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粉体技術&POWTEX
研究の成果が新たな展開もたらす 粉体技術
粉粒体プロセスは微小粒子の実用化の進展などを背景に、活発な研究・技術開発が続く。粉粒体プロセスが幅広く活用されていることの裏付けであり、今以上の底辺拡大につながるとして、成果を通じた新たな展開に注目が集まる。こうした中、27日から「POWTEX2024(第25回国際粉体工業展東京)」が幕を開ける。日本粉体工業技術協会主催の同展には最新の粉体機器や装置が一堂に会するほか、バラエティーに富んだ併催行事も大きな特徴だ。11日からはオンライン展も開幕、出展者・来場者にとってこれまで以上に実り多き展示会になると期待される。そこで、同協会の角井寿雄代表理事会長と槇野利光東京粉体工業展委員会委員長に、協会の取り組みや展示会概要などを聞いた。
粉を持参し、機械を前に相談を/
東京粉体工業展委員会委員長 槇野 利光氏
ー今回の特徴は。
「282社・団体、1070小間で、前回(2020年)と比べ約7%増となった。来場者は2万人を見込む。特徴的なのは、展示会の名称が国際粉体工業展からPOWTEXに変わったことだ。PXステーションを設け、MCが出展者やトピックスなどを来場者に説明する。海外からの出展も18年の8社が今回は17社と倍増、国際化推進の成果が表れている」
ー併催行事も注目されます。
「製造業系ユーチューバー『モノづくり太郎』に、会場で見聞きしたことの発信と、ユーチューバー目線で粉体工業など日本の製造業の話をしてもらう。企業とタイアップした製品紹介などの実績もあり注目したい。PXフォーラムでは世の中の動きに合わせテーマを設定、サーキュラーエコノミー(循環型経済)は資源を考える時代になっていることが背景。電池製造は、実際の製造に携わる3人の方が現状や今後を解説。3Dプリンターは新しいモノづくりの流れとして取り上げた。そのほかデジタル変革(DX)や人工知能(AI)も予定する」
ーオンライン展を併設します。
「11日に開幕した。コロナ禍から始めたが、回を重ねリアル展来場時の予習の場となっており、動画も使って展示会の内容や併催行事を分かりやすく説明している。意外に遠方より近郊の人のアクセスが多く、まさに来場への補完的役割を担っており、いかに満足感を与えられるかだ。双方向化も課題と捉え、世の中全体がリアル回帰の中、有効なツールとしての活用方法を考える時期にきている」
ー来場者へのアピールを。
「実際の粉を持参してほしい。原料でも製品でも構わない。ブースに持ち込み、機械を前に相談してほしい。粉体業界は実際の粉を見ないと話がしにくいところがあり、どうしたいのかの説明があれば答えが導き出せる。業界には横つながりもあり、自社では難しくても対応できる企業紹介も可能だ。現場の方が多く来られた当初の大阪開催ではそうした行動が多く、その場で仕事が決まったことも記憶している」
ー今後の展示会発展には何が必要ですか。
「展示会は直接営業の場だけに、出展者、来場者ともにメリットが出る設定が重要になる。アピールの仕方、見せ方も新しい手法を取り入れた主催者としての作り込みが欠かせない」
次の50年見据え、組織強化図る/
日本粉体工業技術協会代表理事会長 角井 寿雄氏
ー会長就任から半年が経過しました。
「就任以来、対話を強調している。それを発展させてより分かりやすく、風通しのいい組織運営を目指す。中期運営計画に掲げる『分科会の活性化』『POWTEXのさらなる進化』『広報の改革』『国際化の推進』『組織の強化』重点活動目標を踏まえた上で、会員の満足度や協会の知名度向上、組織強化を重要視したい」
ー具体的な取り組みは。
「満足度や知名度向上は委員会の強化や分科会、広報活動、展示会の充実につながり、組織強化はガバナンスと経営基盤を強固にするには欠かせない。特にガバナンスはしっかりしたい。組織がしっかりすることで、個人がより積極的に動けるようになり、今後の成長・発展へとつながる。2021年に創立50周年を迎えた当協会は、粉体技術の開発と普及を通じ、産業の発展に貢献することが目的だけに、次の50年を見据えたとき、非常に重要になる」
ーPOWTEXの開催意義や期待は。
「『未来をつくるPX』を掲げ、『粉の技術の専門展』と表現する。粉体工学会との連携もある。PXは時代の変化に即し未来に向けた展示や講演を行い、専門展は製品・技術や出展者プレゼンテーション、セミナーなど粉そのものをアピールする。工学会との連携ではテクノマルシェや研究発表会がある。より親しみやすく分かりやすい展示会になり、人と技術と情報交流の場として参加する人に利用してほしい」
ー会員数は堅調に推移しますが、さらなる強化策は。
「17年以降に入会の会員74社にアンケートを実施した。90%以上の満足度を得られる一方、分科会などの参加者は50%前後にとどまる。参加されていない会員へのアプローチとしてメールマガジンの改善を検討する。非会員の方々には、ホームページから『粉体技術誌』の閲覧できる部分を増やしていく。こうしたツールを活用し、非会員を含め認知度向上を図り、新たな入会につなげたい。まず私が先頭に立ち、けん引役を果たす考えだ」
ー次期中期運営計画の策定時期です。
「詳細はこれから本格的に検討するが、重点活動目標に何を掲げるかだ。その策定もトップダウンだけではなく、若い人の意見や考えも募りたい。風通しが良ければ会員からも声が上がると期待している」