を整えた上で、職・住に遊びや学び、文化発信といった機能を立体的に配置している。
東京・虎ノ門で段階的に開発してきた「虎ノ門ヒルズ」は、オフィスや商業施設、ホテル、住宅などが入る高層ビル4棟で構成する。このうち14年に開業した森タワーは、立体道路制度を活用して環状2号線のトンネルと一体で整備された。
さらに20年にはインキュベーション施設やオフィスが入るビジネスタワー、22年に住宅や子育て支援施設が入るレジデンシャルタワーが竣工。これらに続いて23年には、東京メトロ日比谷線の駅と直結したステーションタワーが加わった。
これにより、虎ノ門ヒルズが目指す「国際新都心・グローバルビジネスセンター」が完成。多様なビジネスが集積し、グローバルプレイヤーを引きつけ、新しいアイデアや価値を発信する国際新都心として存在感を高めている。
森ビルが同エリアで仕上げたもう一つの再開発プロジェクトが、街づくり協議会の発足から34年をかけた「麻布台ヒルズ」。高低差のある地形や地権者の多さ、計画区域の拡大・分離にバブル崩壊を乗り越え、約8万1000平方メートルの敷地に高さ約330メートルのタワーや住宅棟など計7棟を建てた。総事業費は建設当時の六本木ヒルズを上回る約5800億円に達した。
国家戦略特区が掲げる「外国人を呼び込む職住近接の空間づくり」に沿った「外国人にも暮らしやすい生活環境」も追求。出身国と同じカリキュラムで教育を行うインターナショナルスクール、多言語に対応する子育て支援施設や医療施設、食品スーパーも整備している。
環境認証の取得にも力を注いだ。中心のタワーは建築物の環境性能を評価する国際認証「LEED」で、建物単体を対象とする「BD+C(CS)」の最高位であるプラチナ予備認証を取得。エリア全体を評価するLEEDの「ND」でも、プラチナ予備認証を取得済み。国際的な認知度が高いLEED認証の取得により、外資系テナントの評価や、営業上の競争力が高まる効果を見込んでいる。